天神駅徒歩すぐ美容外科・美容皮膚科

キャンペーン
LINE予約
症例
池袋本院
美容医療

ほうれい線のヒアルロン酸の効果はいつまで?2回目以降の効果も最大化するためのポイント

ほうれい線治療としてヒアルロン酸注入を経験された方、あるいは検討中の方から、「効果はいつまで続くのか?」「2回目以降、効果を最大化するにはどうすれば?」というご質問を非常に多くいただきます。ヒアルロン酸によるほうれい線の効果持続期間は、確かに治療を受ける上で最も気になる点の一つでしょう。

しかし、もしあなたが「ほうれい線=シワ」と捉え、単純にその溝を埋めることだけを考えているとしたら、持続期間以前に、根本的な満足を得られていない可能性があります。なぜなら、そのほうれい線の正体は、多くの場合「シワ」ではなく、加齢による骨格の変化や脂肪の下垂によって生じた「たるみの影」だからです。

ここでは、なぜヒアルロン酸を繰り返し注入しても満足しにくいのか、その根本原因を骨格レベルから解き明かします。そして、2回目以降の効果を最大化するために本当に重要な製剤の性能差と医師の注入技術について、プロの視点で徹底的に解説します。

 

 

【視点が変わる】そのほうれい線、本当の原因は「シワ」ではなかった?

ほうれい線治療としてヒアルロン酸を検討する際、多くの方が「効果はいつまで続くのか」を気にされます。しかし、期待した効果を得るためには、まずそのほうれい線がなぜできるのか、本当の原因を知ることが不可欠です。

もし、ほうれい線を深いシワだと捉え、単に埋めることだけを考えていると、根本的な解決には至りません。実は、ほうれい線の問題は皮膚表面ではなく、顔の土台である「骨格」から始まっています。ここでは、美容医療の専門的な観点から、ほうれい線が発生するメカニズムを深く解説します。

ほうれい線は皮膚でなく骨格から始まっている

ほうれい線が目立つようになる最も根本的な原因は、皮膚の老化だけにあるのではありません。その根底には、顔の「骨格」の変化、すなわち「骨萎縮(こついしゅく)」が存在します。加齢に伴い、身体の骨密度が低下するように、顔の骨もまた、徐々に萎縮し、形を変えていきます。

  • 若い骨格:頬骨(きょうこつ)や顎のラインがしっかりしており、土台が安定している。
  • 加齢した骨格:特に頬骨(特に上顎骨)が後退し、鼻の横の穴(梨状口:りじょうこう)が拡大。顔全体の骨格が小さく、平面的になっている様子を示す。

この「骨萎縮」こそが、ドミノ倒しの最初のピースです。ほうれい線の発生には、大きく分けて以下の3つの要因が連動しています。

骨萎縮(土台の劣化)

家で例えるなら、建物を支える「基礎(土台)」が沈下したり、劣化したりする状態です。顔の骨格は、その上にある脂肪や筋肉、皮膚を支える最も重要な土台です。この土台が萎縮することで、上層の組織を支えきれなくなります。

支持靭帯(リガメント)の弛緩(柱の緩み)

顔には、皮膚や脂肪組織を骨に固定する「支持靭帯(リガメント)」という強固な線維組織が点在しています。これは家の「柱」に相当します。加齢により、この靭帯が伸びたり緩んだりすると、組織を定位置に保持する力が弱まります。

脂肪組織の下垂(壁の中身のズレ)

土台が沈下し(骨萎縮)、柱が緩んだ(靭帯の弛緩)結果、壁の中身である「断熱材(=皮下脂肪)」は重力に従ってズレ落ちてしまいます。特に頬の高い位置にある脂肪(メーラーファットなど)が下垂することが、ほうれい線に直接的な影響を与えます。

このように、ほうれい線の問題は、皮膚という「表面」ではなく、骨格という「土台」から連鎖的に発生している構造的な問題なのです。

ほうれい線は溝ではなくたるみの影

前述した「骨萎縮」「靭帯の弛緩」「脂肪の下垂」という3つの根本原因が揃うと、何が起こるのでしょうか。

最も大きな変化は、頬の中央部にあった脂肪組織が、その支えを失い、口元に向かって下垂することです。しかし、口の周りの皮膚は、比較的強固に固定されています。その結果、下垂してきた頬の脂肪組織が、口元の固定されたラインの上で「せき止められ」、乗り上げるような形になります。

