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鼻ヒアルロン酸は半永久的?持続の実際と長く残る場合のリスク

鼻のヒアルロン酸注入とは、ゲル状のヒアルロン酸製剤を鼻すじや鼻根部の皮下に注入し、メスを使わずに高さや形を整える施術です。「半永久的」という説明を目にして、効果がずっと続くのか、それとも一生消えないのかと迷っている方は少なくありません。

結論として、効果が半永久的に続くという意味では正しくありません。ヒアルロン酸は体内の分解酵素によって緩やかに分解される吸収性の材料であり、フィラーの分類上も「半永続的」には該当しないためです。

一方で、体内に残るという意味では話が変わります。注入されたヒアルロン酸が長期にわたり体内で検出された報告もあり、「消えてなくなる」と単純に言い切れない場合があります。さらに、国内で承認されているヒアルロン酸製剤の添付文書は、いずれも隆鼻術を使用目的に含めていません。(※添付文書とは、薬や医療機器の製造販売会社が国の承認を受けて作成する公式の説明書で、何に使えるか、どのくらいの量を使うか、使ってはいけない人は誰かといった情報が記載されています)

この記事は医師監修のもと、学会指針や添付文書、公的機関の資料にもとづき、持続の実際・長期残存として何が報告されているか・鼻という部位のリスク・承認の範囲・施術前の確認手順を順に整理します。

 

 

鼻ヒアルロン酸の効果は半永久的ではない

ヒアルロン酸は体内に存在する分解酵素によって緩やかに分解吸収される材料であり、効果が半永久的に続く性質のものではありません。

「半永久」という言葉自体はフィラーの分類上の用語であり、ヒアルロン酸はその分類にほぼ当てはまらないというのが出発点です。

この章のポイント
・ヒアルロン酸は分解される吸収性材料
・半永久的フィラーとは別の分類にあたる
・添付文書の数値は鼻の部位ではない

フィラーは製剤の特性によって、吸収性・半永続的(semi-permanent)・非吸収性(permanent)の3つに大別されます。この分類でヒアルロン酸が位置づけられるのがどこかを、まず表で確認します。

分類 代表的な材料 体内での分解 国内での承認状況
吸収性フィラー ヒアルロン酸 数か月〜1年程度 承認品あり
半永続的フィラー ハイドロキシアパタイト 分解に数年を要する 製品ごとに要確認
非吸収性フィラー シリコンゲル等 分解経路がない 全て未承認

表のとおり、ヒアルロン酸は「数か月〜1年程度で分解吸収される」吸収性フィラーの代表であり、半永続的フィラーにも非吸収性フィラーにも含まれません。「鼻のヒアルロン酸=半永久」という説明は、この分類の水準でそもそも成り立たないことになります。

ヒアルロン酸が体内で分解される仕組み

注入されたヒアルロン酸製剤は、体内にもともと存在する分解酵素によって緩やかに分解吸収されます。この分解経路があることが、ヒアルロン酸が吸収性フィラーに分類される理由です。

吸収までに要する期間は、製剤の性質や生体側の条件によって変動すると考えられています。架橋(クロスリンク)の程度によって分解のされやすさが変わるため、同じヒアルロン酸製剤といっても中身は一様ではありません。

一律に「何年もつ」と言い切れる性質のものではない点は、まず押さえておく必要があります。ただし、分解経路が存在することは「必ず消える」ことを意味するわけではなく、この点は次の章で扱います。

添付文書が示す持続の目安

国内で承認されているヒアルロン酸製剤の添付文書には、臨床試験にもとづく持続の記載があります。ただしその対象部位は鼻とは異なります。

ジュビダームビスタ ウルトラXCの添付文書では、最終処置後に再処置のため来院した時期は平均で約9カ月後とされ、6〜9カ月時点で84%に改善が認められたと記載されています。ボルベラXCの添付文書でも、12カ月時までのフォローアップ期間を通じて改善効果が認められたと記載されています。ただし、いずれの臨床試験も対象は鼻唇溝など承認された使用目的の部位であり、鼻ではありません。

この数値をそのまま鼻の持続期間として読むことはできない点に注意が必要です。鼻に限定した持続期間について、公的機関や学会が示した数値は存在しません。インターネット上で見かける「1~2年」といった数値には、出典が示されていないものが大半です。

