男性の顔のシミで最も多い日光黒子(老人性色素斑)は、レーザーや光治療で薄くできる可能性があり、国内の美容医療診療指針でも、治療を希望する人には強く推奨する方法と位置づけられています。
一方、メンズ向けを含む市販のクリームや化粧水が化粧品・医薬部外品であれば、シミについて認められた効能は「防ぐ」までで、市販の飲み薬も「緩和」や「肝斑に限る」など成分ごとに範囲が決まっています。さらにシミには、強いレーザーで悪化しうる肝斑や、ざらつき・盛り上がりのある別の病変が混ざることがあり、取る前の見分けが欠かせません。
日光黒子は主に40歳以上で、顔や手の甲など日の当たる部位に年齢とともに現れるとされ、40代で気になり始めるのは珍しいことではありません。ここでは、シミの種類の見分け方から、市販品でできる範囲、医療機関で取る方法、予防と受診の目安までを順に説明します。

国立琉球大学医学部医学科を卒業。国内大手美容クリニックなどで院長を歴任し、2024年アラジン美容クリニックに入職。
特にクマ取り治療では、年間症例数3,000件以上を誇るスペシャリストである。「嘘のない美容医療の実現へ」をモットーに、患者様の悩みに真剣に向き合う。
男性の顔のシミは取る前に種類を見分ける
男性の顔のシミで最も多いのは日光黒子ですが、肝斑、炎症の跡、盛り上がる良性のできもの、前がん病変の日光角化症が混ざることがあり、種類によって向く対処は逆になります。シミは一般的な呼び方で、医学的には雀卵斑(そばかす)なども含む後天性のメラニン色素沈着症の総称であり、1人の顔に複数が混在することも多いとされています。
この章のポイント
・最も多いのは40歳以上の日光黒子
・肝斑は高い出力のレーザーで悪化しうる
・ざらつきや盛り上がりは受診の目安
見分けたい主な5つの違いを並べると、次のとおりです。
| 種類 | 見た目と触った感じ | 出やすい年代・部位 | 向く対処 |
|---|---|---|---|
| 日光黒子 | 平らで茶〜やや黒 | 40歳以上・顔や手の甲 | レーザー・光治療 |
| 肝斑 | 左右対称でもやっと広がる | 両頬・高齢ではまれ | 遮光と内服・外用が先 |
| 炎症後色素沈着 | 炎症の跡に一致した色 | 年代を問わない | 炎症を繰り返さない |
| 脂漏性角化症 | 盛り上がる灰褐〜黒褐色 | 20代から・高齢でほぼ全員 | 液体窒素・レーザー |
| 日光角化症 | 赤くカサカサ・ざらざら | 60〜70代から・日の当たる部位 | 受診して診断 |
見た目だけで種類を確定することはできず、診断には拡大鏡で皮膚を詳しく見る検査(ダーモスコピー)などが必要です。
表のほかに、医学的なシミには、そばかす(雀卵斑)や後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)も含まれます。ADMはアジア人に多く、主に20代の女性に出ますが、男性では額の両側に、褐色から紫がかった褐色の小さな斑点として出やすいとされています。ADMにはレーザー治療が有効とされる一方、肝斑とは治療の考え方が異なるため、取る前の見分けが欠かせません。
最も多いのは40代から増える日光黒子
日光黒子は顔のシミで最も多く見られるタイプで、主に40歳以上になってから、顔・手の甲・前腕など日光が当たる部位に年齢とともに現れます。色は褐色からやや黒色で、大きさは数mmの点から1cmを超えるものまであり、見え方は一様ではありません。
長年日光を浴びて現れるシミやしわは、生理的な加齢に、紫外線による慢性的な傷害が重なった光老化の結果でもあります。環境省の紫外線環境保健マニュアルは、光老化は自然の老化と違い、適切な紫外線対策で防ぐことができるとしています。
肝斑・炎症の跡・盛り上がるシミ
日光黒子と見分けたいのは、肝斑、炎症後色素沈着、脂漏性角化症です。肝斑は主に両頬に左右対称に出て、輪郭がぼやけてもやっと広がり、目の周りを避けて分布するのが特徴です。紫外線と女性ホルモンが主な悪化因子とされ、なかでも紫外線は発症の要因として重要と位置づけられています。