この時に生じる「頬のふくらみ」と「口元の間」の段差。この段差によって生まれる「影」こそが、ほうれい線の正体です。

  • 骨萎縮と靭帯の緩みにより、頬の脂肪(メーラーファット)が下垂。
  • 口輪筋周辺の固定部でせき止められ、段差が発生。
  • その段差に光が当たった結果、「影」としてほうれい線が認識される様子を示す。

つまり、多くの方がほうれい線と呼んでいるものは、皮膚が乾燥してできる「小ジワ」や、表情によって刻まれる「シワ」とは根本的に異なります。それは、顔の構造変化によって生じた「たるみ」であり、その境界線に落ちる「影」なのです。

この本質的な理解が、次の治療法の選択において極めて重要になります。もし、この「たるみの影」を、単純な「溝(シワ)」と誤解し、その溝だけをヒアルロン酸で埋めようとするとどうなるでしょうか。

根本的な「たるみ」は改善されていないため、溝は浅くなっても、ほうれい線の上(頬側)が不自然に膨らむだけで、かえって顔が大きく見えたり、満足のいく効果が得られなかったりする可能性があります。

ヒアルロン酸による「ほうれい線」治療で高い「効果」を追求するには、この「たるみの影」ができる根本原因、すなわち土台の再構築にアプローチする必要があるのです。

 

ほうれい線治療におけるヒアルロン酸注入|効果と基本知識の再確認

前の章では、ほうれい線の根本原因が「シワ」ではなく、骨格の変化などから生じる「たるみの影」であることを解説しました。では、この構造的な問題に対し、ヒアルロン酸注入はどのような役割を果たすのでしょうか。

ヒアルロン酸治療は、単に溝を埋めるだけでなく、失われたボリュームを補い、土台を支える「リフトアップ」の概念でアプローチが可能です。ここでは、ほうれい線治療におけるヒアルロン酸の基本的な知識と安全性、そして多くの方が気にする効果の持続期間について確認していきます。

ヒアルロン酸とは?厚生労働省承認品の安全性について

ヒアルロン酸は、もともと人間の皮膚、関節、眼球などに存在する多糖類の一種です。特に皮膚においては、真皮層に多く含まれ、その高い保水力によって肌のハリや弾力、潤いを保つ重要な役割を担っています。

美容医療で用いられるヒアルロン酸製剤は、この生体成分を精製・加工したゲル状の注入剤です。アレルギー反応のリスクが比較的低いとされるのは、元来体内に存在する成分がベースであるためです。

ヒアルロン酸注入の特筆すべき安全性の一つに、「可逆性(かぎゃくせい)」が挙げられます。これは、万が一、仕上がりが理想と異なった場合や、非常に稀ですが血管塞栓(血管が詰まること)などの合併症が起きた際に、「ヒアルロニダーゼ」という特別な酵素(分解注射)によって、注入したヒアルロン酸を溶かし、元の状態に戻すことが可能である点を指します。この「やり直しがきく」という特性は、他の非吸収性の注入剤にはない、大きな安全上の利点と言えます。

また、治療の安全性を考える上で重要なのが、厚生労働省承認品の使用です。日本国内で医薬品や医療機器を製造・販売するには、PMDA(医薬品医療機器総合機構)による厳格な審査を経て、厚生労働省の承認を得る必要があります。この承認を得た製剤は、品質、有効性、安全性について、国内の基準に基づいた科学的データが確認されていることを意味します。

一方で、承認を得ていない未承認品も存在します。これらは、海外では広く使用実績があっても、日本ではまだ承認申請がなされていない、あるいは審査中である製剤を指します。未承認品だからといって直ちに危険というわけではありませんが、国内での臨床データが不足していることや、正規の流通経路を経ていない可能性も否定できません。

ほうれい線治療において、長期的な安全性と確かな効果を最優先に考えるならば、厚生労働省承認品を選択することが一つの賢明な基準となるでしょう。

効果の持続期間に影響する因子と目安

ヒアルロン酸によるほうれい線治療の効果がいつまで続くのかは、最も関心の高い点の一つです。しかし、この持続期間は「約○ヶ月です」と一律に断言できるものではなく、複数の要因によって大きく変動します。

一般的に、ほうれい線治療に用いられるヒアルロン酸の持続期間の目安は、6ヶ月程度から、長いものでは18ヶ月~24ヶ月程度と幅があります。この差を生む主な因子は、以下の4つです。

製剤の種類(物理特性)

