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妊活の葉酸はいつから?1日400μgの理由と摂りすぎの目安

妊活中の葉酸は、妊娠を考え始めた時点、遅くとも妊娠の1か月以上前から摂り始め、妊娠3か月まで続けます。ふだんの食事とは別に、サプリメントなどで1日400μg(マイクログラム。1mgの1,000分の1)を上乗せするのが国の目安です。

葉酸はビタミンB群の一種で、赤ちゃんの脳や脊髄のもとになる神経管の異常(神経管閉鎖障害)のリスクを下げるために勧められています。神経管は受胎後およそ28日でできあがり、多くの人はそれより後に妊娠に気づくため、妊娠前から始めておく必要があります。サプリなどから摂る葉酸には上限があり、18〜29歳は1日900μg、30〜64歳は1,000μgです。

一方で、妊娠しやすくなる効果は確かめられておらず、不妊の相談や治療を受けた男性が葉酸を含むサプリを飲んでも出生や妊娠の率は上がらなかったという大規模な比較試験の結果もあります。以下では、時期と量、効果の範囲、男性の場合、サプリと食べ物の選び方、上限と相談が必要な人を順に解説します。

 

 

妊活の葉酸は妊娠1か月以上前から1日400μg

妊活中の葉酸は、妊娠を考え始めた時点、遅くとも妊娠の1か月以上前から妊娠3か月まで、食事とは別に1日400μgを上乗せして摂るのが国の目安です。妊娠前から始める理由と、気づくのが遅れた場合の考え方もあわせて押さえておくと判断しやすくなります。

この章のポイント
・妊娠を考えたら1日400μgを上乗せする
・食事の推奨量240μgとは別枠で数える
・気づいた時点から妊娠3か月まで続ける

神経管は妊娠に気づく前にできあがる

赤ちゃんの脳や脊髄のもとになる神経管は受胎後およそ28日でできるため、妊娠に気づいてから葉酸を摂り始めても間に合わないことが多いとされています。2000年に出された国の通知は、脳や脊髄などの中枢神経系の異常の多くが妊娠7週未満に起こるとしています。

神経管閉鎖障害は、神経管がうまくつながらないことで起こる先天性の異常で、無脳症や二分脊椎などがあります。葉酸はDNAの合成に関わるビタミンで、細胞が盛んに増える妊娠初期に欠かせません。ただし神経管閉鎖障害は遺伝要因なども関わる多因子の病気で、葉酸だけで防げるものではないと、国の通知や、厚生労働省の「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」の解説は明記しています。

食事の240μgとは別に400μgを足す

推奨量(ほとんどの人が必要な量を満たせるとされる1日の量)の240μgは食事で満たす量で、妊活中の400μgはサプリや葉酸を加えた食品(強化食品)で摂る別枠の量です。国の食事摂取基準の2025年版は、18歳以上の推奨量を男女とも1日240μgとしたうえで、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦に、通常の食品以外の食品から1日400μgを摂ることが望まれるとしています。

量を増やせば効果も高まるわけではなく、国の通知は、研究で使われた1日0.36〜5mg(1mgは1,000μg)の範囲で量が増えるほど大きくリスクが下がる関係は認められず、有効な最小量をおよそ0.4mgとしたと説明しています。時期ごとに、食事で満たす量と上乗せする量を分けると次のとおりです。

時期 食事の推奨量 上乗せの量 上乗せの摂り方
妊娠を考え始めた時〜妊娠3か月 240μg 400μg サプリ・強化食品で
妊娠中期・後期 240μg 240μg 食事で
授乳中 240μg 100μg 食事で
男性・妊娠を考えていない時期 240μg なし なし

妊娠初期には、食事の推奨量への上乗せは設けられていません。400μgは食事の240μgに含めて数える量ではなく、食事とは別にサプリや強化食品から摂る量です。以前に神経管閉鎖障害の妊娠があった人や持病の薬を飲んでいる人には、この一般向けの量は当てはまらず、医師と量を決めます。

気づいた時点から妊娠3か月まで続ける

妊娠に気づくまで葉酸を摂っていなかった場合も、気づいた時点から始めて妊娠3か月まで続けます。国の通知は、摂取時期を妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までとする一方、妊娠が判明してからの摂取でも効果がみられたとする報告もあると記しています。

