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部分痩せは嘘?自己流でできない理由と医療で目指せる範囲を医師が解説

部分痩せとは、腹部や太ももなど気になる特定の部位の脂肪だけを減らすことを指します。食事制限・運動・エステなどの自己流の方法では、医学的に部位を指定して脂肪を落とすことはできません。

これは努力が足りないのではなく、脂肪は全身の脂肪細胞から均等に分解されるという体の仕組みによるものです。腹筋を続けてもお腹だけが残る、スクワットをしても太ももが変わらないという経験は、意志の問題ではなく生理的な必然なのです。

本記事では、自己流で部分痩せができない理由を体の仕組みから解説し、医療痩身の臨床エビデンス、お腹・太ももに対応した施術の種類と選び方を医師監修のもとで整理しています。特定部位の脂肪に長年悩んできた方が、根拠に基づいた判断をするための参考になれば幸いです。

 

 

ダイエットで部分痩せができない理由

導入で触れたとおり、食事制限や運動によって特定部位の脂肪だけを優先的に減らすことは医学的にできません。その根本的な理由は、脂肪が燃焼するときに「部位を選ばない」という体の仕組みにあります。

なぜお腹や太ももだけが最後まで残るのか、そして「細くなった気がする」という体験が何を意味するのかを、体の構造から整理します。

この章のポイント
・脂肪の燃焼はホルモンが全身一斉に指令する
・皮下脂肪は内臓脂肪より落ちにくく終盤に減少
・むくみ解消・たるみ改善は脂肪減少とは別物

脂肪が全身から減るメカニズム

体内の脂肪が分解されるとき、特定の部位だけが選択的に燃えることはありません。脂肪燃焼は脂肪分解ホルモン(カテコールアミン類)が血流を通じて全身の脂肪細胞に届くことで均等に進みます。

エネルギーが不足した状態になると、体はアドレナリン・ノルアドレナリンなどのカテコールアミン類を分泌し、全身の脂肪細胞に貯蔵されたトリグリセリドをグリセロールと脂肪酸に分解するよう指令を出します。

分解された脂肪酸は血流に乗り、筋肉や肝臓でエネルギーとして消費されます。この過程は全身の脂肪細胞に対してほぼ同時に起こるため、腹筋運動をしてもお腹の脂肪だけが選択的に燃えることはありません。これは現在の運動生理学における共通した見解です。

重要なのは、「どの部位を動かすか」ではなく「体全体のエネルギー収支がどうなっているか」が脂肪燃焼の主要因だという点です。腹筋をどれだけ鍛えても、体全体のエネルギー消費が蓄積量を上回らなければ腹部の皮下脂肪は減りません。部位を絞ったトレーニングは筋肉を増やすことには効果的ですが、特定部位の脂肪だけを選んで燃焼させる手段にはならないのです。

お腹・太ももが最後まで残る理由

お腹・太もも・お尻の皮下脂肪が落ちにくいのは、これらの部位の脂肪細胞が脂肪分解ホルモンへの感受性において内臓脂肪と大きく異なるためです。

体に蓄積する脂肪には大きく「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類があります。内臓脂肪は腸・肝臓など内臓周辺に蓄積し、脂肪分解ホルモンへの感受性が高いため、食事制限や有酸素運動で比較的短期間に減少しやすい特徴があります。

一方、皮下脂肪は皮膚の直下に蓄積し、同じホルモンへの感受性が低いため分解速度が遅く、特に下腹部・太もも・お尻は脂肪燃焼の後期になってようやく減り始めます。

比較項目 内臓脂肪 皮下脂肪
主な蓄積部位 腸・肝臓など内臓周辺 下腹部・太もも・お尻
落ちやすさ 比較的落ちやすい 落ちにくい
ホルモン感受性 高い 低い
脂肪燃焼の順番 ダイエット初期〜中期 ダイエット中期〜後期
女性ホルモンの影響 比較的少ない 蓄積が促進される

女性ホルモン(エストロゲン)は皮下脂肪の蓄積を促進する作用があるため、女性は特に下腹部・太ももの皮下脂肪がつきやすく、かつ落ちにくい傾向があります。

加齢とともに基礎代謝が低下すると全体の脂肪燃焼量が減少し、もともと落ちにくい部位の皮下脂肪が一層残りやすくなります。「食事も運動も続けているのに、ここだけが変わらない」という体験は、こうした生理的な背景を持っています。

