人中(じんちゅう)とは、鼻の下から上唇の中央にかけて縦に伸びる溝の部分を指します。「何センチ以上なら長い」と定めた医学的な基準は存在せず、インターネット上でよく見かける「平均1.5cm、2cm以上は長い」という数値は、出典が示されないまま広まったものです。
一方で、人中の長さは顔の決まった目印を起点と終点にすれば、誰が測っても同じ位置で測定でき、実際の計測研究では若い世代の女性でおよそ13mm前後という値が報告されています。また、年代が上がるほど人中が長い傾向があることも、複数の計測研究で示されています。
本記事は医師監修のもと、計測研究にもとづく起点・終点の定義、自宅でできる測定手順、長さに関わる3つの原因、セルフケアと美容医療それぞれの限界、施術前に確認すべき項目までを順に解説します。

国立琉球大学医学部医学科を卒業。国内大手美容クリニックなどで院長を歴任し、2024年アラジン美容クリニックに入職。
特にクマ取り治療では、年間症例数3,000件以上を誇るスペシャリストである。「嘘のない美容医療の実現へ」をモットーに、患者様の悩みに真剣に向き合う。
人中が長い基準に定まった数値はない
「人中が長い」と感じたとき、多くの人がまず探すのは何センチから長いと言えるのかという基準です。結論から言うと、何センチ以上なら長いと定めた医学的な基準は存在せず、広く知られている「平均1.5cm、2cm以上は長い」という数値も、出どころが示されないまま広まったものです。
ただし、これは人中を測れないという意味ではありません。解剖学的に定義された起点と終点を使えば、誰でも再現性のある形で測定できます。
この章のポイント
・「何センチから長い」に医学的基準はない
・平均1.5cmという数値は出典不明
・起点と終点を決めれば計測できる
人中はどこからどこまでを指すか
計測研究では、人中の長さは鼻柱の付け根と上唇の皮膚が接する正中の点から、上唇の赤い部分の縁の正中までの距離として定義されます。
この2点はどちらも解剖学上の目印(ランドマーク)として名前が定まっており、測る人が変わっても同じ位置を指すように定義されています。上唇は皮膚でできた部分と、赤みを帯びた部分(赤唇)の二層で構成されており、人中の長さとして測定の対象になるのは皮膚の部分です。この区別は、後述する加齢による変化を理解するうえでも前提になります。
街中でよく紹介されている「人差し指を横に当てて幅を比べる」という方法は、指の太さに個人差があり起点と終点も定まらないため、長さを判定する根拠にはなりません。なお研究によって計測項目の名称が異なり(人中の高さ、皮膚性上口唇高など)、定義が完全に一致しているわけではない点にも注意が必要です。
計測研究が示す人中の長さ
実際に計測を行った研究では、成人の人中の長さはおおむね13mmから16mm台の範囲で報告されています。
報告されている数値
研究によって対象集団や測定方法が異なり、報告されている数値にも幅があります。
20~35歳の成人100名を対象に写真計測を行った2024年の研究では、人中の長さが男性でおよそ15.9mm、女性でおよそ13.9mmと報告されています。ただしこの研究の対象は「健康で若く魅力的な成人」という基準で選ばれたインドネシア系の集団であり、一般的な集団の平均ではありません。
また韓国人女性192名を対象とした2021年の3次元計測では、20~39歳の群で人中の高さがおよそ12.9mmと報告されています。測定方法や対象集団が異なる研究の数値を並べると、次のようになります。
| 対象集団 | 計測値 | 測定方法 | 対象年齢 |
|---|---|---|---|
| 韓国人女性192名 | 人中の高さ12.9mm | 3次元計測 | 20~39歳 |
| 韓国人女性192名 | 人中の高さ15.5mm | 3次元計測 | 60~79歳 |
| インドネシア系男性47名 | 人中長15.9mm | 写真計測 | 20~35歳 |
| インドネシア系女性53名 | 人中長13.9mm | 写真計測 | 20~35歳 |
| 中国人女性169名 | 皮膚性上口唇高13.8mm | 3次元計測 | 20代 |
| 中国人女性169名 | 皮膚性上口唇高16.7mm | 3次元計測 | 50代 |
