クマ取り手術を受けたあと、「想像以上に腫れがひどい」と感じ、不安に駆られる方は少なくありません。SNSやクリニックの症例写真では美しい仕上がりが紹介されていますが、実際の経過では大きく腫れたり、内出血が目立ったりすることもあり、鏡を見るたびに「本当に大丈夫なのか」と戸惑う声が多く聞かれます。
美容医療における腫れの程度は、施術法や体質によって個人差が大きく、正常範囲と異常の境目を自己判断するのは難しい場合もあります。
ここでは、クマ取り後に腫れがひどいと感じる背景やその医学的メカニズム、医師に相談すべきタイミング、早く引かせるためのケア方法などを専門的かつわかりやすく解説します。美容医療を後悔しないために、正しい情報をもとに冷静な判断をしていきましょう。

国立琉球大学医学部医学科を卒業。国内大手美容クリニックなどで院長を歴任し、2024年アラジン美容クリニックに入職。
特にクマ取り治療では、年間症例数3,000件以上を誇るスペシャリストである。「嘘のない美容医療の実現へ」をモットーに、患者様の悩みに真剣に向き合う。
クマ取り後の腫れはなぜ起こる?医学的メカニズムを解説
クマ取りを終えたあと、鏡に映る目元に「思っていたより腫れている」と戸惑う方は少なくありません。これは決して珍しいことではなく、術後の自然な生体反応であるケースが大半です。
ただし、その腫れの程度や経過は、術式・目元の構造・体質といった複数の要因に左右されます。ここでは、クマ取り後の腫れがなぜ起こるのか、その医学的メカニズムを3つの観点から専門的に解説します。
【施術別分類】腫れの出方は術式によっても異なる
クマ取り手術後の腫れの出方には、大きく3つの要因が影響します。それは「施術法」「操作範囲」「治療目的の深度」です。特に施術法による違いは、ダウンタイムの長さや腫れの強さに直結します。
①切開を伴わない手術(非切開式)
まぶたの裏側(結膜)からアプローチする術式で、皮膚表面にメスを入れずに行うため、見た目のダメージが少なく、ダウンタイムも短めなのが特徴です。特に若年層や、皮膚のたるみが少ない患者に多く選ばれています。
施術名 | 腫れの強さ | ダウンタイム目安 | 特徴 |
---|---|---|---|
経結膜脱脂術 | 軽度〜中程度 | 約5〜7日 | 下まぶた裏から眼窩脂肪を除去。皮膚に傷跡が残らないため、外見の回復が早い。 |
裏ハムラ法 | 中程度 | 約7〜14日 | 脂肪を除去せず、目の下の凹みに移動・再配置する。自然な仕上がりで再発リスクも低い。 |
脂肪注入 | 中〜やや強い | 約10〜14日 | 太ももや腹部から採取した自家脂肪を注入し、目元の凹みをボリュームで補正。定着率に個人差あり。 |
経結膜脱脂術は、余分な眼窩脂肪を単純に除去することで「膨らみ」を軽減します。一方で裏ハムラ法は、除去ではなく再配置することで「膨らみ」と「くぼみ」を同時に補正し、より滑らかな目元を形成します。
また、必要に応じて脂肪注入を同時に実施し、より自然な仕上がりを目指します。脂肪注入は、ナノファットなどの施術を用いて目の下の凹みに自己脂肪を注入します。注入部位・採取部位両方が腫れるためダウンタイムが生じます。
どちらも結膜側から施術を行うため、術後の腫れや内出血は比較的軽く、1週間〜10日ほどで社会復帰が可能なケースが多いです。
②切開を伴う手術(表面皮膚も処理)
皮膚のたるみが強く現れているケースや、加齢による目元の構造変化が進行している場合には、皮膚を切開して根本的に処理するアプローチが必要です。脂肪の再配置に加え、皮膚の引き締めや眼輪筋の調整も同時に行われるため、ダウンタイムは多少長く、腫れも強めに出る傾向があります。
施術名 | 腫れの強さ | ダウンタイム目安 | 特徴 |
---|---|---|---|
表ハムラ法 | 強い | 約2〜4週間 | 下まつ毛の際から切開し、脂肪を骨膜下に移動。皮膚のたるみも同時に補正可能。 |
皮膚切除併用法 | 強い | 約3〜5週間 | 表ハムラ法に加えて、余剰皮膚を切除。たるみ・しわ・筋緩みに対応可能。 |
これらの術式は、ダウンタイムが長い反面、構造的な問題を最も根本的に修正できる手法です。見た目の変化も大きく、再発リスクも低いため、40代以降やたるみの強いケースで選ばれる傾向があります。
③その他のアプローチ
注射や機器を使ったアプローチは、メスを使わずにクマの印象を改善したい人に人気の方法です。ただし、構造的な問題(脂肪の突出・皮膚のたるみなど)を根本的に改善することはできません。一時的なボリューム調整や色素沈着の軽減、血行改善が主な目的です。
施術名 | 腫れの強さ | ダウンタイム目安 | 備考 |
---|---|---|---|