米国の予防医療の専門委員会のために観察研究をまとめたレビューでも、1つの研究で、妊娠中に飲み始めた人に神経管閉鎖障害のリスクが約4割低い関連がみられました。ただし2つの調査期間のうち後の期間だけの結果で、因果関係までは言えません。

妊娠3か月を過ぎたら上乗せのサプリは必須ではなく、食品安全委員会は妊娠中期以降、食事から1日240μgを追加するよう勧めています。飲み忘れた日があっても翌日に2回分をまとめて飲まず、いつもの量に戻します。一例として、朝食後など毎日決まった場面に組み込むと続けやすくなります。

カレンダーを見て今日が表のどの時期にあたるかを確かめ、上乗せが必要な期間であれば今日から始めてください。

 

葉酸の効果は神経管閉鎖障害のリスク低下

時期と量の次に気になるのは、本当に効くのか、妊娠しやすくなるのかという点です。比較試験で確かめられている効果は神経管閉鎖障害のリスク低下で、ほかの先天異常や流産、妊娠しやすさへの効果ははっきりしていません。

この章のポイント
・神経管閉鎖障害のリスクは約3分の1に
・妊娠しやすくなるかは分かっていない
・国内の調査で妊娠前からの服用は1割未満

葉酸で確かめられていることと、はっきりしていないことを並べると次のとおりです。

調べたこと 研究の種類 結果
神経管閉鎖障害 比較試験5件のまとめ リスクが約3分の1に
口唇裂・口蓋裂・心臓の異常 比較試験のまとめ はっきりした差なし
流産 比較試験5件のまとめ 差なし
妊娠しやすさ(女性) 観察研究2件 食事の葉酸が少ないと低い傾向
出生・妊娠の率(男性が服用) 比較試験2件 差なし

観察研究で分かるのは関連までで、男性の2件の試験は不妊の相談や治療を受けたカップルが対象です。

比較試験でリスクは約3分の1に

受胎の前後に葉酸を飲んだ群と飲まなかった群を比べた5つの試験をまとめると、神経管閉鎖障害のリスクは約3分の1でした。無作為化比較試験(くじ引きで2つの群に分けて比べる試験)を集めた系統的レビュー(複数の研究を決まった方法で集めてまとめる研究)で、2015年時点の5試験・女性7,391人が対象です。リスク比(1より小さいほどリスクが低いことを示す値)は0.31で、根拠の確かさは高いと評価されています。

内訳をみると、以前に神経管閉鎖障害の妊娠があった人の再発はリスク比0.34で明確に下がりました。初めての発症を調べた試験は1つだけで、葉酸を飲んだ群では発症がゼロでしたが、統計的な差とまでは言えませんでした。試験で使われた量は1日400μg未満から4mgまで幅があります。

先述の米国の専門委員会のレビューでは、同じ1つの研究の後の期間で、妊娠前から飲んでいた人でリスクが約半分という関連もみられました。いずれも集団としてみた場合にリスクが下がるという意味で、一人ひとりの発症を防げる保証にはなりません。

妊娠しやすくなるかは分かっていない

葉酸を飲むと妊娠しやすくなるという効果は、確かな根拠をもって示されていません。先述の5試験のまとめでも、口唇裂・口蓋裂や心臓の異常、流産にははっきりした効果は認められず、流産のリスク比は1.10でした。

デンマークと北米で妊娠を試みる女性計9,559人を追ったコホート研究(集団を一定期間追いかけて調べる研究)2件では、食事の葉酸が1日250μg未満の人は、400μg以上の人に比べて1周期あたりの妊娠の起こりやすさが約2割低い結果でした。ただし著者自身が、葉酸だけでなく食事全体の良さを反映しているかもしれないと述べています。

「卵子の質が上がる」「着床しやすくなる」という広告の言葉についても、根拠となる比較試験は示されていません。

国内の大規模調査で妊娠前から飲んでいた人は1割未満

国内の大規模な調査では、妊娠前から葉酸サプリを使っていた人は1割に満たず、神経管閉鎖障害の発生率も下がっていません。環境省が進める全国調査(エコチル調査)では、2011〜2014年に参加した妊婦約9万2千人のうち、妊娠前から葉酸サプリを使っていたのは8.27%でした。国の指針の解説は、国内の発生率は1万出生(死産を含む)あたり6件程度で推移し、減少傾向は認められないとしています。