対象集団と測定方法が異なるため数値を直接比較することはできず、いずれも日本人を対象とした計測値ではありません。したがってこれらの数値はあくまで目安であり、日本人の基準値として扱うことはできません。
この数値をそのまま当てはめられない理由
広く流通している「平均1.5cm」という数値は、若年女性について報告されている実測値と比べるとやや大きく、数値を検証せずに自分に当てはめると、実際には平均的な範囲にある人まで「長い」と判定してしまう可能性があります。
自宅で人中を測る4つの手順
研究で使われている起点と終点の考え方を応用すると、自宅でも次の手順でおおよその長さを確認できます。
- 鏡の正面に姿勢よく座り、顔を傾けず、口を軽く閉じて力を抜いた状態をつくる
- 鼻の穴の間の仕切り(鼻柱)の付け根が上唇の皮膚に触れる、真ん中の点を起点として確認する
- 上唇の赤い部分の縁で、山と山の間にあるへこみの中央を終点として確認する
- 定規を顔に垂直に当て、起点から終点までをミリメートル単位で読み取り、日を変えて3回測って値がそろうかを確認する
これは自己計測の一例であり、研究で用いられる3次元計測とは方法が異なるため、研究の数値と直接比較することはできません。測る目的は他人と比較することではなく、自分の値を記録し、経年での変化を追えるようにすることにあります。
まずは上記の手順で自分の人中の長さを3回測り、値を紙に記録してみることから始められます。
人中が長くなる3つの原因
自分の人中の長さを数値で把握できたら、次に気になるのはなぜその長さになったのかという原因です。人中の長さに関わる要因は、加齢による皮膚部分の伸長、骨格と歯の位置関係、口呼吸などの習慣の3つに大きく整理でき、このうち加齢だけがほぼすべての人に共通して進行します。
3つの原因は変えられるかどうかという点で性質が異なり、この違いがこのあとの章で選ぶ手段の方向を決めます。
この章のポイント
・加齢は誰にでも起こる変化
・骨格や歯の位置は自分では変えにくい
・口呼吸の習慣は相談で改善余地あり
3つの原因を、起きている変化と対応の方向で整理すると次のようになります。
| 原因 | 起きている変化 | 自分で変えられるか | 手段の方向 |
|---|---|---|---|
| 加齢 | 皮膚が伸び赤唇が薄くなる | 進行を遅らせる範囲 | メイク・注入・手術 |
| 骨格と歯の位置 | 上唇の張り方が変わる | 変えられない | 歯科・口腔外科の評価 |
| 習慣(口呼吸等) | 口唇閉鎖不全を伴う場合 | 相談により改善余地 | 耳鼻科的な評価 |
自分がどの行に当てはまるかを確認し、対応する手段の方向を次章以降で具体的に見ていきます。
加齢で上唇の皮膚部分が伸びる
加齢に伴って上唇の皮膚部分は伸び、同時に唇の赤い部分は薄くなっていくことが、複数の計測研究で報告されています。
韓国人女性192名を対象とした2021年の3次元計測では、人中の高さが20~39歳の群でおよそ12.9mm、60~79歳の群でおよそ15.5mmと、高齢群のほうが統計学的に有意に大きいことが報告されています。中国人女性169名を対象とした同時期の3次元計測でも、鼻の下から赤唇の縁までの皮膚部分の高さが20代でおよそ13.8mm、50代でおよそ16.7mmへと年代を追って増えており、反対に唇の赤い部分の高さは20代のおよそ8.1mmから50代のおよそ6.6mmへと減っています。
皮膚が伸びる変化と赤唇が薄くなる変化が同時に進むため、人中が長くなったという印象は実際の伸長量よりも強く現れやすいと考えられます。背景には、皮膚を支えるコラーゲンや弾性線維が年齢とともに減少し、支える力が弱まることがあります。
これらはいずれも同じ時点で異なる年代の人を比較した横断的な研究であり、同一人物を追跡したものではないため、「何歳で何mm伸びる」と個人にそのまま当てはめることはできません。また対象は韓国人・中国人女性であり、日本人を対象とした値ではない点にも注意が必要です。
骨格と歯並びによる見え方の差
上顎の骨や前歯の位置は上唇の張り方を左右するため、骨格の位置関係が変わると人中の見え方も変わります。
上下の顎の位置関係に大きなずれがある場合、噛み合わせの異常とともに顔立ちのバランスにも影響が及び、唇が自然に閉じにくいといった機能面の訴えを伴うことがあります。噛み合わせの異常を伴い顎変形症と診断された場合には、術前の矯正歯科診療から手術、術後の矯正歯科治療までが保険給付の対象となりうることが、札幌医科大学口腔外科学講座の説明資料に示されています。治療にはおよそ2~3年を要するとされ、重度の内科的疾患がある場合は手術の適応外となることもあります。