「半永久」と呼ばれる注入材の正体

「半永久(semi-permanent)」は、フィラーの分類上の用語であり、指すのはハイドロキシアパタイトやポリ乳酸(PLLA)など、分解吸収に数年間を要する材料です。自家脂肪や自己幹細胞をこの区分に含める考え方もあります。

ヒアルロン酸は、これらより手前の「数か月〜1年程度で分解吸収されるもの」に位置づけられています。したがって「鼻のヒアルロン酸=半永久」という説明は、分類の水準では成り立ちません。さらにその先には、分解経路そのものを持たない「非吸収性(permanent)フィラー」という区分も存在します。この区分については後の章で扱いますが、分類はあくまで材料の性質による整理であり、個々の製剤の持続を約束するものではない点は留意してください。

使用する製剤の添付文書で、吸収性フィラーに分類される製剤かどうかを確認しておくと、今後の判断材料になります。

 

注入したヒアルロン酸が長期間残る場合

前章では、効果が半永久的に続くわけではないことを確認しました。ただし、注入されたヒアルロン酸が長期にわたり体内に残ることは、いくつかの報告で示されています。

この章のポイント
・被膜形成で長期残存する場合がある
・画像検査で数年後も検出された報告あり
・溶かす薬剤も国内では未承認

学会指針では、吸収性フィラーであっても被膜形成や線維化成分の隙間に取り込まれることで長期残存し、非吸収性フィラーのような振る舞いを見せる場合があると説明されています。「被膜形成で長く残る」という説明は広く語られていますが、その根拠をたどると、この学会指針の記述に行き着きます。

「長く残る」ことは、必ずしも期待どおりの結果とは限りません。形の変化や追加注入の判断の難しさ、溶かす手段の限界という側面もあわせて押さえておく必要があります。

画像検査でわかった残存の実態

MRIを用いた研究で、注入から数年を経てもヒアルロン酸が画像上検出される場合があることが報告されています。

中顔面を対象とした33名のMRI研究では、全例でヒアルロン酸が検出され、検出された残存期間の範囲は注入後2〜15年に及んだと報告されています。33名のうち21名は注入から2〜5年、12名は5年以上が経過しており、15年という最長値は1名の症例です。ただしこの研究の対象部位は中顔面であり、鼻ではありません。

また「効果が15年続く」という意味ではなく「画像上ヒアルロン酸が検出された」という意味であり、全員が15年残存したという意味でもない点に注意が必要です。

約20年にわたり反復注入を受けた1症例では、分解酵素の投与後も残存が確認されたとする報告もあります。これは頬や口周囲などを対象とした1例の症例報告であり、鼻を対象にした同種の画像研究は公表されていません。

注入を重ねた鼻に起きる変化

前回分が残っている状態に新たに注入を重ねると、想定した量と実際に鼻の中にある量が一致しなくなることがあります。

学会指針が示す「被膜形成や線維化成分の隙間に取り込まれることで長期残存する」という記述は、鼻すじの形の変化にも関わりうるものです。実際に、ヒアルロン酸による隆鼻術を受けた後に鼻背が広がって見える状態になった3例の症例報告があり、超音波検査で残存したフィラーが確認されています。

ただしこれは3例の症例報告であり、どの程度の頻度で起きるかを示すものではありません。前回分が残った状態に注入を重ねると、想定と異なる形になりうるという可能性として受け止めておくのが妥当です。

添付文書には、既に他の充填材で治療した部位への注入は臨床試験による安全性・有効性が確立していないと記載されています。また、患者1人当たりの年間使用量には体重60kg当たり20mLという限度が定められています。

これは特定の製剤についての記載であり、すべての製剤に同じ上限があるという意味ではありませんが、「何回まで打てるか」という問いへの一つの手がかりになります。

溶かす手段の限界

ヒアルロン酸を分解する薬剤は、日本では承認されていません。学会指針では、この分解酵素製剤を注射することで注入されたヒアルロン酸を積極的に分解除去できるものの、分解の程度は製剤によって異なり、分解されにくいものもあると述べられています。

さらに、吸収に長期間を要したり分解酵素製剤に抵抗性を持つ製剤は、可逆性であるというヒアルロン酸の長所を失っていることに他ならないとも指摘されています。「長持ちする製剤ほど元に戻しにくい」という関係は、施術を検討するうえで押さえておきたい要点のひとつです。

前述の症例報告で、分解酵素投与後も残存が確認されていたことも、この限界を裏づけています。未承認であることは使用できないことを意味しませんが、承認された製剤とは前提が異なるため、使用の可否と条件は事前に確認しておく必要があります。