女性に多いものの、男性にも肝斑は起こります。注意したいのは、日光黒子の治療に広く使われる高い出力のレーザーで、肝斑はかえって悪化することが知られている点です。
炎症後色素沈着は、ニキビやカミソリ負け、こすりすぎなどで起きた炎症のあとに色が残るものです。脂漏性角化症は、顔や頭などに出る褐色から黒褐色の盛り上がった良性のできもので、20代から現れ始め、80歳以上ではほぼ全員にみられます。日光黒子が盛り上がって生じることも多いとされています。
鏡と指先でできる4つのセルフチェック
取る前に確かめたいのは、平らか盛り上がっているか、表面がなめらかかざらつくか、色が一様か、左右対称に広がっているかの4点です。とくに気をつけたい日光角化症は、長年の紫外線でできる前がん病変とされ、治療せずに放置すると皮膚がんの一種である有棘細胞癌になりうるという認識が重要だと、国内の診療ガイドラインは記しています。60〜70代から多くなるとされるものの、似た見た目のシミにまぎれやすい病変です。
4つの確認の手順
一例として、朝の自然光が入る明るい場所で、次の順に確かめます。
- 斑点を指の腹でそっとなで、周りの肌と同じく平らか、盛り上がっているかを確かめる
- 表面がなめらかか、カサカサ・ざらざらして指先にちくっと引っかかる感じがあるかを確かめる
- 色が一様な茶色か、赤みや濃淡のむら、黒い部分が混じっていないかを見る
- 両頬に左右対称に、輪郭のぼやけた斑点がもやっと広がっていないかを見る
確かめたら正面と左右からスマートフォンで撮っておくと、2〜3か月後に同じ条件で撮り直して、大きさ・色・形の変化を比べられます。
確認結果の読み方
平らで一様な茶色は日光黒子、両頬に左右対称のもやっとした広がりは肝斑、赤みがあってざらざらするものは日光角化症の特徴に近い見た目です。日本皮膚科学会の一般向け解説は、真っ黒で真珠のような光沢のある小さなしこりを基底細胞がんの特徴に挙げています。
この確認は診断ではなく、相談するかどうかを決める目安です。診療指針は、日光黒子で最も問題になるのは悪性腫瘍との見分けだとし、疑わしい場合はレーザーの前に拡大鏡の検査や、皮膚の一部を取って調べる生検を考えるよう求めています。不適切な照射で皮膚の見え方が変わり、診断が難しくなる危険があるためです。
男性のシミを左右するのは紫外線の量と防ぐ習慣
種類を見分けたら、次に知りたいのは、なぜ自分にシミが増えたのかでしょう。男性のシミの背景としてデータで示されているのは、紫外線を浴びる量と、日焼け止めなどで防ぐ習慣の差です。「男性のシミは濃く根が深い」といった説明も見かけますが、男女でシミの濃さや深さを比べた研究は限られています。
この章のポイント
・屋内勤務は屋外勤務の1〜2割の紫外線
・米国で日焼け止めを常用する男性は1割強
・日焼けした肌の紫外線防御はわずか
屋内勤務の紫外線量は屋外勤務の1〜2割
年間で見ると、屋内で働く人が浴びる紫外線は、屋外で働く人の10〜20%と環境省のマニュアルは示しています。働く場所の違いだけで、浴びる量に5〜10倍の差がつく計算です。紫外線は1日のうち正午ごろ、季節では6〜8月に最も強く、4〜9月に1年間のおよそ70〜80%が集中します。南に行くほど強くなるため、福岡で暮らす人は、同じ習慣でも北の地域より多く浴びやすい条件にあります。
曇りや日陰でも油断はできません。薄い雲ではUV-B(肌を赤く焼く紫外線)の80〜90%が通り抜け、日陰にも日向の半分ほどの紫外線が届きます。地面からの照り返しはアスファルトで10%、水面や砂浜で10〜20%とされ、ゴルフ場や釣り場、海辺では上と下の両方から浴びることになります。日焼けして黒くなった肌が紫外線を防ぐ力は小さく、SPF(肌を赤く焼く紫外線を防ぐ効果の目安)で4程度とされるため、焼けているから平気とは言えません。
日焼け止めを常に塗る男性は米国で1割強