令和6年の国民健康・栄養調査でも、1日分の調査による葉酸摂取量の平均は20代女性で219μg、30代女性で213μgと、推奨量の240μgに届いていません。海外には穀類などへの葉酸の添加を義務づけている国もありますが、日本では個人がサプリなどを選んで摂る仕組みです。

飲み始めた日を手帳やスマートフォンに記録しておくと、妊娠3か月までの期間や飲み忘れを振り返りやすくなります。

 

不妊で受診した男性の葉酸サプリで妊娠率は変わらず

効果の範囲が見えると、次は夫婦で同じサプリを飲むべきかが気になります。不妊の相談や治療を受けた男性を対象にした大規模な比較試験2つでは、葉酸を含むサプリで出生や妊娠の率は上がりませんでした。男性の推奨量は女性と同じ240μgで、食事と生活習慣を整えることが土台になります。

この章のポイント
・不妊で受診した男性の試験で差は出ず
・男性の推奨量は女性と同じ240μg
・禁煙や体重管理も男性の妊活の一部

2つの比較試験で出生・妊娠の率は変わらず

高用量の葉酸と亜鉛の組み合わせでも、葉酸400μgを含む配合サプリでも、男性が飲んだ場合の出生率や妊娠率は改善しませんでした。

高用量の葉酸と亜鉛を6か月飲んだ試験

米国の4施設で不妊治療を予定していたカップル2,370組の男性に、葉酸5mgと亜鉛30mg、またはプラセボ(有効成分を含まない錠剤)を1日1回、6か月飲んでもらった試験では、出生に至ったのは34%と35%で差がありませんでした。精子の濃度や運動率、形などにも差はなく、精子の遺伝情報の傷の指標であるDNA断片化は、むしろ葉酸・亜鉛群でわずかに高い結果でした。

腹部の不快感や吐き気、嘔吐も葉酸・亜鉛群で多く、腹部の不快感は6%と3%でした。葉酸5mgは国内の上乗せの目安の12.5倍にあたる量で、亜鉛とも組み合わせています。試験の費用は米国の国立研究機関が出しており、資金を出した機関は試験の計画や解析、論文の作成に関わっていません。

葉酸400μgを含む配合サプリの試験

オランダの21施設で不妊の相談・治療を受けた男性1,171人に、葉酸400μgを含む8成分の市販の配合サプリ、またはプラセボを6か月飲んでもらった試験では、6か月以内に妊娠しその妊娠が続いていた割合は33.8%と37.5%で、サプリ群が上回ることはありませんでした。精液の検査値にも差はなく、著者はこの製品の使用を支持しないと結論しています。

この試験は、試したサプリの製造販売会社が研究費と試験品を提供して行われたもので、資金提供者の製品でも効果は示されませんでした。2つの試験はいずれも不妊の相談・治療を受けたカップルが対象で、一般の妊活中の男性にそのまま当てはまるとは限りません。

男性は食事の240μgと生活習慣を整える

男性の葉酸の推奨量は女性と同じ1日240μgで、妊活中の男性に上乗せする量は国の基準に示されていません。先述の国民健康・栄養調査では、1日の葉酸摂取量の平均は20代男性で230μg、30代男性で247μgでした。

こども家庭庁のプレコンセプションケア(妊娠前からの健康づくり)の情報は、精子の質を下げる生活習慣として、喫煙、過度な飲酒、肥満、睡眠不足や運動不足、長時間のサウナや締め付けの強い下着など精巣の温度を上げる行動を挙げています。なかなか妊娠しない場合は、パートナーと一緒に早めに受診して検査を受けることも勧めています。

関節リウマチなどに使うメトトレキサートの添付文書(薬の製造販売会社が国の承認を受けて作成する公式の説明書)は、男性が服用する場合も、服用中と終了後少なくとも3か月は配偶者の妊娠を避けるよう求めています。てんかんなどに使うバルプロ酸の説明書にも、受胎前の3か月間に父親がこの薬を飲んでいた子どもは、別の抗てんかん薬を飲んでいた父親の子どもに比べて、発達障害(神経発達症)のリスクが高まる可能性を示した報告があると記されています。持病の薬を飲んでいる男性は、自己判断で薬をやめず、妊活を始める前に処方医に相談してください。