ここで重要なのは、これはあくまで噛み合わせの異常に対する治療であり、人中を短くする目的で保険が使えるという意味ではないということです。適応の判断は診察によって行われ、運用は医療機関によって異なることもあります。なお生まれつきの骨格そのものは、メイクやセルフケアでは変えられません。
口呼吸と口唇閉鎖不全の影響
慢性的な口呼吸と顎や顔の骨格の発育との関連は、小児を対象とした研究で報告されています。
10件の研究、合計1,358名の小児のデータを統合して分析した研究(メタアナリシス)では、口呼吸の傾向がある子どもは鼻呼吸の子どもと比べて、上顎と下顎がいずれもやや後方に位置する傾向、および顔の下半分が縦に長くなる方向の差があることが示されています。同じ研究の背景として、口呼吸をしている子どもは唇が自然に閉じにくい状態(口唇閉鎖不全)を伴いやすいことも挙げられています。
ここで注意したいのは、この研究の対象が小児であり成人ではないという点、そして人中の長さそのものを測定した研究ではないという点です。したがって口呼吸が人中を長くすると断定することはできず、成人が口呼吸をやめれば人中が短くなるという意味でもありません。ただし鼻づまりなどで慢性的に口が開いた状態が続いている場合は、呼吸の観点からも医療機関に相談する価値があります。
昔の写真と今の顔を見比べて、人中の変化が「昔からなのか」「ここ数年なのか」を確認してみてください。
セルフケアでできることと限界
3つの原因のうち、自分で対応できる範囲を知ったところで、次に検討したいのが費用や侵襲を伴わないセルフケアです。結論から言うと、セルフケアで変えられるのは見え方であって、人中の長さそのものではありません。
できることとできないことを分けて理解しておくことが、遠回りな時間や費用を避けることにつながります。
この章のポイント
・変えられるのは見え方だけ
・トレーニングの効果は根拠不足
・進行を遅らせる生活習慣はある
メイクで人中を短く見せる手順
光と影の関係を利用して鼻の下にわずかな陰影をつくると、奥行きが生まれて人中が相対的に短く見えます。
- 鼻の下(鼻柱の直下)にごく薄く暗めの色を入れる
- 上唇の山の輪郭をわずかに上側にとる
- 上唇の中央にハイライトを置いて立体感を出す
色を濃く入れるほど効果が高まるわけではなく、輪郭が線として見えた時点でかえって不自然になるため、境目をぼかすことが要点です。正面からは目立たなくても斜めや横からは影が読み取られやすく、写真では光源によって見え方が変わることも、限界として知っておく必要があります。
一例として、暗い色は肌よりわずかに落ち着いた色みのものを選び、明るい色は光をよく反射する質感のものを選ぶと、立体感が作りやすくなります。ただしこれは経験的な工夫であり、研究で効果が示されたものではありません。
表情筋トレーニングの位置づけ
口周囲のトレーニングによって人中の長さそのものが短くなることを示した研究は、公表されていません。
上唇の皮膚部分が伸びるという変化は皮膚と支持組織で起きているため、筋肉を鍛えることが直接その長さを戻すとは考えにくいと言えます。一方で、口を閉じる習慣づけや口周囲を動かすこと自体に意味がないとまでは言えないため、効果がないと決めつけるのではなく、人中の長さを変える手段としては根拠が示されていないという水準で捉えておくのが実情に近い位置づけです。
強く力を込めて繰り返すタイプのトレーニングは、口元に力を入れる癖につながる場合があるため、痛みや違和感が出た場合は中止しましょう。効果を示した研究がないことは、効果がないと証明されたことを意味するわけではありません。
口を閉じる意識づけそのものは、前述の口呼吸との関連を踏まえると、生活習慣の一部として続けても不利益は考えにくいものです。ただし人中の長さを変える目的でこれに時間や費用を大きく割く優先度は高くないと考えられます。
進行を遅らせる生活習慣
加齢による変化そのものを止めることはできませんが、進行を早めうる要因を減らすことはできます。
- 紫外線対策(皮膚の弾力に関わる成分の減少を早めうるため口元も含めて日常的に行う)