部分痩せと勘違いしやすいケース

一時的に「細くなった」と感じるケースの中には、脂肪の減少ではなく別のメカニズムによるものが含まれています。代表的なのはむくみの解消とたるみの改善です。

マッサージや着圧アイテムを使うと、皮下組織に滞留していた余分な水分(むくみ)が排出され、脚やお腹のサイズが一時的に小さく見えることがあります。これは皮下脂肪の量が変化したのではなく、組織間液が移動した結果にすぎません。

翌日や数日後に元のサイズに戻ることが多いのは、このためです。同様に、筋トレで筋肉が増えると皮膚が引き締まってシルエットが改善されますが、これは脂肪細胞の数や体積が変わったわけではありません。

また、「セルライト」と呼ばれる皮膚の凸凹は、皮下脂肪と結合組織の構造的な変化によって生じるものです。エステや特定の機器によって凸凹感が一時的に軽減されることがありますが、脂肪細胞そのものの変化には至らないため、部位の脂肪量が減ったことにはなりません。

「施術を受けたら細くなった」という体験の多くが、むくみ・たるみ・セルライト改善によるものであり、この混同が「自己流で部分痩せができた」という誤解を広げた一因と考えられています。

 

部分痩せが嘘・ありえないと言われる科学的根拠

前章で説明したとおり、脂肪の分解は全身の脂肪細胞で均等に進み、部位を選ぶことはできません。「部分痩せは嘘」と言われる背景には、自己流による部位特異的脂肪減少を否定する科学的根拠と、誇大広告への社会的な反動という2つの要因が重なっています。

この章では、研究データが示す事実と、言葉が一般に広まった経緯の両方を整理します。

この章のポイント
・メタ分析で局所運動による部位特異的脂肪減少は統計的に否定
・広告誇大表現への反動が「嘘」という認識を広めた側面がある
・「医療を含む全て不可能」という意味ではない点に注意

メタ分析が示す部分痩せの否定

自己流(食事・運動)による部分痩せは、複数の研究を統合したメタ分析によって統計的に否定されています。局所的な運動を実施しても、その部位の脂肪が優先的に減少することは確認されていません。

2022年に発表された系統的レビューおよびメタ分析(Ramirez-Campillo ら、Human Movement 23(3))では、14〜71歳の被験者を含む13研究・計1,158名のデータが統合されました。この研究が採用したのは、片側の脚や腕だけをトレーニングし、鍛えていない反対側の肢を対照として脂肪の変化を比べるという設計です。同一人物の体内で比較するため、食事内容や生活習慣といった個人差の影響を受けにくい点が特徴です。

解析の結果、部位特異的な脂肪減少の統合効果量は-0.03(95%CI: -0.10〜0.05、p=0.508)と示されました。この数値は統計的にゼロと区別できない水準です。37の比較のうち17は鍛えた側の脂肪がより減り、20は鍛えていない側がより減っており、方向性すら一定していませんでした。動かした部位の脂肪が優先的に減るという仮説は、この設計では支持されなかったことになります。

「効果量」とは複数の研究を横断して効果の大きさを統一的に評価する指標であり、-0.03はほぼ効果なしに相当します。統合された13研究はいずれも方法論的な質が高いと評価されており、研究間のばらつき(異質性)も小さく、報告バイアスも検出されませんでした。

なお、腹筋運動と腹部の脂肪については、対側との比較ができないため別の研究で検証されています。腹部の抵抗運動を数週間継続しても腹部皮下脂肪は有意に減少しなかったとする報告があり、部位を問わず同様の結論が得られています。局所運動で特定部位の脂肪だけを優先的に落とすことはできないという見解は、現在の運動科学において広く共有されています。