2020年の米国の全国調査では、晴れた日に1時間を超えて屋外にいるとき、常に日焼け止めを使う成人は男性12.3%、女性29.0%で、どの年代でも女性のほうが高い割合でした。男性は18〜29歳で8.2%と最も低く、30歳以上の各年代は13%台でほぼ横ばいです。日本人を対象とした数値ではないため、男性が日焼け止めを使わない傾向を知る材料として受け止めるのが妥当です。
国内の有棘細胞癌の診療ガイドラインも、この皮膚がんが男性に多い傾向が報告されてきた理由として、男性が遮光を意識せず、化粧やサンスクリーンの使用が少ないことを挙げています。ただし、2016〜2017年の全国がん登録の集計では男女比に明確な差はなかったとも記されており、男性のほうが有棘細胞癌になりやすいと言い切れる状況ではありません。
ひげ剃りの炎症を繰り返さない
男性ならではの習慣で気をつけたいのは、ひげ剃りによる炎症を繰り返さないことです。カミソリ負けやニキビを何度もこすって炎症を起こすと、その跡が炎症後色素沈着として色で残ることがあります。ひげ剃りがどの程度シミを増やすかを調べた研究は限られており、原因と決めつける必要はありませんが、同じ場所に何度も刃を当てない、剃ったあとは保湿するといった習慣は、炎症を起こしにくくするうえで意味があります。
一例として、1週間のうち正午前後に屋外にいる時間と場所を、通勤、昼休み、ゴルフや釣りといった場面ごとに書き出すと、自分が浴びている量の見当がつきます。
市販のクリーム・化粧水・飲み薬でできる範囲
原因が紫外線と日々の習慣にあると分かると、まず市販品で何とかしたいと考える人も多いはずです。クリームや化粧水が化粧品か医薬部外品であれば、シミについて認められた効能は「防ぐ」までで、今あるシミを消すものではありません。市販の飲み薬は、しみの「緩和」を効能とするものや肝斑に限るものなど、成分ごとに範囲が異なります。
この章のポイント
・化粧品と医薬部外品はシミを防ぐまで
・市販の飲み薬は成分で効能の範囲が違う
・肝斑用の飲み薬は日光黒子が対象外
同じ売り場に並んでいても、区分によって効能の決まり方は違います。
| 区分 | シミについての効能 | 買い方 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 化粧品 | 日やけによるシミを防ぐ | 店頭・通販 | 今あるシミは対象外 |
| 医薬部外品 | しみ・そばかすを防ぐ | 店頭・通販 | 目的は予防で治療ではない |
| 一般用医薬品の飲み薬 | 緩和、または肝斑に限るなど | 薬局・店頭(第1類は薬剤師) | 成分で範囲と期間が違う |
| 医療用医薬品 | 製剤ごとに承認された効能 | 医師の処方 | 肝斑が効能外の製剤も |
飲み薬の範囲は、外箱の「効能・効果」の欄で確かめられます。
化粧品と医薬部外品の効能は「防ぐ」まで
化粧品の効能は国の通知で56項目に限られ、シミに関するものは「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」だけです。医薬部外品のうち薬用化粧品も、化粧水やクリーム、日やけ止め剤などの欄で「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」と定められ、作用の仕組みによっては「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」も認められています。
どちらも予防の表現で、今あるシミを消す、薄くする、取り除くといった効能は、化粧水でもクリームでも認められていません。男性向けに多いシェービング剤やアフターシェーブも、効能は「ひげを剃りやすくする」「かみそりまけを防ぐ」などの範囲です。
市販のクリームや化粧水は、日焼け止めと組み合わせて新しいシミを防ぐ道具として使うのが効能に沿った使い方で、赤みやかゆみなどの刺激が出たら使うのをやめます。
