天神駅徒歩すぐ美容外科・美容皮膚科

キャンペーン
LINE予約
症例
池袋本院
ためになる美容情報

マリオネットラインとほうれい線の違いは?つながる理由と消す前に知ること

マリオネットラインは口角の下から顎へ、ほうれい線は小鼻の脇から口角へ向かう線で、どちらも口元の皮膚が筋肉にしっかり付いた境目の外側に、頬の組織が重なってできると考えられています。

違いは境目をつくる筋の向きで、ほうれい線は唇を引き上げる筋、マリオネットラインは口角を下げる筋と関わります。2本がつながって見えるのは、小鼻の脇から顎まで同じ種類の境目が一続きに走っているためと考えられています。

表情筋のエクササイズで線が浅くなると示した比較試験はなく、医療で報告されているのも線が消えることではなく、重症度の段階が1つ以上下がった人の割合です。国内で承認されたヒアルロン酸注入材のほうれい線での試験でも、その割合は6か月の93.2%から12か月には57.5%に下がっていました。

ここでは、見分け方とセルフチェック、エクササイズの研究、医療の選択肢と承認状況、受ける前の確認点を順にたどります。

 

 

目次
  1. マリオネットラインとほうれい線の違いは境目の筋の向き
  2. つながって見えるのは一続きの境目だから
  3. エクササイズで線が浅くなる根拠は乏しい
  4. 「消す」ではなく段階を下げる医療の選択肢
  5. 注入を受ける前に確かめたいこと
  6. マリオネットラインとほうれい線についてよくある質問
  7. まとめ

マリオネットラインとほうれい線の違いは境目の筋の向き

マリオネットラインとほうれい線は、位置だけでなく、線をつくる境目の筋の向きが逆です。ほうれい線は唇を引き上げる筋が皮膚に付く位置に、マリオネットラインは口角を下げる筋が皮膚に固定された範囲の端にできると説明されています。一方で、どちらも内側は筋肉と皮膚が一体でたるみにくく、外側はゆるみやすいという同じ型の境目です。

この章のポイント
・ほうれい線は唇を引き上げる筋の境目にできる
・マリオネットラインは口角を下げる筋の境目
・注入時の危険度の区分も2本で異なる

ほうれい線は唇を引き上げる筋の境目

ほうれい線は、唇を引き上げる筋が皮膚に付く位置と、その上に乗る頬の脂肪との段差で説明される線です。施術を行う医師らによる総説は、原因を次の3つの型に分けています。

  • 骨の土台の後退:小鼻の脇の骨がへこみ、線の下側の脂肪が少ない型
  • 皮膚の付き方の差:線の下は口輪筋に固く付き、上の脂肪がゆるんで下がる型
  • 筋の引き込み:唇を引き上げる筋の線維が皮膚に付き、笑うと深くなる型

口輪筋は口の周りを輪のように囲む筋肉で、総説は、加齢で線より上の脂肪は大きく、下の脂肪は小さくなることが多いとしています。最も多いのは、2つ目の皮膚の付き方の差と、3つ目の筋の引き込みが組み合わさった型とされています。ただし測定値を示したものではなく、型は重症度ではなく原因による分け方です。

マリオネットラインは口角を下げる筋の境目

マリオネットラインは、口角を下げる筋(口角下制筋)が皮膚に固定された範囲の端にできる線だと、献体研究で示されています。献体研究とは、医学のために提供されたご遺体で皮膚や筋肉の層を調べる解剖研究です。この研究は、口角の下の線は靭帯でできるのではなく、下唇の筋が皮膚の深い層(真皮)に付き始める位置を示すもので、ほうれい線と同じ仕組みだと結論しています。口元の靭帯がゆるんで線ができるという説明とは合いません。

別の献体研究は、マイクロCT(細かな構造を立体的に写すX線撮影)で、この線が外側の脂肪の多い領域と内側の脂肪の少ない領域の境になっていたと報告し、口角を下げる筋や首の筋などが下に引くことで年齢とともに強調されると解釈しています。いずれも献体の観察で、同じ人を追ったものではなく、後者は11体と小規模です。