ヒアルロン酸注入 | 軽度 | 約1〜3日 | 手軽だが、効果は半年〜1年で消退。誤注入リスクに注意。 |
ピコ/CO2レーザー | ごく軽度 | 約1〜3日 | 表皮・真皮の色調改善や肌質改善に有効。 |
HIFU・高周波 | ごく軽度 | 数時間〜1日 | 皮膚の引き締めや血行促進に作用。継続施術が前提。 |
光治療(IPL) | ほぼなし | 当日〜2日 | 表層の色素・血管拡張に対応。複数回施術が前提。 |
非外科系の施術は、外見印象を改善する“補助的手段”であり、構造的なクマに対しては限界があります。誤った適応や過剰な期待は逆効果になるため、施術前に必ず「自分のクマの原因」を医師と共に見極める必要があります。
【構造的な理由】なぜ目元はこんなに腫れやすいのか?
目の下は、顔の中でも特にデリケートで腫れやすい構造を持つ部位です。クマ取りをはじめとした施術後に、他の部位に比べて腫れが目立ちやすいのは、単に個人差によるものではなく、目元特有の解剖学的な要因が複雑に絡んでいるためです。
薄すぎる皮膚と、血管・リンパの集中
下まぶたの皮膚は、全身の中でも最も薄い部位のひとつで、厚さはわずか約0.5mm前後しかありません。この極薄の皮膚のすぐ下には、毛細血管・リンパ管・神経が密集しているため、施術によってわずかに刺激が加わっただけでも、出血・浮腫・炎症が表面に出やすくなります。
また、リンパの流れが滞りやすい構造でもあるため、術後に老廃物や血漿成分が一時的に貯留しやすく、むくみや腫れとして現れるのです。
絶えず動く眼輪筋が刺激の要因に
目元には、まばたきや笑顔、視線の移動などで常に動いている筋肉、眼輪筋が存在します。クマ取り手術後もこの筋肉は自然と動くため、手術部位が安静に保たれにくく、炎症や腫れが持続しやすいという難しさがあります。
そのため、たとえ術式が最小限の侵襲であっても、目元では「腫れが強く見える」「長引く」と感じやすくなるのです。
【個人差も影響】同じ施術でも腫れ方が違う理由
同じ施術を受けても、ある人は「ほとんど腫れなかった」のに対し、別の人は「かなり腫れて不安だった」というケースが多くあります。この違いは、体質や全身状態、生活習慣の違いによって、術後の炎症反応や組織の回復力に差が生じるためです。
腫れや内出血に影響を与える体質的要因
打撲などで青あざができやすい人は、血管がもろかったり止血反応が弱めだったりすることがあり、術後も内出血が強く出やすい傾向があります。
免疫反応が過敏になりやすいため、わずかな刺激でも浮腫・かゆみ・炎症反応が出やすく、腫れの回復が遅れることがあります。
術前・術後のコンディションにも左右される
ホルモンバランスの変化として体内のホルモン環境が不安定な時期は、血管の透過性が高まり、腫れ・むくみが出やすくなる傾向があります。
また、体が回復モードに入れていない状態で手術を受けると、炎症の沈静や細胞修復が遅れ、腫れが長引きやすくなります。
「腫れがひどい」とはどのレベル?正常と異常の判断基準
前章では、クマ取り後の腫れが起こる理由として、施術法の違いや目元特有の構造、個人差などを医学的観点から解説しました。しかし実際に術後を迎えると、「これは大丈夫なのか?」「この腫れは異常なのでは?」と感じる方が非常に多くいます。
その不安の多くは、正しい術後経過を知らないことによって生まれる“誤解”です。「ひどく見えるから異常だ」と判断する前に、医学的な正常ラインと、医師の診察が必要な異常のサインを知っておくことが大切です。
ここでは、術後の腫れに対する正しい見方を、日数・色・痛み・範囲などの客観的視点から丁寧に解説します。
術後経過別|3〜5日がピーク、2週間で軽快が目安
クマ取り後の腫れは、術後すぐにピークを迎えるわけではありません。実際には術後2〜5日目がもっとも腫れが目立つタイミングであり、この時期に「思っていたよりもひどい」と感じる方が多くいらっしゃいます。
以下は、術式を問わず多くのケースで見られる、一般的な腫れの経過の目安です。
術後日数 | 見た目の状態 | 医学的評価 |
---|---|---|
当日〜翌日 | 軽度のむくみ、違和感 | 正常範囲 |
2〜5日目 | 腫れ・内出血のピーク(もっとも目立つ) | 正常範囲 |
6〜10日目 | 徐々に腫れが引き始める | 回復期 |
11〜14日目 | 内出血の色も薄まり、日常生活に支障なし | 社会復帰可能 |
2〜4週間 | 残ったむくみや赤みが落ち着く | 最終回復期(個人差あり) |
ピーク時の腫れを異常と捉えてしまうのは早計です。腫れは施術による生理的な炎症反応であり、一定期間を経て自然に軽快していくのが通常経過です。
感染・血腫など異常の可能性とは?