市販の飲み薬は成分ごとに効能の範囲が違う
しみを効能に含む市販の飲み薬は、成分によって国が認めた使い道の範囲が違います。代表的な2種類について、添付文書(医薬品や医療機器の製造販売業者が法律に基づいて作成する説明書)の記載を見ていきます。
L-システインとビタミンCの飲み薬
L-システインとビタミンCを配合した第3類医薬品(一般用医薬品のうち、副作用などのリスクが比較的低いとされる区分)の飲み薬は、しみ、そばかす、日やけ・かぶれによる色素沈着の緩和を効能としています。7歳未満は飲めず、1か月ほど使っても改善しなければ医師や薬剤師に相談します。発疹や吐き気、腹痛が出たらすぐに中止し、下痢が続く場合も中止して相談するよう定められています。
トラネキサム酸の飲み薬
トラネキサム酸を配合した第1類医薬品の飲み薬は、効能が「しみ(肝斑に限る)」です。薬剤師から説明を受けて買う区分で、2か月を超えて続けて飲まず再開までに2か月以上あけること、透析を受けている人は飲まないこと、トラネキサム酸を含む他の飲み薬と併用しないことが定められています。血栓症のある人や起こすおそれのある人、55歳以上の人、腎臓病の人、治療中の人は事前に医師や薬剤師への相談が必要です。
説明書に性別の制限はなく、15歳以上なら男性も対象ですが、効果があった場合も「しみが完全に消えるわけではありません」と書かれ、肝斑かどうかの見分けが難しい場合や、黒ずんで色むらがあり盛り上がったものは皮膚科医への相談が求められています。男性に最も多い日光黒子は肝斑ではないため、この薬の効能の対象外です。
医療機関の塗り薬・飲み薬の位置づけ
医療機関で処方される薬にも、承認(国が有効性や安全性を審査して認めること)の範囲があります。医療用のトラネキサム酸錠で国が認めている使い道は、出血しやすい状態や湿疹・じんましんの赤みやかゆみ、のどの痛みなどで、肝斑に使う場合は承認された効能の範囲外になります。止血薬のトロンビンを使っている人には禁忌(使ってはいけない)とされ、血栓のある人も注意が必要です。人工透析を受けている人では、重い副作用としてけいれんが挙げられています。
一方、医療用のビタミンC製剤(アスコルビン酸)は、ビタミンCの不足や代謝の異常が関わると考えられる場合の肝斑・そばかす・炎症後の色素沈着を、国が認めた使い道に含んでいます。ただし、男性に最も多い日光黒子は含まれていません。効果がないまま何か月も漫然と続けないよう求められており、副作用として吐き気や嘔吐、下痢などが挙げられています。
美白の塗り薬として使われることのあるハイドロキノンやトレチノインには、国内で承認された塗り薬がなく、医療機関で使う場合は国内未承認・保険適用外の薬になり、赤みやかぶれなどの刺激が出ることもあります。ハイドロキノンを配合した市販のクリームもありますが、化粧品として売られているものの効能は、先に説明した化粧品の範囲にとどまります。医薬品を正しく使っても起きた重い副作用に給付を行う医薬品副作用被害救済制度は、国内で承認された医薬品が対象のため、国内未承認の薬の副作用は対象になりません。承認された薬でも、肝斑へのトラネキサム酸錠のように承認外の目的で使った場合は対象外となることがあるため、処方の際は承認の有無と副作用が出たときの対応を聞いておくと安心です。
手元のクリーム、化粧水、飲み薬の外箱で「化粧品」「医薬部外品」「第○類医薬品」の区分と効能の欄を確かめると、期待してよい範囲がはっきりします。
レーザーなど医療のシミ取りは種類で評価が違う
市販品で今あるシミを取り除けないとなると、選択肢は医療機関での治療です。日光黒子へのレーザー・光治療は美容医療診療指針で推奨度1(治療を希望する患者には強く推奨する)とされる一方、肝斑への照射は、遮光や飲み薬・塗り薬で足りない場合に併用してもよいという推奨度2にとどまります。
この章のポイント
・日光黒子のレーザー・光治療は推奨度1
・肝斑への照射は条件つきの推奨度2
・色素沈着・保険・契約を事前に確かめる