「嘘」と広まった背景と誤解

「部分痩せは嘘」という言葉が広まった背景には、科学的な否定だけでなく、誇大広告への反動という社会的な要因もあります。

この器具でお腹だけ引き締める、このマッサージで太もも集中ケアができるといった美容器具・エステ・健康食品の広告は、科学的根拠が薄いまま長年にわたって展開されてきました。こうした商品を購入・体験したものの脂肪減少が見られなかったという経験が積み重なり、部分痩せは嘘だったという認識が広まった側面があります。SNSやブログでその声が拡散されたことも、この認識を後押ししました。

ただし、この言説の適用範囲には注意が必要です。「部分痩せは嘘」という表現が否定しているのは主に自己流の食事・運動・エステによる部位特異的な脂肪減少であり、あらゆる手段で部分痩せは絶対に不可能という意味ではありません。

医療痩身(脂肪冷却・脂肪溶解注射など)は自己流とは異なる作用メカニズムを持ちます。この区別を理解することが、情報に振り回されずに判断するうえで前提になります。

取り組み 自己流で可能か 理由・補足
全身の体脂肪率を下げる 可能 食事・運動で全体の収支管理
特定部位だけ脂肪を減らす 不可能 部位選択はホルモンが決定
むくみを解消して細く見せる 可能(一時的) マッサージ・水分管理で対応
筋肉をつけて引き締める 可能 筋トレで筋量増加・代謝向上
皮下脂肪の部位を指定して減らす 不可能 医療痩身が対応する領域

この整理から分かるとおり、自己流のダイエットは全身の体脂肪を下げること、筋肉で引き締めること、むくみを解消することには有効です。一方、狙った部位の皮下脂肪を選択的に減らすことは、食事・運動の範囲では達成できません。

 

医療痩身なら部分痩せは可能か

前章では「部分痩せは嘘」という言説が食事・運動の範囲に限定されることを確認しました。では、医療痩身なら狙った部位の脂肪を減らすことができるのか。

結論として、医療痩身(特に脂肪冷却)は特定部位の脂肪細胞に直接作用するため、部位を指定した脂肪減少を目指せるとされています。ただし、効果の程度には個人差があります。この章では、その科学的根拠と安全性のデータを整理します。

この章のポイント
・医療は脂肪細胞数を減らし食事・運動はサイズを縮小
・脂肪冷却の減少率は超音波計測で19.6〜32.3%と報告
・副作用は軽度・一過性でリバウンドしにくいとされる

自己流と医療の決定的な違い(細胞の数 vs サイズ)

食事制限・運動と医療痩身の最も根本的な違いは、脂肪細胞そのものに対する作用です。食事・運動は脂肪細胞のサイズを縮小させるのに対し、医療痩身は脂肪細胞の数を物理的に減少させます。

人体の脂肪細胞の数は、成人になるとほぼ一定に保たれるとされています。食事制限や有酸素運動によって体脂肪が減少するとき、脂肪細胞はなくなるのではなく、中に蓄えていたトリグリセリドを放出して縮んだ状態になります。縮んだ脂肪細胞は再び栄養を蓄えることができるため、食事量が増えれば元のサイズに戻りやすく、これがリバウンドの主な原因の一つと考えられています。

一方、脂肪冷却(クライオリポリシス)は脂肪細胞を冷却することでアポトーシス(細胞の自然死)を誘導し、脂肪細胞の数そのものを減少させます。

数が減った脂肪細胞は基本的に再生しないとされるため、施術後の脂肪細胞数は施術前より少ない状態が持続するとされています。これが食事・運動との決定的な違いであり、部位を指定した脂肪減少を目指せる根拠の一つとなっています。

比較項目 食事・運動 医療痩身(脂肪冷却)
脂肪細胞への作用 サイズの縮小 数の減少(アポトーシス)
部位の指定 不可(全身から均等) 可(施術部位を指定)
リバウンドのしやすさ しやすい(細胞が残存) しにくいとされる
侵襲性 なし 非侵襲(切らない)
効果の現れ方 継続で徐々に変化 数週間〜数ヶ月で現れる

ただし、医療痩身によって脂肪細胞の数が減少しても、残存する脂肪細胞が過剰な栄養摂取によって肥大すれば、施術部位のサイズが再び増加する可能性はあります。

脂肪冷却は脂肪細胞の数にアプローチする手段であり、体全体のエネルギー収支を整える食事・運動の取り組みと組み合わせることで、より持続的な効果が期待できるとされています。