過去に鼻へ注入を受けた時期・部位・製剤名・量を、分かる範囲でメモに書き出しておきましょう。

 

鼻は失明報告が最も多い注入部位

長期に残る場合があることを踏まえると、次に気になるのは注入した先で何が起きているかが見えないという不安です。ここでは、鼻という部位に特有のリスクを整理します。

この章のポイント
・視力障害報告は鼻部が最多
・発生率そのものは明らかでない
・血管内への誤注入が主な機序

フィラーによる視力障害の症例を集めたレビューでは、報告された症例に占める割合が最も高かったのは鼻部への注入でした。

2015年から2018年に報告された48例のうち鼻部への注入が56.3%を占め、原因フィラーの81.3%はヒアルロン酸だったと報告されています。同じ研究グループが2018年から2023年の365例を追加して検討した更新版でも、鼻が40.6%と依然として最多であり、原因フィラーの79.6%がヒアルロン酸でした。

学会指針も、ヒアルロン酸製剤の注入を原因とする失明は鼻部・眉間部・前額部への注入に集中しており、顎や口唇といった顔面下部への注入を原因とする失明の報告は少ないと記述しています。

部位 視力障害症例に占める割合 この数値が意味すること
鼻部 56.3% 報告のうち最多
眉間 27.1% 次に多い部位
額 18.8% 上位3部位に入る
鼻唇溝 14.6% 報告あり

この数値は、視力障害を来した48例における部位の割合であって、鼻に注入した人の何%が失明するという意味ではありません。1例で複数部位に注入された場合があるため、合計は100%を超えます。

学会指針も、注入施術の総数と合併症数の把握が難しいことから、発生率や有病率そのものは明らかでないとしています。承認製剤の添付文書も「血管内に注入しないこと」を警告として掲げており、これは製造販売業者による公式な注意喚起です。

血管をふさぐ仕組みと鼻の血流

顔の皮下を走る動脈にヒアルロン酸が誤って入ると、血流を通じて目につながる血管まで達し、閉塞を起こすことがあります。

学会指針は、外頸動脈系の動脈と内頸動脈系の動脈のあいだに吻合があり、この吻合を介して網膜中心動脈などに閉塞が及ぶと考えられていると説明しています。鼻は顔の中でもこの血管のつながりに近い部位であり、顔の下部である顎や口唇で報告が少ないこととは対照的です。

添付文書でも、眼窩縁下方・鼻頬溝・眼窩周囲・眉間・額などへの注入は慎重に行うべきだと記載されています。

症例からわかる発症と回復

血管閉塞による視力障害は、注入の最中から直後に生じることがあります。

鼻背へのヒアルロン酸注入後に、急性の視力喪失を来した症例が報告されています。0.5mLの注入直後に視力が失われ、分解酵素の局所投与とステロイドの全身投与が行われましたが、8週間後も視力の改善は認められなかったとされています。前述の症例レビューでは、完全に視力が回復したのは48例中10例、部分的な回復にとどまったのは8例で、一貫して有効性が示された治療法はないとされています。

症例報告はあくまで個別の経過であり頻度を示すものではなく、発生率が明らかでないという学会指針の記述とあわせて、「まれだが起こりうる」という水準で受け止めるべきものです。

使用できない条件

承認製剤の添付文書には、使用できない条件と慎重に使用すべき条件が明記されています。

  • 本品成分やアミド型局所麻酔剤に過敏症の既往がある方
  • 炎症反応や感染がある部位への使用
  • 妊娠中・産後・授乳中および18歳未満の方(安全性・有効性が未確立)

このほか、アレルギー症状を起こしやすい方、免疫機能に異常がある方、ケロイドを形成しやすい方、出血傾向がある方や抗凝固剤を使用している方は、慎重投与の対象とされています。これはジュビダームビスタ ウルトラXCの添付文書の記載であり、使用される製剤によって内容は異なります。実際に使用する製剤の添付文書の内容を、医師に確認しておくことが欠かせません。

血流障害を疑う症状が出た場合は、様子を見ずにすぐ施術を受けた医療機関を受診してください。

 