日光黒子のレーザー・光治療は推奨度1
日光黒子へのレーザーと光治療は美容医療診療指針で推奨度1とされ、その推奨文は有効であるとしつつ「長期にわたる検討や他の治療法との比較が十分ではない」とも述べ、効果と限界を並べて示しています。
使われる機器と国内の位置づけ
使われるのは、Qスイッチ(ナノ秒単位のごく短い時間に強い光を出す方式)やさらに短い光を出すピコ秒のレーザーと、幅広い波長の光を当てる光治療器です。国内には、老人性色素斑を使用目的に含む承認済みのレーザー機器があります。
一方、光治療器は、国内で認証(国の基準への適合を第三者機関が確かめること)や承認を受けた機器でも、光を当てる部分の使用目的が温熱による血流改善や痛み・炎症の緩和とされ、シミの治療が含まれていないものがあります。海外で製造され、国内の承認・認証を受けていない光治療器が使われることもあります。指針の推奨と機器の使用目的は別の話で、使用目的にシミの治療が含まれない機器をシミに使うのは、使用目的の範囲外の使い方です。使われる機器がどれにあたるかは、承認・認証の番号と使用目的で確かめられます。
臨床試験で報告された改善の幅
系統的レビュー(決められた方法で関連する臨床試験を集めて検討した研究)では、日光黒子の治療を調べた41件、計3,234人の試験から、改善した割合の幅が次のように報告されています。
| 方法 | 報告された改善の幅 | 国内での位置づけ | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| Qスイッチレーザー | 36.36〜76.6% | 老人性色素斑を含む承認機器あり | 肝斑は高出力で悪化 |
| ピコ秒レーザー | 67.9〜93.02% | 老人性色素斑を含む承認機器あり | 色素沈着・色素脱失 |
| 光治療 | 74.6〜90% | 使用目的にシミを含まない機器も | 肝斑の部位は悪化に注意 |
| 冷凍療法 | 37〜71.4% | 見た目の目的なら自由診療 | より強い副作用と関連 |
研究に参加した人の85.1%は女性です。数字は条件の異なる各試験の結果の幅で、著者らはレーザーがほかの方法より有効とみられるとしながらも、より大規模な試験が必要だとしています。回数について指針は「適切な回数の照射が必要」とするのみで、一律の回数は示されていません。
冷凍療法などほかの選択肢
液体窒素で凍らせる冷凍療法も指針が挙げる治療法ですが、先述のレビューではより強い副作用との関連が指摘されており、色素沈着や色が抜ける変化が残ることもあります。寒さで症状が出る持病のある人は、事前の申告が必要です。
肝斑への照射は推奨度2で悪化の報告もある
肝斑へのレーザー・光治療は、美容医療診療指針で推奨度2(条件によっては行うことを弱く提案する)です。推奨文は、遮光や美白剤の外用・内服などの保存的治療で十分な効果が得られない場合に「併用療法として行っても良い」というもので、肝斑の対処では遮光が必須で最も重要とされています。
日光黒子の治療に広く使われる高い出力のQスイッチルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーでは、強い炎症が起きて肝斑が悪化することが知られています。低い出力でネオジミウム・ヤグレーザーを当てる方法(レーザートーニングと呼ばれることが多い方法)でも、色が抜けて白く残る脱色素斑という副作用が取り上げられ、慎重な対応が必要とされています。男性の肝斑も扱いは同じで、「シミにはレーザー」と一括りにできないのはこのためです。
受ける前に確かめたい副作用・保険・契約
レーザーや光治療を受ける前に確かめたいのは、自分に起こりうる副作用、保険が使えるかどうか、契約の条件の3つです。
副作用と申告が必要な人