夫婦で、女性は上乗せの400μg、男性は食事と生活習慣という分担を話し合っておくと、同じサプリを2人分買う前に必要性を見直せます。

 

葉酸はサプリで上乗せし食べ物で土台を作る

誰がどれだけ摂るかが整理できたら、次は実際の摂り方です。上乗せの400μgはサプリや強化食品で、推奨量の240μgは食べ物で満たすという役割分担が基本になります。

この章のポイント
・上乗せ分は体内で利用されやすいサプリで
・葉酸はゆでると半分近く減りやすい
・表示で1日量とビタミンAを確かめる

上乗せ分はサプリか強化食品で摂る

食べ物の葉酸は体内で利用される割合が低く、調理でも減るため、上乗せの400μgはサプリや強化食品で摂ることが勧められています。国の食事摂取基準は、食べ物の葉酸が利用される割合を、サプリなどの葉酸と比べて日本人の試験で約50%としています。国の通知も、神経管閉鎖障害のリスク低下を示した疫学研究はすべて栄養補助食品を使っていたと説明しています。一方で、サプリを摂っていれば野菜などを食べなくてよいわけではないと、国の指針の解説は念を押しています。

活性型葉酸(メチル葉酸)をうたう製品もありますが、神経管閉鎖障害の予防を比較試験で確かめたのは一般的な葉酸で、先述の5試験のまとめに活性型を試した比較試験は含まれていませんでした。米国疾病予防管理センターも、MTHFRという遺伝子の型にかかわらず、同じ1日400μgの葉酸を勧めています。医療用の葉酸製剤は通常成人に1日5〜20mgを使う薬で、医師が必要と判断した場合に処方されます。

葉酸が多い食べ物とゆでて減る量

葉酸は緑の野菜や豆類、レバーに多く含まれますが、ゆでると減りやすく、レバーはビタミンAが多すぎるため妊活中の葉酸源には向きません。日本食品標準成分表の値で、生とゆでを比べると次のとおりです。

食品 生100gあたり ゆで100gあたり 注意点
鶏レバー 1,300μg ― ビタミンAが非常に多い
和種なばな 340μg 190μg ゆでると減る
えだまめ 320μg 260μg さやごとゆでる
ブロッコリー 220μg 120μg 蒸す・レンジも可
ほうれんそう 210μg 110μg ゆで汁に溶け出す
アスパラガス 190μg 180μg ゆでても減りにくい
糸引き納豆 120μg ― 加熱せずに食べられる

ゆでると重さも変わるため、100gあたりの差は失われた量と一致しません。国の通知は、調理で葉酸の50%近くが分解するかゆで汁に溶け出すとしています。一例として、汁ごと食べる、蒸す、電子レンジで加熱するなど、水に触れる時間を短くすると損失を抑えやすくなります。

鶏レバーは葉酸が多い一方で、ビタミンA(レチノール)も100gあたり14,000μgと非常に多く含みます。食品安全委員会は、焼き鳥のレバー2/3本、およそ20gでビタミンAの1日の上限を超えるとして、妊娠を希望する女性や妊娠初期の女性に鶏や豚のレバーをなるべく控えるよう呼びかけています。

サプリの表示で確かめる5つの手順

製品はブランドや価格ではなく、表示で葉酸の量とほかの成分を確かめて選びます。自宅でできる手順は次の5つです。

  1. 栄養成分表示で1日の目安量あたりの葉酸が何μgかを見て、上乗せの目安の400μgと比べる
  2. 「栄養機能食品(葉酸)」の表示は1日量72〜200μgの製品に付くため、表示だけで400μgを満たすと考えない
  3. 「機能性表示食品」は妊娠を計画している人を対象に開発された食品ではないと表示されるため、使う前に医師か薬剤師に相談する
  4. 原材料と成分表示でビタミンAが入っていないか、入っていればその量を見る
  5. ほかのサプリや強化食品と合わせた葉酸の合計が、年齢の上限を超えないか足し算する

栄養機能食品の葉酸には、多量に摂っても胎児の発育がよくなるものではないという注意書きが義務づけられています。GMP(製造工程の管理基準)に沿った製造が法令で義務づけられているのは、2026年9月1日以降に製造される、天然の抽出物などを原料とする錠剤・カプセルなどの機能性表示食品に限られ、栄養機能食品や一般の健康食品では任意の取り組みです。