隆鼻目的の注入は承認の範囲外

ここまでで、残存や血管障害への不安を抱いた方も多いはずです。次に気になるのは、承認された安全な方法とは何かという点です。

この章のポイント
・承認製剤は隆鼻術を適応外とする
・非吸収性フィラーは国内で全て未承認
・適応外使用は違法行為ではない

国内で承認されているヒアルロン酸製剤の添付文書は、いずれも隆鼻術を使用目的に含めていません。ジュビダームビスタ ウルトラXCは「口唇、眼瞼への使用及び隆鼻術等の形状の変更を目的とした使用は本品の適応に含まれない」とし、ボルベラXCも「眼瞼における使用及び隆鼻術は本品の適応に含まれない」としています。

これは施術が禁止されているという意味ではなく、承認された使用目的の範囲外での使用、いわゆる適応外使用にあたるという意味です。

製剤 承認された使用目的 隆鼻術の扱い
ウルトラXC しわ・溝の修正 適応に含まれない
ボルベラXC へこみ修正・口唇増大 適応に含まれない

「半永久」を求めた読者が次に向かいやすいのが非吸収性フィラーですが、国内では全て未承認であり、学会指針もこの使用を推奨しないと結論づけています。

承認された使用目的と隆鼻術

承認された使用目的は、いずれも顔面のしわ・溝・へこみの修正や口唇増大であり、鼻の形状を変える目的は含まれていません。

ウルトラXCの使用目的は「顔面において、中等度から重度のしわや溝(鼻唇溝等)を修正するため、真皮中層部から深層部に注入して使用される」とされ、隆鼻術は明確に除外されています。ボルベラXCも同様に、顔面のしわ・へこみの修正や口唇増大を使用目的としつつ、隆鼻術を適応外としています。

適応外使用とは、承認申請時の臨床試験がその使用方法を評価していないため、その用途における有効性・安全性のデータが承認の枠組みでは確認されていないことを意味します。学会指針は「第一選択として承認品を選択すべきである」としつつ、承認品だけでは多様な施術をカバーしきれないため承認外の製剤も使用されている、とも述べています。

非吸収性フィラーは全て未承認

学会指針は「わが国では、全ての非吸収性フィラーは未承認である」と明記しています。

非吸収性フィラーには、シリコンゲルやポリアクリルアミドハイドロジェル(PAAG)を用いた製剤などが含まれます。学会指針はこれらについて「行わないことを強く推奨する」との最も強い推奨度を示し、晩期合併症の危険性があり除去が困難で、長期経過での安全性も確立されていないと結論づけています。

長期間異物として体内に残存するため肉芽腫形成や晩期感染といった重篤な合併症を生じやすく、ヒアルロン酸のような分解製剤も存在しないため、合併症が起きた際の除去治療も難しいとされます。ある製剤の合併症調査では、注入から発症までの期間は2〜364日と幅広く、中央値は12日だったとも報告されています。

指針が評価しているのは顔面のしわに対する注入であり、隆鼻術を対象とした評価ではありませんが、除去が困難という材料そのものの性質は変わりません。

鼻の形を長く保つ選択肢

持続の長さを最優先するのであれば、注入以外の選択肢を含めて検討する場面になります。

国の資料では、2022年の外科的手技による施術数のうち鼻形成は4.9万回と、眼瞼形成やフェイスリフト、顔面輪郭形成に次ぐ規模で行われていました。外科的な方法の持続年数や合併症の頻度については、公的機関や学会がまとめた数値は公表されておらず、一律の目安を示すことはできません。注入で対応できるのは限られた量の高さや輪郭の調整であり、大きな形状変更や左右差の是正、すでに注入物が多く残っている状態では、注入を重ねる判断が適切でない場合もあります。

ハイドロキシアパタイトやポリ乳酸などの半永続的フィラーという中間の区分も存在します。製品によって国内での承認状況が異なるため、検討する場合は個別に確認が必要です。どの方法が適するかは、鼻の状態や注入歴、希望する変化の大きさによって異なり、診察を受けたうえでの判断が前提になります。

検討している製剤の承認状況と承認された使用目的を、カウンセリングの場で医師に具体的に尋ねてみてください。

 

施術前に自分で確認する手順

ここまでの内容を踏まえ、最後に読者が実行できる手順に落とし込みます。「半永久かどうか」の答えは受ける製剤と院によって前提が変わるため、確認すべき項目はあらかじめ決まっています。