ヒアルロン酸製剤は、その製造技術(主に「架橋」と呼ばれる化学結合の度合い)によって、物性(硬さ、粘性、凝集性)が異なります。

一般的に、架橋度が高く、硬さのある製剤ほど、体内の酵素で分解されにくく、吸収されるまでの時間が長くなる(=持続期間が長い)傾向にあります。次の章で詳しく解説しますが、どの製剤を選ぶかが持続期間を左右する最初の分岐点です。

注入技術と量・注入層

医師の技術も持続性に影響します。例えば、皮膚の浅い層(真皮浅層)に注入するよりも、深い層(皮下組織や骨上)に注入した方が、血流や表情筋の動きによる影響を受けにくく、製剤が長持ちする傾向があります。ほうれい線の原因に対し、適切な深さに、適切な量を注入する技術が求められます。

個人の体質(代謝)

ヒアルロン酸は体内に存在する成分であるため、最終的には個々の新陳代謝によって徐々に分解・吸収されます。この代謝のスピードには個人差があり、代謝が活発な方や、特定の酵素の活性が高い方は、平均よりも吸収が早い可能性があります。

ライフスタイル(生活習慣)

注入後の生活習慣も影響を与えることがあります。例えば、頻繁なサウナの利用、過度な運動、注入部位の強いマッサージなどは、血行を促進し、製剤の代謝を早める可能性があります。また、喫煙習慣は組織の血流や状態に影響を与えるため、間接的に持続性に関わる可能性も指摘されています。

これらの要因が複雑に絡み合うため、効果の持続期間はあくまで個人差があることを理解しておく必要があります。(※持続期間はあくまで一般的な目安であり、効果を保証するものではありません)

 

効果と価格を左右するヒアルロン酸製剤の性能差

前の章では、ヒアルロン酸の基本的な知識と安全性、そして効果の持続期間には製剤の種類が大きく関わることを解説しました。実際にクリニックの料金表を見ると、同じヒアルロン酸注入でありながら、製剤によって価格が大きく異なることに気づくはずです。

この価格差は、単なるブランドイメージによるものではなく、製剤の品質と性能、すなわち「物理特性」の違いに基づいています。ここでは、ほうれい線治療の仕上がりと持続性を決定づける製剤の科学的な性能差(レオロジー)と、目的別の選び方について専門的に解説します。

なぜ価格が違う?製剤の硬さ(G’)とまとまりやすさ(凝集性)

ヒアルロン酸製剤の価格と性能を理解する上で欠かせないのが、「レオロジー(Rheology)」という概念です。これは物質の流動性や変形に関する科学であり、ヒアルロン酸製剤が注入後に体内でどのように振る舞うかを決定づける重要な指標です。

特に重要な物理特性として、主に「G’(ジープライム:弾性率)」と「凝集性(ぎょうしゅうせい)」が挙げられます。

G’(弾性率):硬さとリフト力

G’とは、製剤の「硬さ」や「形状を維持しようとする力(弾性)」を示す指標です。

G’が高い製剤

硬く、変形しにくい特性を持ちます。外から力が加わっても元の形を保とうとする力が強いため、組織を内側からしっかりと持ち上げる「リフト力」に優れています。第1章で解説した「骨萎縮」によって失われた土台を再構築するように、骨の上から深く注入し、顔の構造を支える治療に適しています。まさに「骨のように土台をしっかり支える力」が求められる場面で使用されます。

G’が低い製剤

柔らかく、流動性が高い特性を持ちます。皮膚の浅い層や、唇のように非常にデリケートでよく動く部位の微細な調整に適しています。

凝集性(Cohesivity):まとまりやすさと成形性

凝集性とは、製剤がゲルとして「まとまろうとする力」を指します。

凝集性が高い製剤

注入後もゲルが分離・拡散しにくく、一つの塊としてまとまる性質があります。これにより、注入部位でのなじみが良く、表情の動き(笑ったり話したりする)に合わせて自然に伸縮し、滑らかな仕上がり(成形性)を実現しやすいとされます。

凝集性が低い製剤

やや拡散しやすく、特定の形状を保つ力は相対的に弱くなります。

これらの物理特性は、ヒアルロン酸の分子同士を結合させる「架橋(かきょう)」という化学処理技術によって精巧にコントロールされています。

一般的に、G’が高く、リフト力や持続性に優れる製剤や、凝集性が高く自然な仕上がりを追求した製剤は、より高度な製造技術を要するため、価格が高くなる傾向にあります。「ほうれい線」治療の「効果」を最大化するには、価格の多寡だけでなく、目的に合った性能を持つ製剤を選ぶことが不可欠です。