国立健康・栄養研究所も、葉酸サプリに葉酸以外に何が入っているかを確かめるよう勧めています。持病の薬を飲んでいる人は、製品を処方医か薬剤師に見せてから飲み始めてください。

手元の製品か購入を考えている製品のラベルを、今日この5つの手順で見直してみてください。

 

摂りすぎの上限と医師に相談すべき人

サプリで上乗せするなら、摂りすぎと例外も知っておく必要があります。サプリなどの葉酸には年齢ごとの上限があり、薬を飲んでいる人や以前に神経管閉鎖障害の妊娠があった人には一般向けの量が当てはまりません。

この章のポイント
・サプリなどの葉酸の上限は900〜1,000μg
・薬を飲んでいる人は医師と量を決める
・既往がある人は医師の管理下で摂る

上限は年齢により1日900〜1,000μg

サプリや強化食品から摂る葉酸の上限は、18〜29歳で1日900μg、30〜64歳で1,000μgです。国の食事摂取基準は、この耐容上限量(健康への害が出ないとされる1日の上限)を通常の食品以外の食品の葉酸にだけ適用し、食べ物の葉酸の摂りすぎによる健康障害の報告はないとしています。

上限の根拠は、ビタミンB12が不足する病気(悪性貧血)の人が葉酸を大量に摂ると、貧血が見かけ上よくなる一方で神経の症状が出たり悪化したりした報告です。国の通知も、高用量の葉酸はビタミンB12不足の診断を難しくするため、医師の管理下にある場合を除き1日1mgを超えるべきではないとしており、医療用の葉酸製剤の説明書も悪性貧血を隠すおそれに注意を促しています。

注意が要るのは、複数のサプリや強化食品の重ね飲みと、400μgを超える製品の併用です。副作用として、先述の男性の試験では葉酸5mgと亜鉛で腹部の不快感や吐き気が増え、医療用の葉酸製剤の説明書には皮膚の赤みやかゆみ、食欲不振、吐き気などが記されています。飲み始めて体調に変化があれば中止し、医師か薬剤師に相談してください。

薬を飲んでいる人は量を医師と決める

抗てんかん薬など、葉酸を減らしたり妊娠中の注意が大きかったりする薬を飲んでいる人は、葉酸の量とタイミングを自己判断せず、妊活を始める前に処方医に相談します。

抗てんかん薬を飲んでいる人

国の通知は、抗てんかん薬など長く飲み続ける薬の中には葉酸の欠乏を起こすものがあるとしています。薬の公式な説明書にも、カルバマゼピンなど一部の抗てんかん薬で妊娠中に葉酸が低下したとの報告や、カルバマゼピンやバルプロ酸をそれぞれ妊娠中に使った人で、二分脊椎を含む先天異常の子の出産が多かったとの疫学調査の報告が記載されています。バルプロ酸は、妊娠の可能性がある女性に使う場合、催奇形性(赤ちゃんに先天異常を起こす性質)を十分に説明し、使うのが適切か慎重に判断するとされています。

ただし、自己判断で薬を急にやめたり減らしたりすると発作につながるおそれがあるため、薬の調整も葉酸の量も、妊活を始める前に処方医と決めてください。

メトトレキサートや肌の治療で飲む薬

メトトレキサートは妊婦に使ってはいけない禁忌(使用が認められない条件)が定められた薬で、女性は服用中と終了後少なくとも1月経周期、男性は服用中と終了後少なくとも3か月、妊娠を避けるよう説明書に記されています。副作用の予防に医師が葉酸を処方することもあるため、市販の葉酸サプリを自分で足す前に処方医に伝えてください。

ニキビや肌の治療などで飲み薬を処方されている人や、ビタミンAを含む美容目的のサプリを飲んでいる人も、妊活を始める前に医師に伝え、続けてよいかを確かめてください。たとえばイソトレチノイン(ビタミンAの仲間の飲み薬)は、ニキビの治療には国内で承認されていませんが、自由診療で処方されることがあります。国内で承認されている製剤(神経芽腫の治療薬)の説明書では、催奇形性があるため妊婦には使わないこととされ、女性は飲み始める1か月前から、飲んでいる間と最後に飲んでから1か月間は妊娠を避けるよう求めています。同じ説明書では、成分に過敏症のある人、ビタミンA製剤を使っている人、ビタミンA過剰症の人にも使わないこととされています。