この章のポイント
・注入歴を自分で棚卸ししておく
・製剤名と承認状況を必ず尋ねる
・合併症時の連携体制も確認する

厚生労働省は、施術前に確認すべき項目として、使用する薬について自分で説明できるか、リスクや副作用についても知り納得したか、他の施術方法や選択肢の説明を受けて自分で選んだか、その施術が今すぐ必要かどうかを挙げています。

国の検討会でも、リスク説明の不足や、合併症が起きた際に対応できない事例、他の医療機関と連携できていない事例が課題として指摘されています。自宅でできる手順、カウンセリングで尋ねる項目、体制の確認という順で見ていきます。

鏡の前でできる注入歴の棚卸し

自宅で実行できる手順として、一例を番号順に示します。

  1. これまでに鼻へ注入を受けた時期・部位・製剤名・量を分かる範囲で書き出す
  2. 直近1年の注入量を合計し、自分の累積量を把握する
  3. 明るい場所で正面を向き、鼻根部の幅を撮影して日付とともに保存する
  4. 同じ距離・角度で横顔を撮影し、日付とともに保存する
  5. 鼻すじを指で軽くなぞり、硬さやしこり、左右差の有無を確認する

これは記録を残すための一例であり、自己診断の方法とは異なります。硬さやしこり、左右差、色調の変化に気づいた場合は、自己判断で様子を見ずに、施術を受けた院または医療機関を受診してください。

書き出した記録は、カウンセリングの場でそのまま提示できる形にしておくと、医師への説明がスムーズになります。

カウンセリングで確かめる項目

厚生労働省が示す確認事項を、鼻のヒアルロン酸に即した質問に翻訳すると、次のようになります。

  • 使用する製剤名は何か、国内で承認された医療機器かどうか
  • 承認されている使用目的に鼻の形状変更が含まれているか
  • 効果が想定される期間はどのくらいで、その根拠は何か
  • 血管障害を含むリスクと副作用について説明を受けたか
  • 注入以外の選択肢について説明を受け、自分で選んだか

厚生労働省は、美容目的の自由診療で用いる薬や材料、機器などは法律上の承認がされていない場合があると注意を促しています。公的な救済制度についても、対象範囲を事前に確認しておく価値があります。

制度の対象は医薬品及び再生医療等製品とされる一方、承認されたフィラー製剤は高度管理医療機器に分類されており、両者は別の枠組みであるため、対象になるかどうかは事前に医師へ確認しておくのが確実です。

今すぐ施術が必要かどうかを最終確認し、当日中の契約を求められた場合は一度持ち帰ることも選択肢に入ります。

合併症時の体制を確かめる

確認すべきは、技術や実績よりも、問題が起きた後にどう動くかという点です。

国の検討会では、合併症に対応できていない施設や、経過やトラブルの相談を拒まれるケース、他の医療機関と適切に連携できていない事例が課題として挙げられています。具体的には、次の項目を確認しておくと安心材料になります。

  • 血流障害を疑う症状が出た場合の連絡先と営業時間外の対応
  • ヒアルロン酸を分解する薬剤の常備状況と国内承認の有無
  • 視覚異常が生じた場合に連携する眼科医療機関の有無
  • 施術後の経過観察と、想定と異なる結果になった場合の対応方針

その場でこれらに具体的に答えられるかどうか自体が、判断材料になります。体制が整っていることは合併症が起きないことを意味するわけではなく、合併症を完全に回避する方法はないとされている点も踏まえておく必要があります。

洗顔や整髪の際に鼻すじを指先で軽くなぞり、硬さや左右差の変化がないか普段から気にかけてみてください。

 

鼻ヒアルロン酸半永久的によくある質問

持続や安全性について、特に質問が多い点を5つにまとめました。

鼻のヒアルロン酸は何年もちますか?

鼻に限定した公的な数値は示されていません。吸収性フィラーは数か月〜1年程度で分解吸収されるとされ、承認製剤の数値は鼻唇溝等での試験にもとづくものです。

半永久的に効果が続くヒアルロン酸はありますか?

効果の永続を約束する製剤はありません。フィラー分類上ヒアルロン酸は吸収性に区分され、半永続的とされるのは分解に数年を要する別の材料です。

鼻にヒアルロン酸を打ち続けるとどうなりますか?

前回分が残った状態への追加は臨床試験で評価されていません。承認製剤の添付文書には年間使用量の限度も定められているため、注入歴の記録を医師に提示してください。

入れたヒアルロン酸は溶かして元に戻せますか?