日本人を含む有色人種では、レーザー後に炎症後色素沈着や色素脱失が起こりうると指針は述べています。機器の説明書にも、出力が強すぎたり施術の間隔を誤ったりすると、色素沈着や色素脱失、瘢痕化を起こす危険があると書かれています。受けられない人や申告が必要な人は機器ごとに違い、禁忌には次のような項目が挙がっています。
- 光線過敏症の病歴や光線過敏を起こす薬の服用
- 過度に日焼けした部位
- 妊娠中または妊娠の可能性
- 金製剤(関節リウマチなどの治療に使われてきた薬)の使用歴や、血液を固まりにくくする抗凝固薬の服用
- 出血しやすい体質
- ペースメーカの使用
- 光治療ではタトゥーやアートメイクの部位
持病と飲んでいる薬は施術前にすべて伝えます。照射後はかさぶたをはがさず、紫外線を避け、照射部位にカミソリを当てる時期は施術した医療機関の指示に従うのが基本です。レーザーや光治療器は医療機器のため、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。
保険と契約の確認
保険診療の皮膚レーザー照射療法は「単なる美容を目的とした場合は算定できない」、つまり美容目的では保険が使えないと定められています。対象に挙がっているのは太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症、扁平母斑などの病名で、見た目を整える目的のシミ取りは自由診療になります。
しみの除去を光や機器、薬剤で行う美容医療のうち、期間が1か月を超え、金額が5万円を超えるコース契約は、特定商取引法の特定継続的役務提供にあたりうるものです。該当すれば、契約書面を受け取った日を1日目として8日間はクーリング・オフができ、中途解約のルールもあります。
相談の際は、診断名とその根拠、使う機器とその使用目的、色素沈着などが出たときの対応と通院の仕方、回数・費用・契約の書面の4点を聞いておくと、万一のときに慌てずに済みます。
相談先の候補ごとに4点への回答をメモに並べておくと、比べるときの判断が整理しやすくなります。
シミを増やさない予防と受診の目安
治療を受けた人も受けない人も、紫外線を浴び続ければ新しいシミはでき得ます。予防の中心は、日焼け止めを十分な量で塗って2〜3時間おきに塗り直すことと、紫外線の強い時間帯を避けて帽子を使うことです。あわせて、盛り上がり・ざらつき・短期間の変化があるシミは、市販品を試す前に受診するのが順序です。
この章のポイント
・日焼け止めは液状なら1円玉大を2回
・UVインデックス3以上の時間は対策を
・変化するシミは市販品より先に受診
日焼け止めは顔に2回重ねて2〜3時間ごとに塗り直す
日焼け止めを顔に使う量は、クリーム状ならパール粒1個分、液状なら1円玉1個分を手のひらに取り、額・鼻・両頬・あごに置いて塗り伸ばし、もう一度同じ量を重ねるのが環境省のマニュアルの示す目安です。日本皮膚科学会の一般向け解説は、SPFやPAの値は決められた量を塗った状態で測られており、塗る量が少なければ表示どおりの効果は得られないとしています。PAは肌を黒くする紫外線を防ぐ効果の目安で、4段階で表示されます。
塗るのは外に出る前で、鼻の頭など日が当たりやすい所は念入りに塗ります。汗をタオルで拭いたり手が触れたりすると落ちるため、落ちたと思ったらすぐに、そうでなくても2〜3時間おきに塗り直します。塗り忘れやすいのは耳、首、うなじ、手の甲です。通勤や買い物なら数値がそれほど高くないものやSPF・PA表示のある日中用の乳液で足り、長時間の屋外や汗・水に触れる場面では効果や耐水性の高いものを選びます。
時間帯と帽子・サングラスで浴びる量を減らす
日焼け止めと並ぶ柱は、紫外線の強い時間帯を避けることです。環境省のマニュアルは、UVインデックス(紫外線の強さを示す指標)がおおむね3以上の時間帯を避けることを第一に考えるよう勧めており、翌日の値は気象庁が公表しています。
有棘細胞癌は顔や耳、手の甲、髪の薄い頭皮に多いとされるため、帽子で顔と頭頂部に影をつくり、目は紫外線防止効果のあるサングラスで守ります。ゴルフや釣り、屋外の作業では、時間帯・帽子・日焼け止めを重ねるのが現実的です。光老化は紫外線対策で防げるとされており、40代からでも新しいシミを増やさない意味は十分にあります。