注入時の危険度の区分も異なる

2本の線は治療の研究でも別の対象で、ヒアルロン酸注入の研究では、ほうれい線は鼻唇溝(ほうれい線の医学的な呼び名)用、マリオネットラインは専用の物差しで重症度が評価されています。

注入で起こりうる視力障害について、国際的な専門家グループの合意は顔の部位を4段階に分け、鼻唇溝を「高い」区分、唇や口の周りを「中程度」、フェイスラインとマリオネットを最も「低い」区分に置いています。部位ごとの発生率を測った研究ではなく専門家の意見の集約で、著者の多くが注入材メーカーとの利害関係を申告しています。

2本の線を構造と評価の面から並べると、次のようになります。

項目 ほうれい線 マリオネットライン
走る位置 小鼻の脇から口角 口角の下から顎
境目をつくる筋 唇を引き上げる筋 口角を下げる筋
評価の物差し 鼻唇溝用の重症度の段階 専用の5段階
注入時の危険度の区分 高い区分 最も低い区分

別々の研究を並べた整理で、危険度が低い区分でも危険がないという意味にはなりません。

まず鏡の前で無表情をつくり、気になる線が小鼻の脇と口角の下のどちらから始まっているかを見ておくと、相談時に伝えやすくなります。

 

つながって見えるのは一続きの境目だから

2本の線は、どちらも内側は動きにくく外側はゆるみやすい境目にできます。つながって見えるのは線が伸びたからではなく、小鼻の脇から顎まで同じ種類の境目が一続きに走り、その外側の頬やジョウル(口角の横から顎にかけてのもたつき)が下がるためと考えられています。この章では仕組みと、自宅でできる観察の方法を扱います。

この章のポイント
・小鼻から顎まで境目は一続きに走っている
・境目の外側で頬とジョウルが下がる
・写真で線の起点と変化を記録しておく

小鼻から顎まで続く「動きにくい帯」

口の周りには、皮膚と口元の筋肉が一体になって動く帯があると考えられています。靭帯説を否定した先述の献体研究の著者らは、帯の縁が小鼻の付け根からほうれい線をつくり、口角の横を通って口角の下の線をつくり、顎の下の線まで続くと説明しています。

線の内側では皮膚と表情筋が一体に動き、外側では皮膚が筋肉の上をすべるように動きます。先述のほうれい線の総説も、線より下の皮膚は口輪筋にしっかり付き、上はゆるく付くと述べており、同じ型の境目を描いています。2本の線は同じ帯の上下の縁にあたり、縁が途切れずに続くため一本に見えることがあります。ただし献体の観察に基づく説明であり、生きた人での測定は今後の課題です。

境目の外側で頬とジョウルが下がる

線がつながって深く見えるのは、境目そのものより外側の組織が下がることが大きいと考えられています。口角の横から下顎の上は口の開け閉めでよく動く部分で、靭帯説を否定した先述の献体研究は、その動きを支える短く弾力のある皮下の組織が年齢とともに伸びてゆるむことが、ジョウルの成り立ちだと説明しています。

ほうれい線の上側では頬の脂肪が大きくなって下がり、口角の下の線の外側はもともと脂肪の多い領域です。外側の組織が境目の全長で下がると2本の段差が同時に深まり、一本の線のように見えます。つながったことは新しい線が伸びた合図というより境目の外側の変化であり、溝だけでなく口角の横の輪郭を見ることが判断の手がかりになります。

鏡とスマホでできるセルフチェック

自宅でできるのは診断ではなく、変化を記録して相談の場で伝える材料をつくる観察です。一例として、次の手順があります。

  1. 窓際の明るい場所で、無表情のまま正面と斜め45度から撮り、距離と時間帯を控える
  2. 線が小鼻の脇と口角の下のどちらから始まるか、両方か、一本に見えるかを書き留める
  3. 笑顔の写真も撮り、笑ったときだけ深くなる線は唇を引き上げる筋の関わりを考える
  4. 指で頬を耳の方向へ軽く持ち上げて撮り、線が浅くなれば外側の組織の重みを考える
  5. 座った姿勢と仰向けで同じ角度から撮り比べ、仰向けで薄くなる線に印を付けておく
  6. 日付を付けて保存し、3か月ごとに同じ条件で撮って、口角の横の輪郭も並べて見る