- 口が開いたままになっていないかの確認(慢性的な鼻づまりがある場合は耳鼻科での評価)
- 睡眠や食事を極端に崩さない生活リズムの維持
これらはすでに伸びた人中を戻す手段ではなく、進行を遅らせる方向の一般的な工夫として位置づけられます。極端な体重の増減を繰り返すことも、皮膚の張りに影響しうるため、日々の生活リズムの延長として捉えておくとよい対象のひとつです。
いずれも即効性のある変化を生む工夫ではなく、数か月から数年単位で効いてくる予防的な位置づけとして理解しておくと、過度な期待を避けられます。メイクによる見え方の調整を数日間試し、その変化を鏡や写真で比べてみましょう。
美容医療で人中を短くする方法
セルフケアでできることとできないことが見えてきたら、次は美容医療の選択肢を検討する段階です。人中そのものを物理的に短くする手段は皮膚を切除する人中短縮術(リップリフト)であり、注射による方法は見え方を変えるアプローチである点を先に押さえておく必要があります。
人中短縮術、注入治療、骨格に対する外科的矯正治療の3つを、それぞれ何を変える手段かで整理し、原因と手段が対応していなければ結果は出ないという前提のもとで見ていきます。
この章のポイント
・切除するのは人中短縮術のみ
・注入は見え方を変える手段
・承認範囲を確認してから選ぶ
3つの手段を、何を変えるかという軸で整理すると次のようになります。
| 手段 | 変えるもの | 主なリスク | 国内での位置づけ |
|---|---|---|---|
| 人中短縮術 | 皮膚の長さ | 瘢痕・修正の必要 | 自由診療 |
| 注入治療 | 見え方 | 内出血・腫れ・しこり | 自由診療(製剤により承認範囲が異なる) |
| 外科的矯正治療 | 骨格の位置 | 手術に伴うリスク | 保険給付の対象となりうる |
原因と手段が対応していなければ結果は出にくいため、まず自分がどの行に当てはまるかを確認したうえで、適応の判断はカウンセリングで確認してください。
人中短縮術の効果と合併症の実測値
人中短縮術は鼻の下の皮膚を切除して縫合し、上唇を引き上げる術式で、複数の研究をまとめたレビューでは長さと見た目に一定の変化が報告されています。
2017年から2025年に報告された7件の研究、合計1,754例を一定の手順で集めて評価したレビュー(システマティックレビュー)では、術前の人中の長さがおよそ14.0~14.5mmから術後はおよそ10.8~12.0mmへ、上唇の赤い部分の高さがおよそ5.0~6.0mmから7.0~9.0mmへ、上の前歯が見える量がおよそ1.5~2.0mmから3.5~5.0mmへと変化したと報告されています。
研究ごとの差が大きいため数値を統合した分析は行われておらず、研究の質は中程度と評価されています。
報告されている合併症と修正率
同レビューでは重大な合併症の報告はなく、軽微な合併症が中心とされています。
報告されている軽微な合併症には、血腫、むくみ、毛細血管の拡張、表皮の剥離、アレルギー性の発疹があります。盛り上がった傷あと(肥厚性瘢痕)は一部の術式でおよそ4.6%に生じたと定量化されており、修正手術が行われた割合はおよそ0.6~6.7%と報告されています。
総合的な改善度の評価(GAIS)では平均4.4(5点満点)という結果が示されています。ただし同レビューは、長期的な瘢痕の安定性は十分に検証されていないと明記しており、対象は7件の研究を集めた集積値であって日本人を対象とした成績でもないため、個々の結果を保証する数値ではない点に留意が必要です。
注射による方法と承認の範囲
口のまわりを囲む筋肉(口輪筋)にボツリヌス毒素製剤を注射する方法や、赤唇にヒアルロン酸を注入して厚みを補う方法は、いずれも皮膚の長さを短くするものではなく見え方を変えるアプローチです。
国内で美容目的に承認されているボツリヌス毒素製剤(ボトックスビスタ)の添付文書は、国が認めた使い道である効能又は効果を「65歳未満の成人における眉間又は目尻の表情皺」と定めており、人中や口輪筋はその範囲に含まれていません。
添付文書とは、薬の製造販売会社が国の承認を受けて作成する公式の説明書で、何に使えるか、どのくらいの量を使うか、使ってはいけない人は誰かが記載されています。添付文書の警告欄には、用法・用量を厳守し、眉間と目尻の表情皺以外に使用しないようにという記載もあります。承認外の使用がただちに違法という意味ではありませんが、受ける側が承認された効能・効果の範囲に人中が含まれていないという事実を知ったうえで判断する必要があります。