【性能比較表】目的別・ほうれい線治療に適したヒアルロン酸製剤

ほうれい線治療と一口に言っても、その原因が「骨格の萎縮による土台の崩れ」なのか、「皮膚の浅い層の溝」なのかによって、使用すべきヒアルロン酸製剤の特性は全く異なります。

例えば、土台を支えるリフトアップが主目的であればG’の高い製剤を深い層(骨上)に、表情によってできる浅い溝を滑らかにすることが目的であればG’は中程度で凝集性の高い製剤を浅い層に、といった使い分けが必要です。

以下に、厚生労働省承認品である「ジュビダームビスタ®」シリーズを例に、物理特性と主な使用目的の違いを示します。

製剤名 物理特性(硬さ/G’・凝集性) 主な注入目的・部位 持続期間目安
ジュビダームビスタ®
ボリューマ XC
G’:高い(硬い)
リフト力に優れる
・顔の構造的なリフトアップ
・土台(骨萎縮)の補強
(例:頬骨上、顎)
約18ヶ月~24ヶ月
ジュビダームビスタ®
ボリフト XC
G’:中程度
凝集性が高く滑らか
・中程度のほうれい線の溝
・表情に合わせて動く部位
(例:頬、マリオネットライン)
約12ヶ月~18ヶ月
ジュビダームビスタ®
ボルベラ XC
G’:低い(柔らかい)
非常に滑らかでなじみやすい
・皮膚表層の浅い溝、小ジワ
・デリケートな部位
(例:唇、目の下)
約12ヶ月

上記の製剤は一例です。他にも特性の異なる様々な承認品が存在します。 どの製剤が最適かは、個々の骨格、皮膚の厚さ、たるみの程度、目指す仕上がりを医師が診察の上で総合的に判断します。

 

仕上がりの差は9割技術?感動レベルを生む医師の注入法とは?

前の章で、ほうれい線治療の効果を最大化するためには、G’(硬さ)や凝集性といった製剤の性能を見極めることが重要だと解説しました。しかし、どれほど高性能な製剤を用いたとしても、それだけでは感動レベルの仕上がりは得られません。

なぜなら、最終的な結果を左右する最も大きな要因は、それを使う医師の技術にあるからです。ヒアルロン酸注入は、注射という手技のシンプルさとは裏腹に、非常に奥深い知識と技術が要求される治療です。ここでは、なぜ医師によって仕上がりに圧倒的な差が生まれるのか、その技術的な核心に迫ります。

溝を埋める注入 vs 構造を支える注入

ほうれい線治療におけるヒアルロン酸注入のアプローチは、大きく二つに大別されます。一つは、目に見えるほうれい線の「溝」そのものにヒアルロン酸を注入し、物理的に埋めて浅くする充填(じゅうてん)注入。

もう一つは、第1章で解説したほうれい線の根本原因、すなわち「たるみ」を引き起こしている土台(骨格や靭帯)の緩みにアプローチする構造(リフトアップ)注入です。

過去のヒアルロン酸治療では、前者の「溝を埋める」方法が主流でした。しかし、この方法だけでは、たるみの影の根本は解決していないため、注入量が多くなりがちで、ほうれい線の周囲が不自然に盛り上がるヒアル顔と呼ばれる状態になりやすいという欠点がありました。

顔の皮膚は、浅い層から「表皮」「真皮」「皮下組織(脂肪層)」「SMAS(筋膜)」「筋肉」「深部脂肪層」「骨膜」「骨」といった複雑な層構造をしています。

ヒアルロン酸をどの「深さ(層)」に注入するかによって、その役割は全く異なります。

例えば、「構造を支える」注入では、萎縮した骨を補うように「骨膜上」に高G’の製剤を置くことで、土台を強固にし、リフトアップ効果を生み出します。

また、緩んだ支持靭帯の根元を補強するように注入することもあります。これに対し、「溝を埋める」注入は、主に「皮下組織」の浅い層に行い、ボリュームアップ効果で影をぼかします。

真に「ほうれい線」の「効果」を追求する現代の注入治療は、この「構造注入」を主体とし、まず顔全体のバランスを整えリフトアップを図ります。

その上で、最後に残ったわずかな影を「充填注入」で微調整する、というコンビネーション治療が主流です。この解剖学に基づいた戦略的な注入こそが、医師の技術の根幹と言えます。

ヒアルロン酸の「自然で美しい仕上がり」条件とは?