以前に神経管閉鎖障害の妊娠があった人

以前に神経管閉鎖障害の赤ちゃんを妊娠したことがある人は、一般向けの400μgではなく、医師の管理下で葉酸を摂ることが国の通知で求められています。再発のリスクが高いため、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間、医師の判断で一般向けより多い量を使うことがあり、上限を超えるため自己判断で増やすことは避けます。先述の5試験のまとめでも、再発のリスク比は0.34と下がっていました。

国の通知は、既往のある人に過度の不安を招かないよう、その発症に葉酸の摂取が寄与した可能性は必ずしも高くないと説明する必要があるともしています。以前の妊娠を責める必要はなく、次の妊娠に向けて医師と計画を立てることが出発点になります。次に当てはまる場合は、サプリを増やす前に医師に相談してください。

  • 神経管閉鎖障害の妊娠歴がある
  • 抗てんかん薬やメトトレキサートなど持病の薬を服用中
  • 胃の手術後や食事の偏りでビタミンB12不足が心配
  • 妊娠を希望して、避妊をせずに1年たっても妊娠しない(年齢が高い場合などは、より早めの受診が勧められています)

当てはまる項目があれば、飲んでいる薬の一覧とサプリの製品を持参して受診してください。持病の薬については処方医に、妊娠歴やなかなか妊娠しないことについては産婦人科で相談できます。

 

妊活中の葉酸についてよくある質問

飲み忘れや飲みすぎ、噂の真偽など、妊活中の葉酸で寄せられやすい質問に答えます。

妊娠に気づくまで葉酸を飲んでいなかったのですが大丈夫ですか?

気づいた時点から始めて、妊娠3か月まで続けてください。国の通知には妊娠が分かってからの摂取でも効果がみられたとする報告もあると記され、心配な点は妊婦健診で医師に相談できます。

葉酸サプリはいつまで飲み続ければいいですか?

上乗せの400μgは妊娠3か月までが目安です。妊娠中期・後期は食事で1日240μg、授乳中は食事で100μgを追加する形に切り替えます。

葉酸サプリをうっかり2回分飲んでしまったら問題ですか?

400μgの製品を2回分飲んでも800μgで、18〜29歳の上限900μg、30〜64歳の上限1,000μgを下回ります。翌日からいつもの量に戻し、続けて重ねないようにしてください。

葉酸サプリで子どもの自閉症が増えるという話は本当ですか?

そうした関連は示されていません。先述の米国の専門委員会のレビューでは、自閉症を調べた観察研究7件、約76万人で、統計的に意味のある害は報告されていませんでした。

活性型葉酸のサプリのほうが効果は高いですか?

効果が上だという根拠はありません。神経管閉鎖障害の予防が比較試験で確かめられているのは一般的な葉酸で、遺伝子の型にかかわらず1日400μgが勧められています。

 

まとめ

妊活中の葉酸は、妊娠を考え始めた日から妊娠3か月まで、食事の240μgとは別に1日400μgをサプリや強化食品で上乗せするのが基本です。確かめられている効果は神経管閉鎖障害のリスク低下で、妊娠しやすくなる効果や、不妊の相談・治療中の男性がサプリを飲んで出生率が上がる効果は示されていません。サプリなどの葉酸の上限は年齢により1日900〜1,000μgで、薬を飲んでいる人や以前に神経管閉鎖障害の妊娠があった人は医師と量を決めます。

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参考文献・出典

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  • 内閣府 食品安全委員会「お母さんになるあなたと周りの人たちへ―妊娠の前から気をつけたい食べ物のこと―」(2026年)
  • フォリアミン錠 添付文書(富士製薬工業株式会社)
  • テグレトール錠100mg・同錠200mg、イソトレックスカプセル8mg・同16mg 添付文書(サンファーマ株式会社)
  • デパケン錠100mg・同錠200mg 添付文書(日医工岐阜工場株式会社)
  • リウマトレックスカプセル2mg 添付文書(ファイザー株式会社)

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