脂肪冷却のエビデンスと安全性

脂肪冷却(クライオリポリシス)による部位特異的な脂肪減少の効果は、複数の臨床研究で報告されており、現時点で一定の科学的根拠があるとされています。

2023年に発表されたレビュー研究(Hetzel ら、Journal of Cosmetic Dermatology, 2023)では、米国で実施された18件の研究を対象に、脂肪冷却による治療部位の脂肪厚の減少が超音波計測で2.0〜5.1mm(19.6〜32.3%)、キャリパー計測で2.3〜7mm(14.9〜21.5%)と報告されています。腹部皮下脂肪を対象とした前向き多施設試験(Choi ら、Dermatologic Therapy, 2022)でも、施術後の脂肪減少が報告されています。

ただしこの試験は対照群を置かない単群デザインであり、比較対象がない点は結果を読むうえでの前提になります。これらはいずれも個人差のある数値であり、全ての方に同様の結果が得られることを示すものではありません。

安全性については、19件の研究を対象とした系統的レビュー(Ingargiola ら、Plastic and Reconstructive Surgery, 2015)において、脂肪冷却の副作用は施術部位の一時的な発赤・腫脹・痛みなどが主であり、多くは短期間で自然軽快すると報告されています。血中脂質や肝機能検査値への有意な影響も認められませんでした。

一方で、「逆説性脂肪過形成(PAH)」と呼ばれる、治療部位の脂肪がかえって増加する合併症が報告されています。頻度は3,453施術サイクル中4例と稀ですが、発生した場合は自然に改善せず追加の処置を要することがあります。

なお、脂肪冷却の有効性を「適度に有効」と位置づけたうえで、対象となった研究は数が限られ検出力や質が十分でないものも含まれるため、さらに質の高い研究が必要であるとレビュー自身が指摘しています。エビデンスは存在するものの、確立された水準とまでは言えない段階にあると理解しておくのが正確です。施術前には医師による適応評価を受けることが前提になります。

 

部分痩せに用いる医療施術の種類と部位別の選び方

前章では医療痩身が部位を指定した脂肪減少を目指せる根拠と、脂肪冷却の臨床データを確認しました。実際に施術を選ぶ段階では、複数の選択肢から自分の部位・脂肪量・ダウンタイムの許容範囲に合ったものを選ぶことになります。

この章では、主な医療痩身施術の特徴を比較し、お腹と太ももの部位別にどの施術が対応しやすいかを整理します。

この章のポイント
・脂肪冷却は非侵襲で国内唯一の承認冷却機器がある
・脂肪溶解注射成分は国内未承認・適応外の使用となる
・お腹・太ももは部位の性質により対応しやすい施術が異なる

主な医療痩身施術の比較

部分痩せに用いる医療施術は大きく「脂肪冷却」「脂肪溶解注射」「脂肪吸引」の3種類に分類されます。侵襲度・ダウンタイム・承認状況がそれぞれ異なり、適している部位や脂肪量も異なります。

脂肪冷却は皮膚の上から冷却機器を当てて脂肪細胞にアポトーシスを誘導する非侵襲的な施術です。国内ではクールスカルプティングが2017年に厚生労働省の承認を取得した唯一の冷却脂肪減少装置とされています。それ以外のブランドの冷却機器は国内未承認・適応外での使用となるため、施術前に機器の承認状況を確認することが安全性の判断につながります。

脂肪溶解注射は薬剤を気になる部位に直接注射して脂肪細胞を溶解させる施術です。使用される主な成分はデオキシコール酸やカベリン(PCDC製剤)です。デオキシコール酸は米国でKybellaとしてFDAの承認を受けていますが、承認された適応は顎下部(二重あご)の脂肪に限られており、腹部や太ももへの使用は米国においても適応外にあたります。

いずれの成分も日本国内では未承認の医薬品であり、国内で用いる場合は医師の責任における自由診療となります。未承認医薬品を使用する場合、医師には未承認である旨・入手経路・国内に同一成分の承認薬があるかどうか・諸外国での安全性情報を説明することが求められています。小範囲の脂肪に対応しやすい特徴がある一方、注射後の腫脹や内出血が数日〜数週間続く場合があります。