ヒアルロン酸注入における「自然で美しい仕上がり」とは、どのような状態を指すのでしょうか。それは、真顔(無表情)の時にほうれい線が浅くなっている、というだけでは不十分です。

最も重要なのは、笑ったり、話したりした時の表情が自然であること。

人間の顔は、非常に複雑な表情筋の動きによってコミュニケーションをとっています。ほうれい線の溝を埋めることだけに固執し、不適切な層に、不適切な量のヒアルロン酸を注入してしまうと、真顔は良くても、笑った時にヒアルロン酸が不自然に盛り上がったり、表情がこわばったりする原因となります。

これを避けるために、注入前に必ず、無表情の状態だけでなく、実際に笑ったり、口を動かしたりしてもらい、筋肉の動き方、脂肪の移動の仕方、そして靭帯の強さを詳細に診察します。 「この方は、笑うとこの筋肉が強く動くから、ここに注入するとリスクがある」「この靭帯が緩んでいるから、ここを支えるのが最優先だ」といった具合に、動的な状態を予測しながら注入計画を立てます。

第3章で解説した製剤の特性(レオロジー)の深い理解も不可欠です。リフトアップ注入で土台を支える層には高G’の製剤を、表情に合わせて滑らかに動いてほしい層には高凝集性の製剤を、といったように、解剖学的な注入層と製剤の物理特性をパズルのように組み合わせていきます。

ヒアルロン酸注入は、医師の解剖学的知識、美的センス、そして注入技術のすべてが問われる、まさに「アート」と「サイエンス」の融合です。

目指すのは、治療したことが他人に気づかれるのではなく、「なんだか最近、若々しくなった」「疲れた印象がなくなった」と言われるような、その人本来の美しさを引き出す自然な変化です。

 

ヒアルロン酸以外の選択肢|HIFUや糸リフトとの比較

前章まで、ほうれい線の根本原因にアプローチするヒアルロン酸注入の奥深さ、特に製剤の選定と医師による構造注入技術の重要性を解説してきました。

このアプローチは、失われたボリュームを補い、土台を支える上で非常に高い効果を発揮します。しかし、ほうれい線の原因は一つではなく、骨格、靭帯、脂肪、皮膚の緩みなど、複数の要因が絡み合っています。そのため、最適な治療法も一つとは限りません。

もしたるみの影の主因が、ヒアルロン酸が得意とするボリュームロスよりも、皮膚の緩みや脂肪の明確な下垂である場合、他のアプローチが有効なケースもあります。ここでは、視野を広げ、ほうれい線治療でよく比較検討されるHIFU(ハイフ)や糸リフト(スレッドリフト)との違いを公平に解説します。

あなたのほうれい線に最適な治療法は?

ほうれい線の状態や主な原因によって、推奨される治療法は異なります。これらは単独で行うこともあれば、組み合わせて行うことで、より高い効果を目指すこともあります。

ヒアルロン酸注入が適しているケース

主な原因が「ボリュームロス(容量減少)」にある場合です。第1章で触れた「骨萎縮」や、頬の深い部分の脂肪(深部脂肪)が減少して土台が沈み、結果として影ができている状態がこれにあたります。

特に、顔が痩せている、またはコケている印象があり、構造的な支えが失われている場合に、ヒアルロン酸で失われた土台を再構築し、ボリュームを補う「リフトアップ注入」が最も効果的です。

HIFU(ハイフ)が適しているケース

主な原因が「皮膚の緩み」や「SMAS(スマス:表情筋の筋膜)」の弛緩にある場合です。HIFUは高密度の超音波エネルギーを皮下の特定の層(主にSMAS層や真皮層)に照射し、熱凝固による「引き締め」を促します。

ボリュームロスは少ないものの、顔全体の皮膚が緩んでたるみの影が出ている、という場合に適しています。土台のボリュームは変えず、組織を収縮させる(シュリンクさせる)アプローチです。

糸リフト(スレッドリフト)が適しているケース

主な原因が「脂肪組織の明確な下垂」にある場合です。加齢により頬の脂肪(メーラーファットなど)が重力に負けて明らかに下垂し、ほうれい線の上に乗っかっている状態です。この場合、コグ(トゲ)のついた医療用の糸を皮下に挿入し、下垂した組織を物理的に「引き上げる」治療が直接的な解決策となり得ます。