正常な経過の中にも、注意すべき症状があります。以下のような変化が見られる場合、異常反応や合併症の可能性があるため、早めの再診が必要です。
- 赤黒く広がるあざが悪化していく(血腫)
- 強い痛みやズキズキする拍動痛が続く
- 患部が熱を持ち、発熱を伴う(感染)
- 膿のような分泌物が出る、悪臭を伴う
- 目の開閉が困難になる、視界が歪む
- 左右差が大きく、一方のみ強く腫れている
これらはすべて通常の術後経過では見られない赤信号です。特に「膿」「激しい痛み」「赤黒い変色」の3つは感染または血腫の初期兆候である可能性が高く、担当医の診断を要します。
「腫れがひどいかどうか」を冷静に判断するためには、感覚ではなく“見える・感じる”情報を評価する視点が大切です。以下の3つの指標をもとに、自身の状態を観察しましょう。
評価軸 | 正常な範囲 | 異常が疑われる状態 |
---|---|---|
色 | 赤紫→黄〜茶→消失へと変化 | 濃い赤や黒ずみが続く/膿を伴う変色 |
痛み | 鈍い痛み、押すと痛い程度 | ズキズキと拍動/持続する強い痛み |
腫れの範囲 | 両目均等で時間とともに縮小傾向 | 片目のみ強く腫れる/範囲が拡大している |
なお、術後の一時的な赤みや腫れと、もともとの赤クマは見た目が似ていても全く別のものです。赤クマは構造的な特徴に由来するため、腫れが引いても完全に消えるわけではありません。術後の経過とともに経過観察し、医師の診断を仰ぎましょう。
腫れを早く引かせるには?正しいダウンタイムケアの基本
前章では、「腫れがひどい」と感じる理由と、正常な術後経過と異常反応を見極めるための判断軸をお伝えしました。では、問題ない腫れだとしても、できるだけ早く引かせるためには何ができるのでしょうか。
実は、腫れの程度や回復スピードは、施術後の過ごし方次第で大きく変わることがわかっています。施術そのものの良し悪しだけでなく、アフターケアの質こそが仕上がりの印象を左右する最大の鍵と言っても過言ではありません。
ここでは、美容医療の観点から医学的に推奨されるダウンタイムケアの基本を、患部のアイシング・生活管理・NG行動の3視点から詳しく解説します。
患部のアイシングのゴールデンタイム?