これらは自己診断の基準ではなく、写真から自分で重症度の段階を決めることもできません。承認されたヒアルロン酸注入材の添付文書(国の承認内容に沿って作られる製品の公式の説明書)も処置前の写真撮影を勧めており、同じ条件の記録は、エクササイズでも医療でも変化を比べる基準になります。

今日の無表情の写真を1枚、撮影条件のメモと一緒に残しておくと、この先どの対処を選んでも変化を比べる出発点になります。

 

エクササイズで線が浅くなる根拠は乏しい

自分の線の状態をつかんだら、次は自力でどこまで変えられるかです。表情筋のエクササイズで、ほうれい線やマリオネットラインが浅くなると示した比較試験はありません。運動をしないグループ(対照群)と比べた試験でも、ほうれい線とフェイスラインに差は出ませんでした。この章では、研究の水準ごとに何が分かっているかを確認します。

この章のポイント
・ほうれい線と顎の線は運動しない群と差なし
・研究のまとめの結論は「判断できない」
・試すなら記録と中止の目安を先に決める

対照群つき試験でほうれい線と顎の線に差なし

ベルギーの試験では、女性18人を、4種類の顔の運動を毎日7週間行う9人と、運動をしない9人に分け、額・ほうれい線・上唇の上・フェイスライン・顎の下の5か所を開始前と7週間後に撮影しました。写真は一般の人の評価者が見比べ、運動したグループの本人も自分の写真を評価しています。

差が出たのは上唇の上の1か所だけで、運動したグループでは、この部位の運動後の写真が運動前より若く見えると選ばれやすかったと報告されています。ほうれい線とフェイスラインを含むほかの部位では差がなく、著者らは顔の運動が有効だと結論できないとしています。18人・7週間と小規模で短く、評価も写真による見た目の判定で、しわの深さの計測とは異なる点は差し引く必要があります。

良い結果の報告は予備的な研究が中心

2014年に公表された系統的レビュー(複数の研究を一定の方法で集めて評価したまとめ)は、9件の報告を調べました。9件とも良い結果を報告していたものの、いずれも比べる相手を置かない研究で、多くは1人から少人数の報告でした。評価の多くは著者や本人の主観だったため、レビューは、有効かどうかを判断するには証拠が不十分で、大規模な比較試験が必要だと結論しています。この9件に、先述のベルギーの試験は含まれていません。その後に公表された系統的レビューも、比較試験による確認が必要だという点では一致しています。2024年のレビューは、顔の運動で老化のサインが和らいだとする報告をまとめていますが、そのなかでほうれい線が浅くなったという報告は、比べる相手を置かない少人数の研究にとどまります。表情筋の運動やマッサージなどを調べた12件の研究(女性321人)をまとめた2025年のレビューも、改善の報告は頬やフェイスライン、目の周りなど一部に限られ、有効性を確かめるには証拠が不十分だと結論しました。

若見えの根拠としてよく紹介される米国の研究は、40〜65歳の女性27人が参加し、20週間続けた16人を、比べる相手を置かずに運動の前後で比べた予備的研究です。顔の写真をほうれい線やマリオネットラインを含む複数の項目で評価し、はっきり改善したのは頬の上部と下部のふくらみで、ほうれい線とマリオネットラインには明らかな変化がみられませんでした。使われた運動法の創始者が共著者に入っていたことは、利益相反(研究結果に利害を持つ立場)として開示されています。頬のふくらみが変わったという報告はあっても、口元の線が浅くなることまでは示されていないといえます。

表情筋エクササイズの研究の水準を比べると、次のとおりです。

研究 対象と期間 比べた相手 口元の線の結論
対照群つきの試験 18人・7週間 運動しないグループ ほうれい線・顎の線に差なし
系統的レビュー 9件の報告 置いた研究なし 有効か判断できない

いずれも海外の研究で、線の深さを機器で測ったものではありません。

試すなら記録と中止の目安を決める

エクササイズを試すこと自体を否定する根拠はありませんが、線が浅くなると期待するより、変化を記録して判断する姿勢が向いています。前の章のセルフチェックと同じ条件で撮影し、3か月単位で比べると、続けるかを決めやすくなります。強くこする、引っ張る、器具で押し付けるといったやり方で線が薄くなることは、比べる相手を置いた研究では確かめられておらず、皮膚への負担からも勧められません。次のような変化は、中止して医療機関に相談する目安の一例です。