人中への使用を対象とした効果の持続期間について、信頼できる数値は示されていません。
赤唇へのヒアルロン酸注入については、国内で口唇増大を使用目的に含めて承認されている製剤(ジュビダームビスタ ボルベラXC)があります。ただし承認されているのは唇にボリュームを加える目的であり、人中を短く見せる効果や持続期間を示した数値は報告されていません。使用する製剤によって承認の範囲が異なるため、どの製剤を使うのかを事前に確認しておく必要があります。
骨格が原因の場合の選択肢
顎の位置関係そのものが原因である場合、皮膚を切除しても骨格の影響は残るため、検討する手段の階層が変わります。
噛み合わせの異常を伴い顎変形症と診断された場合は、術前矯正・手術・術後矯正という3段階の外科的矯正治療が選択肢となり、これらが保険給付の対象となりうることは前の章で触れたとおりです。治療期間はおよそ2~3年で、重度の内科的疾患がある場合は手術の適応外となることもあります。これは人中を短くすること自体を目的とした治療ではなく、噛み合わせの機能的な問題があるかどうかが判断の起点になるため、まず歯科・口腔外科での評価を受ける必要があります。
皮膚の長さが主な原因であれば人中短縮術、赤唇の薄さが主な原因であれば注入治療、噛み合わせの異常を伴う骨格性の場合は歯科・口腔外科での評価という3つの分岐で考えると、自分に合う入口を選びやすくなります。
カウンセリングを受ける前に、検討している手段が保険診療と自由診療のどちらに当たるかを確認しておくとスムーズです。
施術を決める前に確認する項目
自分に合いそうな手段の方向が見えてきたら、最後に決める前に確認しておきたい項目があります。
人中の施術には顔の中央に不可逆な変化を加えるものが含まれるため、受けられない条件に当てはまらないか、説明を受けたうえで自分で選べているか、問題が起きたときの対応体制があるかという3点を、決める前に確認しておく必要があります。
この章のポイント
・禁忌に当てはまらないか確認
・行政の確認4項目を活用する
・修正の難しさを踏まえて判断
施術を受けられない人の条件
ボツリヌス毒素製剤には、添付文書で定められた投与を避けるべき条件があります。
- 全身性の神経筋接合部の障害がある(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症等)
- 妊娠中または妊娠している可能性がある、授乳中である
- 本剤の成分に対する過敏症の既往がある
- 他のボツリヌス毒素製剤による治療を受けている
同製剤は3ヵ月以内の再投与を避けることとされています。
赤唇へのヒアルロン酸注入に用いる製剤でも、添付文書で使用できない条件が定められています。製剤の成分や、麻酔成分として含まれるアミド型局所麻酔剤、製造工程に由来するグラム陽性菌由来の蛋白に過敏症の既往がある場合は使用できず、口唇ヘルペスなど注入部位に炎症や感染がある場合も使用が禁じられています。妊娠中・授乳中の安全性は確立していません。
人中短縮術についても、傷の治りに関わる持病、瘢痕ができやすい体質、抗凝固薬の使用など、事前に申告しておくべき事項があります。ここに挙げた条件は添付文書に記載されたものであり、個々の適応の可否は診察によって判断されます。持病や服薬中の薬がある場合は、カウンセリングの初期段階で申告しておくと、適応の判断がスムーズに進みます。
カウンセリングで確認する4点
厚生労働省は美容医療を受ける前に確認すべき項目を示しており、これをそのまま行動に置き換えることができます。
- 使用する薬や材料がどのようなものか自分でも説明できるか
- 効果だけでなくリスクや副作用についても知り納得したか
- ほかの施術方法や選択肢の説明も受けたうえで自分で選択したか
- その施術が「今すぐ」必要かどうか
これに加えて、受ける施術に使う薬や材料が国内で承認されたものか、承認された効能・効果の範囲内での使用かを確認することも欠かせません。