分解する薬剤は国内で未承認です。分解の程度は製剤によって異なり、分解されにくいものもあるため、常備状況と承認状況を確認してください。

鼻のヒアルロン酸で失明することはありますか?

まれですが報告があります。鼻は視力障害の報告に占める割合が最も高い部位ですが、発生率そのものは明らかにされていません。

 

まとめ

鼻のヒアルロン酸は、効果の持続という意味では半永久的ではなく、体内の分解酵素によって緩やかに分解される吸収性の材料です。一方で、被膜形成などにより残存という意味では長期に及ぶ場合があると報告されており、「消えてなくなる」と単純に言い切れないケースもあります。

国内で承認されているヒアルロン酸製剤はいずれも隆鼻術を使用目的に含んでおらず、分解する薬剤も国内では未承認です。この4点を押さえたうえで、受ける・追加する・別の方法を検討する・受けないという選択を、根拠をもって判断することができます。

次に取れる行動は3つです。注入歴と累積量を書き出しておくこと、使用予定の製剤名と承認の有無・使用目的を尋ねること、血流障害を疑ったときの連絡先と連携先を確認しておくことです。鼻の状態や注入歴を踏まえた判断が必要になるため、迷う場合は福岡院のカウンセリングで相談してみてください。施術を前提とせず、疑問点を確認する場として利用することもできます。

アラジン美容クリニック福岡院では、「ウソのない美容医療の実現」をモットーに、患者様お一人ひとりの美のお悩みに真摯に向き合い、最適な治療をご提案しております。無駄な施術を勧めることなく、症状の根本的な原因にアプローチし、患者様の理想を実現するお手伝いをいたします。

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参考文献・出典

  • 日本美容外科学会「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」(日本美容外科学会会報、2022年。フィラーの吸収性・半永続的・非吸収性の分類、非吸収性フィラーは国内で全て未承認であり行わないことを強く推奨、失明例は鼻部・眉間部・前額部に集中)
  • ジュビダームビスタ ウルトラXC 添付文書(アラガン・ジャパン/アッヴィ合同会社。使用目的は顔面の中等度から重度のしわ・溝の修正。口唇・眼瞼への使用および隆鼻術等の形状変更を目的とした使用は適応に含まれない。血管内注入の禁止、18歳未満・妊婦・授乳婦への安全性未確立)
  • ジュビダームビスタ ボルベラXC 添付文書(アラガン・ジャパン/アッヴィ合同会社。使用目的は顔面のしわ・へこみ修正および口唇増大。眼瞼における使用および隆鼻術は適応に含まれない。年間使用量は体重60kg当たり20mL)
  • Beleznay K ほか「Update on Avoiding and Treating Blindness From Fillers: A Recent Review of the World Literature」Aesthetic Surgery Journal(2019年。2015年1月〜2018年9月に報告された視力障害48例を検討。鼻部56.3%、眉間27.1%、額18.8%、鼻唇溝14.6%。原因フィラーの81.3%がヒアルロン酸)
  • Beleznay K ほか「Update on Blindness From Filler: Review of Prognostic Factors, Management Approaches, and a Century of Published Cases」Aesthetic Surgery Journal(2024年。2018年9月〜2023年3月の365例を追加検討。鼻40.6%、額27.7%、眉間19.0%。ヒアルロン酸79.6%)
  • Master M ほか「Hyaluronic Acid Filler Longevity in the Mid-face: A Review of 33 Magnetic Resonance Imaging Studies」Plastic and Reconstructive Surgery – Global Open(2024年。中顔面にヒアルロン酸を注入した33名全員でMRI上検出。21名は2〜5年、12名は5年超、最長15年)
  • Long-Term Persistence of Hyaluronic Acid Fillers: A Clinical Illustration and Implications for Practice(Journal of Cosmetic Dermatology。約20年反復注入を受けた1例で分解酵素投与後も残存)
  • Orbital infarction syndrome following hyaluronic acid filler rhinoplasty(American Journal of Ophthalmology Case Reports、2021年。鼻背への0.5mL注入直後に視力喪失、8週間後も改善なし)
  • 厚生労働省医政局「美容医療の適切な実施に関する検討会の議論の状況について」(2024年。リスク説明の不足、合併症対応の不備、医療機関間の連携不足を課題として指摘)
  • 厚生労働省「その美容医療、ちょっと待って!」(施術前に確認すべき4項目)
  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「医薬品副作用被害救済制度」(対象は医薬品および再生医療等製品。医療機器は対象外)

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