  • 顎の関節の痛みや、口を開け閉めするときの音・引っかかり
  • 頬や口元に続く痛みやしびれ
  • 表情の左右差の出現
  • 皮膚の赤みや炎症の持続

始める前に、やめる条件と見直す時期をメモに書き出しておくと、続けるかどうかを感覚ではなく基準で判断できます。

 

「消す」ではなく段階を下げる医療の選択肢

では、医療では何ができるのでしょうか。報告されているのは線が消えることではなく、重症度の物差しで1段階以上よくなった人の割合で、その割合は時間とともに下がります。ほうれい線に比べ、マリオネットラインの研究はまだ少数です。

この章のポイント
・消えるのではなく段階が下がり、戻っていく
・マリオネットラインの研究はまだ少ない
・口角へのボツリヌス注射は承認の範囲外

ほうれい線には国内承認の注入材がある

ほうれい線には、国内で承認されたヒアルロン酸注入材と、その根拠となった比較試験があります。国内の美容医療診療指針は顔のしわへのヒアルロン酸注入を「行うことを弱く推奨」としつつ、血管内への誤注入による皮膚の壊死や失明の報告を挙げています。

承認品の中には使用目的を「中等度から重度のしわや溝(鼻唇溝等)を修正するため」とするものがあり、先述の公式の説明書もその一つです。承認の根拠になった米国の試験では、中等度から重度のほうれい線をもつ123人の片側にこの注入材、反対側に別の注入材を入れて比べました。重症度の段階が1つ以上下がった人の割合は、1か月92.6%、6か月93.2%、9か月84.6%、12か月57.5%です。

これは線がなくなった人ではなく段階が下がった人の割合で、12か月では4割あまりがその改善を保てていませんでした。9か月の来院以降は左右差を整える追加注入も認められており、製造販売企業が米国で行った試験で、日本人での成績は示されていません。

マリオネットライン専用の研究はまだ少ない

マリオネットラインだけを対象にしたヒアルロン酸注入の研究は、まだ少数です。フランスの1施設で83人に注入した、比べる相手を置かない試験では、専用の5段階の物差しで左右とも1段階以上改善した人が1か月69.9%、3か月58.2%、6か月51.3%で、12か月まで下がり続けたと報告されています。

使われたのは先述の承認品と同じ製品の海外版で、研究は製造販売企業の資金で行われ、著者に同社の社員が含まれます。比べる相手がいないため自然な変化や評価の偏りを切り分けられず、設計も物差しも違うほうれい線の試験と数字を並べて、効きにくいとはいえません。いえるのは根拠の厚みの違いです。先述の承認品の使用目的は顔の中等度から重度のしわや溝を修正することで、例として挙げられているのは鼻唇溝(ほうれい線)です。

口角を下げる筋への注射とほかの選択肢

ヒアルロン酸注入以外の選択肢は、承認状況と診療指針の推奨がそれぞれ異なります。

口角へのボツリヌス注射は承認の範囲外

口角を下げる筋へのボツリヌス注射は、国内で承認された使い道の範囲外です。中国の研究の第1段階では、二重盲検(注射する側も受ける側も、どちらの方法かを知らずに比べる方法)で筋の上側と下側への注射を比べ、どちらも口角の位置が改善し、下側のほうが効果が大きかったと報告されています。測ったのは線の深さではなく口角の位置です。

美容目的で国内承認されたボツリヌス製剤の使い道は、65歳未満の成人の、眉間・目尻のしわと、えらの筋肉の張り出し(咬筋膨隆)に限られ、公式の説明書はそれ以外に使わないよう警告しています。