万が一の健康被害に対する公的な救済制度は、国内で承認されている医薬品の副作用が対象であり、決められた用法・用量に従って使用されていない場合は原則として救済対象にならないとされています。承認外の部位へのボツリヌス毒素製剤の使用はこれに当たる可能性があり、ヒアルロン酸製剤はそもそも医薬品ではなく医療機器に分類されるため、この制度の対象外です。
受ける施術がこの制度の対象になるかどうかも、事前に確認しておく項目のひとつです。合併症が起きたときに誰がどこまで対応するのか、経過中に相談できる窓口があるのかも、決める前に確認しておきましょう。
短くしすぎを避ける考え方
人中を短くする手術は皮膚を切除するため、足りなかった場合よりも取りすぎた場合の修正のほうが難しいという非対称性があります。
人中の長さは単独で評価するものではなく、鼻の高さや唇の厚み、顎の長さ、顔全体の縦横のバランスの中で決まります。数値だけを目標にすると、部分としては整っても顔全体では不自然な印象になることがあります。ウェブサイトも医療広告規制の対象であり、治療効果に関する体験談や、詳しい説明のない術前術後の写真の掲載は認められていません。
症例写真や口コミだけで判断せず、自分の目標を「何ミリにしたいか」ではなく「どう見えるようになりたいか」で言葉にし、それを医師と共有することが、仕上がりの満足度を左右します。仕上がりの評価には主観が含まれるため、事前にすり合わせた言葉を診察の記録に残しておくと、術後の認識のずれを防ぎやすくなります。
カウンセリングの前に、ここまでの確認項目をメモに書き出して持参してみてください。
人中が長いに関するよくある質問
ここまでの内容と重なる部分も含め、読者からよく寄せられる質問に短く答えます。
人中が長いと老けて見えますか?
印象を断定することはできませんが、加齢に伴い人中の高さが増し、赤唇の高さが減ることは計測研究で報告されています。
人中の長さは男女で違いますか
成人を対象とした計測研究では男性の方がやや長い傾向が報告されていますが、対象は海外の集団であり日本人の値ではありません。
人中短縮術の傷あとは目立ちますか
切開線は鼻の下の境目に沿って置かれ、盛り上がった傷あとは一部の術式でおよそ4.6%に生じたと報告されていますが、長期的な安定性は未確立です。
人中ボトックスは国内で承認されていますか
国内で承認されている効能・効果は眉間または目尻の表情皺であり、人中への使用はこの範囲に含まれていません。
マッサージやトレーニングで人中は短くなりますか
長さそのものを短縮すると示した研究は公表されておらず、見え方を変えたい場合はメイクや医療的な手段が対象になります。
まとめ
「人中が長い」という感覚に対して、何センチ以上なら長いという医学的な基準はありません。判断は、解剖学的に定義された起点と終点で自分の長さを測ることと、加齢・骨格と歯の位置・口呼吸などの習慣という3つの原因を切り分けることから始まります。
今日から実行できることとして、まず鏡の前で人中の長さを3回測って記録し、古い写真と見比べて変化が昔からのものかここ数年のものかを確認しましょう。そのうえで、メイク・生活習慣・人中短縮術・注入治療・歯科口腔外科での評価のうち、自分の原因に対応する手段を1つ選んでみましょう。
福岡院では、医師によるカウンセリングを通じて人中の長さの評価と原因の切り分け、施術の適応の判断を行っています。使用する薬剤や術式が承認されている範囲内かどうか、問題が起きたときの対応体制があるかどうかを確認したうえで検討したい場合は、相談先のひとつとして候補に加えてみてください。
アラジン美容クリニック福岡院では、「ウソのない美容医療の実現」をモットーに、患者様お一人ひとりの美のお悩みに真摯に向き合い、最適な治療をご提案しております。無駄な施術を勧めることなく、症状の根本的な原因にアプローチし、患者様の理想を実現するお手伝いをいたします。
また、福岡院限定で提供している特別な施術コース「クマフル」は、目元のクマ治療に特化した定額プランをご用意しております。ハムラ法、脂肪注入、目の下の脂肪取りなど、複数の治療法を組み合わせ、患者様お一人ひとりに最適な治療を提供いたします。目元のクマにお悩みの方は、ぜひこの機会にご利用ください。
LINE公式アカウントにて、カウンセリングや予約を受付しております。どなたでもお使いになられるクーポンもご用意しておりますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。
参考文献・出典
|