脂肪吸引はカニューレという細い管を挿入して脂肪を直接吸引する外科的施術です。即効性と高い脂肪除去量が特徴で、広範囲の脂肪除去に対応しやすい方法です。

一方で、麻酔と切開を伴う外科手術であり、ダウンタイムが数週間〜1ヶ月程度に及ぶことに加え、他の2つの施術とはリスクの性質が異なります。

出血、感染、皮膚の凹凸や左右差といった整容上の問題のほか、頻度は低いものの塞栓症や臓器損傷など重篤な合併症が報告されており、国内でも死亡に至った事例が報じられています。麻酔管理を含めた緊急時の対応体制が整っているかどうかは、検討時に必ず確認すべき項目になります。

施術名 侵襲度 ダウンタイム 主な対象部位 承認状況(国内)
脂肪冷却(クールスカルプティング) 非侵襲 ほぼなし〜数日 腹部・太もも・二の腕など 厚労省承認(2017年)
脂肪溶解注射(デオキシコール酸等) 低〜中 数日〜2週間程度 局所・小範囲の脂肪 国内未承認(適応外)
脂肪吸引 高(外科手術) 数週間〜1ヶ月程度 広範囲・大量の脂肪 外科手術(重篤合併症あり)

この表は一般的な傾向を整理したものであり、実際の適応は個人の脂肪量・状態・クリニックの施術方針によって異なります。各施術の費用は部位・回数によって変わるため、一般的な目安として複数院のカウンセリングで確認することをおすすめします。

お腹の部分痩せに向く施術

腹部の皮下脂肪は面積が広く層の厚さも個人差があるため、広範囲に対応できる施術が選択されやすい部位です。脂肪冷却はダウンタイムが少なく腹部への適応もある選択肢の一つです。

腹部の皮下脂肪は上腹部・下腹部・側腹部(脇腹)など複数のエリアに分散しています。脂肪冷却は施術アプリケーター(吸引パーツ)を当てる位置を変えることで複数エリアを対象にできるとされており、腹部の広範囲にわたる皮下脂肪に対して使用されることがあります。

前章で紹介した腹部皮下脂肪を対象とした多施設試験(Choi ら、Dermatologic Therapy, 2022)のほか、腹部を対象とした報告は複数あり、脂肪冷却のエビデンスが比較的蓄積されている部位の一つです。

脂肪量が少ない場合や局所的に気になる部位(ヘソ周りなど)には脂肪溶解注射が選択されることもありますが、使用成分が国内未承認であることを踏まえ、医師からの十分な説明を受けたうえで判断することが前提となります。腹部の脂肪量・層の厚さ・分布は超音波検査でより正確に把握できる場合があるため、カウンセリング時に確認できるクリニックを選ぶことも判断の参考になります。

太ももの部分痩せに向く施術

太ももの皮下脂肪は前面(大腿四頭筋上)・内側(内もも)・外側(張り出し)でそれぞれ形状と脂肪量が異なり、どのエリアを対象にするかによって選ぶ施術が変わります。特に内側と外側の皮下脂肪は女性ホルモンの影響を受けやすく、自己流ダイエットでも変化が現れにくいエリアとして知られています。

太ももに対する脂肪冷却は施術部位として対応しているクリニックもありますが、腹部と比較すると皮膚のつまみやすさや脂肪層の厚みに個人差が大きく、アプリケーターの適合性は事前に確認が必要です。クールスカルプティングは大腿部も適応部位に含まれており、国内でも使用されることがあります。

ただし脂肪層が薄い場合や皮膚をつまみにくい形状の場合はアプリケーターが適合しないこともあるため、担当医師が施術部位の適合性を判断します。カウンセリング時に太もものどのエリアが気になるかを具体的に伝えることが必要です。

内ももや外ももの局所的な気になりに対しては、脂肪溶解注射が選択肢として提示されることがあります。ただし前述のとおり、国内で使用される成分(デオキシコール酸・カベリン等)は未承認であるため、クリニックが使用成分・承認状況・リスクを明示しているかを事前に確認することが安全な選択につながります。

 