これらはあくまで一般的な分類であり、実際にはこれらの要因が複合していることがほとんどです。そのため、医師が診察でどの要因が最も強く影響しているかを見極め、治療法を提案することが重要です。

【治療法比較表】ヒアルロン酸・HIFU・糸リフトの違い

それぞれアプローチする層や効果のメカニズムが異なります。以下の表は、それぞれの特徴を比較したものです。

治療法 ヒアルロン酸注入 HIFU(ハイフ) 糸リフト(スレッドリフト)
アプローチ層 骨膜上、皮下組織、真皮層など(目的に応じて多層) SMAS(筋膜)、皮下脂肪層、真皮層 皮下脂肪層(SMASの直上)
効果の現れ方 注入直後から 施術後1~3ヶ月かけて徐々に(熱による引き締め) 施術直後から(物理的な引き上げ)
ダウンタイム 軽度(内出血、腫れ、赤みが出る場合がある) ほぼ無し(赤み、筋肉痛のような鈍痛が出る場合がある) 中程度(腫れ、痛み、内出血、ひきつれ感が数日~2週間程度)
持続期間目安 約6ヶ月~24ヶ月(製剤による) 約6ヶ月~1年 約1年~2年(糸の種類や本数による)
費用目安 (製剤1本あたり)
5万円~15万円程度
(全顔)
5万円~20万円程度
(本数による)10万円~40万円程度
メリット ・ボリューム補充と土台の再構築が可能
・デザインの自由度が高い
・可逆性がある(溶かせる)
・ダウンタイムがほぼ無い
・皮膚のタイトニング(引き締め)効果
・針を使わない
・物理的なリフトアップ力が強い
・下垂した脂肪組織の移動が可能
デメリット ・医師の技術差が出やすい
・物理的な引き上げ力は無い
・血管塞栓のリスク(極稀)
・効果がマイルドで即時性がない
・ボリュームは増やせない
・施術中に痛みを感じる場合がある
・ダウンタイムが比較的長い
・一時的なひきつれ感や痛み
・ボリュームは増やせない

費用や持続期間はあくまで一般的な目安であり、クリニックや使用する機器・製剤によって異なります。

このように、各治療には一長一短があります。ほうれい線の効果を正しく得るためには、一つの治療法に固執するのではなく、ご自身の状態を正確に診断し、時にはこれらを組み合わせて総合的にアプローチすることが、満足への近道となります。

 

まとめ

ほうれい線のヒアルロン酸治療に関して、効果の持続期間から、2回目以降の効果を最大化するポイントまでを深く掘り下げて解説しました。本記事で最もお伝えしたかったのは、ほうれい線は単なる「皮膚のシワ」ではなく、「骨格の萎縮」「靭帯の弛緩」「脂肪の下垂」といった複合的な要因が引き起こす「たるみの影」であるという視点です。

この本質を理解すれば、治療アプローチが「溝を埋める」対症療法から、「構造を支え、土台を再構築する」根本治療へと変わります。そして、この根本治療の成否を分けるのが、目的に応じた「製剤の物理特性(硬さや凝集性)」の戦略的な選択と、顔の解剖を熟知した医師による高度な「注入技術」です。

ヒアルロン酸によるほうれい線の効果を真に実感し、持続させるためには、価格や手軽さだけでなく、ご自身の状態を正確に診断し、最適な治療法を提案・実行できる信頼できる医師を見極めることが不可欠です。ここの情報が、あなたが賢明な選択をし、自信に満ちた未来を手に入れるための一助となれば幸いです。

アラジン美容クリニック福岡院では、「ウソのない美容医療の実現」をモットーに、患者様お一人ひとりの美のお悩みに真摯に向き合い、最適な治療をご提案しております。無駄な施術を勧めることなく、症状の根本的な原因にアプローチし、患者様の理想を実現するお手伝いをいたします。

また、福岡院限定で提供している特別な施術コース「クマフル」は、目元のクマ治療に特化した定額プランをご用意しております。ハムラ法、脂肪注入、目の下の脂肪取りなど、複数の治療法を組み合わせ、患者様お一人ひとりに最適な治療を提供いたします。目元のクマにお悩みの方は、ぜひこの機会にご利用ください。

LINE公式アカウントにて、カウンセリングや予約を受付しております。どなたでもお使いになられるクーポンもご用意しておりますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。

関連記事

PAGE TOP