糸リフトや熱を使う機器の位置づけ

糸リフトとHIFU(高密度焦点式超音波。皮膚の深い層に超音波の熱を集める治療)、高周波(電流の熱で皮膚を温める治療)は、診療指針で弱く推奨される一方、効果は限られるとされます。糸リフトは効果が小さく持続も短いとされ、合併症の多くはくぼみや左右差、皮下出血などの一時的なものですが、まれに感染や肉芽腫(異物の周りにできるしこり)で糸の抜去を要した例や顔面神経麻痺の報告もあります。HIFUと高周波は効果が外科手術や注入剤に及ばないとされ、副作用として、HIFUでは傷あと(瘢痕)が残ることや神経の麻痺、高周波ではやけどや傷あとが挙げられています。

国内の承認状況は機器ごとに異なります。HIFUで美容目的の承認を受けた機器はありません。一方、超音波を一点に集めない別の方式の機器には、顔と首のしわの改善を使用目的として2025年に承認されたものがあり、高周波の機器にも、見た目の改善を目的とした皮膚の治療で承認を受けた機種があります。糸リフトの糸は、顔の引き上げを目的として承認されたものはありませんが、手術の縫合用として承認された糸はあります。

受けられない人の条件は、糸や機器の種類ごとに異なります。国内で承認された機器は公式の説明書で使ってはいけない人が定められていますが、国内で承認されていない機器や糸には国内の公式の説明書がありません。施術を受ける医療機関で受けられない条件を具体的に確認し、持病や服用中の薬、体内に入っている医療機器や金属の有無を事前に伝えてください。

どの選択肢が合うかは診察で決まり、線の段階だけでなく境目の外側の組織の下がり方でも分かれます。何もせず記録を続けることも、同じように成り立つ選択です。

主な選択肢を承認状況と指針の推奨で並べると、次のとおりです。

選択肢 国内の承認状況 指針の推奨度 主な注意点
ヒアルロン酸注入 承認品あり 弱く推奨 まれに血管閉塞・失明
口角へのボツリヌス注射 承認された範囲の外 口角に特化した項目なし 周りの筋の脱力
糸リフト 引き上げ目的の承認品なし 弱く推奨 くぼみ・左右差、まれに抜去
HIFU 美容目的の承認機器なし 弱く推奨 傷あと・神経麻痺
高周波 承認機種あり(使用目的は機種ごとに異なる) 弱く推奨 やけど・傷あと

推奨度は2022年の診療指針、承認状況は2026年10月時点のものです。同じ種類の治療でも、機種や製剤ごとに承認の有無や認められた使い道が異なるため、使う製品ごとに確かめる必要があります。

医療を検討するなら、検討先のウェブサイトで使う製品の承認状況を先に調べ、何か月後にどの段階を目指すのかを質問として書き出しておきましょう。

 

注入を受ける前に確かめたいこと

医療の選択肢が見えてきたら、最後に安全面です。注入を検討するなら、効果より先に、自分が受けられる状態か、トラブル時の備えがあるか、承認状況と救済制度の対象かを確かめておく必要があります。ほうれい線は注入時の危険度が高い区分にあたるため、血管トラブルへの備えは特に聞いておきたい点です。

この章のポイント
・受けられない人と主な副作用を先に知る
・分解する酵素の備えを事前に聞いておく
・承認状況と救済制度の対象を確かめる

国内承認のヒアルロン酸注入材とボツリヌス製剤、各1製品の公式の説明書の内容を並べると次のとおりです。

製品 使えない人 注意が要る人 主な副作用
ヒアルロン酸注入材 成分・局所麻酔薬に過敏症 出血傾向・免疫の病気など 硬さ・腫れ・圧痛
ボツリヌス製剤 神経筋の病気・妊娠中や妊娠の可能性・授乳中・成分に過敏症 65歳以上は非推奨 周りの筋の脱力

表は主な項目の抜粋のため、持病や服用中の薬は必ず事前に申告してください。

受けられない人と主な副作用

ヒアルロン酸注入材は、製品の成分や、製品に含まれる麻酔薬と同じ種類の麻酔薬(アミド型局所麻酔薬)、製造に用いる細菌(グラム陽性菌)に由来するたんぱく質で過敏症を起こしたことがある人には禁忌(使ってはいけないと定められていること)で、炎症や感染のある部位にも使いません。アレルギー体質、免疫の病気や免疫を抑える治療中、ケロイドになりやすい、血が止まりにくい、抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)や痛み止めの使用中、レーザー治療やピーリングの予定がある人は、慎重な判断が要ります。製品に含まれる麻酔薬の影響を受けやすい、心臓の脈を伝える仕組みの障害や、重い肝臓・腎臓の病気がある人も同様です。未成年や妊娠中・授乳中の人での安全性は確立していません。