部分痩せのよくある疑問

部分痩せに関してよく寄せられる疑問を、医師監修のもとで回答します。自己流のダイエットで部分痩せができない理由、医療痩身のエビデンスと費用の目安、クリニック選びのポイントまで、カウンセリング前の判断に役立てていただける内容を中心に整理しています。

部分痩せは本当にできないのか

食事・運動では部位を選んで脂肪を落とすことはできません。医療痩身(脂肪冷却等)は特定部位の脂肪細胞にアプローチできるため、部位を指定した脂肪減少を目指せるとされています(効果には個人差があります)。

お腹だけ痩せる方法はあるか

食事・運動ではお腹の脂肪だけを優先的に減らすことはできません。お腹の皮下脂肪へのアプローチとして医療痩身(脂肪冷却等)が選択肢になりますが、効果には個人差があります。

太ももの部分痩せに向く施術は何か

太ももの脂肪量・エリア(前面・内側・外側)によって適する施術が異なります。脂肪量が多い場合は脂肪冷却、局所的な気になりには脂肪溶解注射が選択肢になります(脂肪溶解注射成分は国内未承認)。

医療痩身にエビデンスはあるか

脂肪冷却については複数の臨床研究で脂肪減少が報告されており、2023年のレビューでは超音波計測で19.6〜32.3%の減少が示されています。ただし同レビューは効果を「適度に有効」と位置づけ、研究の質にはさらなる改善が必要とも指摘しています。

医療痩身後にリバウンドはあるか

脂肪冷却など医療痩身は脂肪細胞数を減らすため、食事・運動に比べてリバウンドしにくいとされています。ただし残存する脂肪細胞が肥大する可能性はあるため、生活習慣の管理も継続することが前提となります。

施術の費用相場はどのくらいか

脂肪冷却は部位・回数によって異なりますが、一般的な目安として1部位1回あたり数万円程度からとされています。クリニックや施術範囲によって幅があるため、複数院での確認をおすすめします。

 

まとめ

部分痩せを現実的に目指すうえで重要なのは、自分が悩む部位の脂肪が内臓脂肪型か皮下脂肪型かを把握し、自己流で対処できる範囲とそうでない範囲を区別することです。食事管理や運動を続けても特定部位の皮下脂肪が残るのは体の代謝メカニズムの問題であり、努力の方向性を見直す必要があるケースも少なくありません。

医療痩身を選ぶ際は、使用される機器や薬剤の承認状況を事前に確認することが安全な選択につながります。現時点で厚生労働省の承認を取得している冷却脂肪減少装置はクールスカルプティングのみとされており、それ以外の冷却機器や脂肪溶解注射成分(デオキシコール酸・カベリン等)は国内未承認・適応外での使用となります。施術にかかる費用は部位・回数・クリニックによって異なるため、一般的な目安として複数の院で確認することが判断の助けになります。

医師によるカウンセリングでは、自分の部位に適した施術の種類・回数・リスクについて具体的に確認できます。「承認機器を使用しているか」「医師が施術・管理に携わっているか」「料金体系が明確か」の3点を軸に複数院を比較し、納得した上で選択することが結果につながる第一歩です。

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参考文献・出典

  • Ramirez-Campillo R, Andrade DC, Clemente FM, Afonso J, Pérez-Castilla A, Gentil P. “A proposed model to test the hypothesis of exercise-induced localized fat reduction (spot reduction), including a systematic review with meta-analysis.” Human Movement, 23(3): 1-14
  • Hetzel S, et al. “Cryolipolysis in the United States—Review of the clinical data.” Journal of Cosmetic Dermatology
  • Ingargiola MJ, Motakef S, Chung MT, Vasconez HC, Sasaki GH. “Cryolipolysis for Fat Reduction and Body Contouring: Safety and Efficacy of Current Treatment Paradigms.” Plastic and Reconstructive Surgery, 135(6): 1581-1590
  • Choi SY, Park JW, Koh YG, ほか. “Cryolipolysis for abdominal subcutaneous fat reduction: A prospective, multicenter, single arm, clinical study.” Dermatologic Therapy, 35(9): e15717
  • アラガン・エステティックス「クールスカルプティング®」

 

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