皮膚科の保険診療と美容目的の相談の分け方
市販品や美容目的の治療より先に受診を考えたいのは、次のような変化がある斑点です。
- 盛り上がってきた斑点
- カサカサ・ざらざらが治らない斑点
- かさぶたや出血を繰り返す斑点
- 黒く光沢のある小さなしこり
- 短期間で大きさ・形・色が変わる斑点
- 色むらや黒い部分が混じる斑点
基底細胞がんは顔に多く、30〜40代から見られるとされるため、40代でもしこりの変化は見過ごさないようにします。病気が疑われる斑点の診断と治療は保険診療の枠組みで行われ、盛り上がった脂漏性角化症を液体窒素で治療する場合にも保険が使える項目があります。
見た目を整える目的で日光黒子や肝斑を治療する場合は自由診療となり、費用は医療機関ごとに異なります。どちらの場合も、最初に必要なのは取るための見積もりではなく、その斑点が何かという診断です。
男性のシミについてよくある質問
よく寄せられる疑問に短く答えます。
男性でも肝斑になりますか?
なります。両頬に左右対称でもやっと広がり目の周りを避けるのが特徴で、紫外線が主な要因とされ、高い出力のレーザーで悪化しうるため取る前の見分けが必要です。
市販のシミ用クリームや化粧水で今あるシミは消えますか?
化粧品や医薬部外品であれば、認められたシミの効能は「防ぐ」までで、今あるシミを消す効能はありません。日焼け止めと組み合わせ、新しいシミを防ぐ道具として使います。
シミ取りレーザーは保険が使えますか?
見た目を整える目的のシミ取りは自由診療です。保険のレーザー治療は美容目的では使えず、対象に挙がっているのは太田母斑などの病名です。
シミと皮膚がんはどう見分けますか?
盛り上がり、カサカサ・ざらざら、出血やかさぶたの繰り返し、黒く光るしこり、短期間の変化があれば、自己判断せず受診します。拡大鏡での観察などで診断されます。
40代からのシミ予防で優先することは何ですか?
日焼け止めを顔に液状なら1円玉大、クリーム状ならパール粒大ずつ2回重ねて2〜3時間おきに塗り直すことと、紫外線の強い時間帯を避けて帽子を使うことです。
まとめ
男性の顔のシミで最も多いのは紫外線でできる日光黒子で、今あるシミを取る手段はレーザーなど医療機関の治療が中心です。市販のクリームや化粧水は化粧品・医薬部外品なら予防まで、飲み薬は成分ごとに決まった範囲までと考えると、手の打ち方が整理できます。日光黒子と肝斑では推奨の方向が違うため、治療の入口は種類の見分けです。
今日からできることは3つあります。鏡と指先で4つの点を確かめて写真を残すこと、日焼け止めを液状なら1円玉大ずつ2回重ねて2〜3時間おきに塗り直し、正午前後は帽子を使うこと、相談の際に診断名・機器の使用目的・色素沈着が出たときの対応・契約書面を確かめることです。斑点の種類の見分けから相談したい場合は、福岡院のカウンセリングで診察を受け、治療が必要かどうかを一緒に検討できます。
アラジン美容クリニック福岡院では、「ウソのない美容医療の実現」をモットーに、患者様お一人ひとりの美のお悩みに真摯に向き合い、最適な治療をご提案しております。無駄な施術を勧めることなく、症状の根本的な原因にアプローチし、患者様の理想を実現するお手伝いをいたします。
また、福岡院限定で提供している特別な施術コース「クマフル」は、目元のクマ治療に特化した定額プランをご用意しております。ハムラ法、脂肪注入、目の下の脂肪取りなど、複数の治療法を組み合わせ、患者様お一人ひとりに最適な治療を提供いたします。目元のクマにお悩みの方は、ぜひこの機会にご利用ください。
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参考文献・出典
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