腫れをできるだけ早く引かせたいなら、施術後すぐから48時間以内に患部のアイシングケアを行うと効果的です。この初期のタイミングは炎症がピークを迎える時期でもあり、ここでの対応が腫れの程度を大きく左右します。
- 冷却の開始時期:施術直後から始める
- 1回あたりの時間:15〜20分間
- 頻度:1〜2時間おきに1日数回
- 使用方法:保冷剤や冷却パックをタオルで包み、直接肌に当てない
過剰な冷却や長時間の冷却は血流を過度に遮断し、かえって回復を遅らせるリスクがあります。「短時間×こまめに」を徹底することがポイントです。
日常生活の注意点!睡眠・入浴・食事の管理
腫れを軽減し、回復を早めるためには、施術後の生活習慣にも十分な配慮が必要です。特に、血流・ホルモンバランス・自律神経の働きに影響する行動は、腫れや内出血の程度を大きく左右するため、術後1〜2週間は意識的にコントロールしていくことが推奨されます。
睡眠の姿勢と質の確保
術後は、うつ伏せや横向きで寝ることは避け、仰向けでの睡眠を徹底するようにしましょう。顔が圧迫されるような姿勢では、眼の周囲に血液が溜まりやすく、腫れの増悪につながります。
また、枕をやや高めに設定する(10〜15度程度)ことで、静脈やリンパの流れが促進され、浮腫の軽減に有効です。これは特に朝方に腫れやすい方にとって、効果的な対策とされています。
入浴のタイミングと温度管理
術後2〜3日間は、シャワーのみにとどめ、湯船に浸かるのは1週間程度控えるのが望ましいとされています。これは、入浴による体温上昇が毛細血管を拡張させ、腫れや炎症を助長してしまうためです。
特にサウナや長風呂のような高温環境は、術部位の治癒を妨げる可能性があるため、医師からの許可が出るまでは再開を控えてください。
栄養と水分の管理が治癒を支える
体の組織を修復し、炎症を鎮めるには、ビタミンC・たんぱく質・鉄分などの栄養素が欠かせません。例えば、ビタミンCはコラーゲン合成を促進し、皮膚や血管の回復に寄与します。たんぱく質は細胞の材料として必要不可欠であり、鉄分は酸素運搬や血液再生に関わります。
さらに、水分は1日1.5〜2.0リットルを目安にこまめに摂取することで、リンパや血液の循環をスムーズに保ち、浮腫の予防につながります。一方で、アルコールや塩分の多い食事は血流や浸透圧に影響し、腫れを悪化させる要因となるため、術後しばらくは避けるべきです。
NG行動集|腫れを悪化させるやりがちな落とし穴
腫れを軽減し、回復を早めるためには、施術後の生活習慣にも十分な配慮が必要です。特に、血流・ホルモンバランス・自律神経の働きに影響する行動は、腫れや内出血の程度を大きく左右するため、術後1〜2週間は意識的にコントロールしていくことが推奨されます。
NG行動 | 原因・理由 |
---|---|
飲酒 | アルコールによる血管拡張で、腫れ・出血のリスクが上昇 |
喫煙 | 毛細血管の収縮と酸素供給の阻害により、創傷治癒が遅れる |
激しい運動 | 血圧・血流が上昇し、術部位の炎症・再出血を引き起こす可能性あり |
長風呂・サウナ | 体温上昇で炎症が拡大する恐れがある |
顔のマッサージ | 術部に物理的刺激を与えることで炎症が長引く |
メイク・洗顔の再開 | 傷の感染リスクや摩擦刺激が原因となるため、医師の指示が出るまで再開不可 |
以上のようなNG行動をあらかじめ把握しておくことで、術後のトラブルを未然に防ぎ、腫れを最小限に抑えることが可能になります。
どれも「ついやってしまいがち」な行動ばかりですが、美容医療では、「何を避けるか」も仕上がりのクオリティを左右する重要な要素であることを忘れてはいけません。
まとめ
クマ取り後に腫れがひどいと感じても、それが必ずしも異常とは限りません。目元はもともと腫れやすい部位であり、術後3〜5日をピークに徐々に落ち着いていくのが通常の経過です。ただし、痛みや赤黒さ、熱感を伴う腫れが10日以上続く場合には、感染や血腫などの異常が疑われるため、早めの受診が推奨されます。
術後の患部周りを冷やしたり生活管理などのセルフケアは、腫れの軽減に大きく寄与します。また、施術前には自分の体質やリスクについて医師としっかり共有し、信頼できる医療機関を選ぶことが重要です。美容医療は、正しい知識と適切な判断によって、安全かつ満足度の高い結果へと導くことができます。
アラジン美容クリニック福岡院では、「ウソのない美容医療の実現」をモットーに、患者様お一人ひとりの美のお悩みに真摯に向き合い、最適な治療をご提案しております。無駄な施術を勧めることなく、症状の根本的な原因にアプローチし、患者様の理想を実現するお手伝いをいたします。
また、福岡院限定で提供している特別な施術コース「クマフル」は、目元のクマ治療に特化した定額プランをご用意しております。ハムラ法、脂肪注入、目の下の脂肪取りなど、複数の治療法を組み合わせ、患者様お一人ひとりに最適な治療を提供いたします。目元のクマにお悩みの方は、ぜひこの機会にご利用ください。
LINE公式アカウントにて、カウンセリングや予約を受付しております。どなたでもお使いになられるクーポンもご用意しておりますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。