先述の承認品の試験では、注入後30日の間に95.1%の人に硬さや腫れ、押したときの痛み、こぶ、赤みなどの反応が出ました。反応が出た人のうち3日以内に治まったのは14.7%で、33.6%は何らかの反応が15〜30日続き、長く残りやすいのは硬さとこぶ、腫れは半数以上が3日以内に引いていました。まれな重い有害事象として、血管内への注入や圧迫による失明や脳卒中が挙げられています。

美容目的で承認されたボツリヌス製剤は、重症筋無力症など全身の神経と筋肉の病気がある人、妊娠中や妊娠している可能性がある人、授乳中の人、成分で過敏症を起こしたことがある人、別のボツリヌス製剤で治療中の人には使わず、65歳以上には推奨されていません。注射した部位や周りの筋肉に脱力が起こることがあります。

血管トラブルへの備えを聞いておく

血管のトラブルはまれですが、起きたときの対応を事前に聞いておくことが安全につながります。ヒアルロン酸注入材の公式の説明書は、注入中や直後に見え方の異常、脳卒中の兆候、皮膚が白くなる、異常な痛みが現れたら直ちに注入を止めるよう求めており、施術後に同じ変化に気づいたときも、すぐ施術先へ連絡することが大切です。

先述の専門家の合意は、失明はごくまれで、使用した注射器10万本に1本未満(0.001%)と推計し、すべての施設がヒアルロン酸を分解する酵素(ヒアルロニダーゼ)を直ちに使える状態で備えるべきだとしています。一方、ヒアルロン酸を溶かす目的で使う分解酵素の製剤は国内では承認されておらず、保険も使えません。診療指針は、分解されにくいヒアルロン酸もあると記しています。

承認状況と救済制度の対象を確かめる

使う製品の承認状況と、健康被害に公的な救済があるかは、受ける前に確かめられます。厚生労働省は、使う薬などを自分でも説明できるか、リスクや副作用とその発症確率まで理解したか、別の方法と比べたか、今すぐ必要かの4点を施術前の確認として挙げ、美容目的の自由診療には承認されていない薬や材料、機器もあると注意を促しています。

公的な医薬品副作用被害救済制度の対象は、承認された医薬品を適正に使ったのに起きた副作用です。医療機器であるヒアルロン酸注入材は対象外で、口角へのボツリヌス注射のように承認された使い道の外で使った薬も、対象にならないことがあります。相談の際は、次の点を聞いておくと判断しやすくなります。

  • 使う製品が国内で承認されているか
  • 範囲外で使う場合の入手経路と、医師の個人輸入かどうか
  • 同じ成分の国内承認品の有無
  • 海外での承認状況と重い副作用の情報
  • 救済制度の対象になるかどうか
  • 分解酵素の常備と使う方針、施術時間外の連絡先
  • 追加の注入や修正を含めた費用の総額

疑問が残るときの公的な相談窓口として、医療安全支援センターもあります。

相談に行く際は、撮りためた写真と、この確認項目を書き出したメモを持参すると、限られた時間でも必要な説明を受けやすくなります。

 

マリオネットラインとほうれい線についてよくある質問

2本の線について、よく寄せられる疑問に短く答えます。

マリオネットラインとほうれい線はどう見分けますか?

線の起点で見分けます。小鼻の脇から口角へ向かうのがほうれい線、口角の下から顎へ向かうのがマリオネットラインで、それぞれ唇を引き上げる筋と口角を下げる筋の境目にできるとされます。

ほうれい線とマリオネットラインがつながるのはなぜですか?

小鼻の脇から顎まで、皮膚と口元の筋肉が一体になった帯の縁が一続きに走るためと考えられています。その外側の頬やジョウルが下がると、一本の線のように見えます。

表情筋のエクササイズでほうれい線は薄くなりますか?

薄くなると示した比較試験はありません。運動をしないグループと比べた7週間の試験では、ほうれい線とフェイスラインに差が出ず、差があったのは上唇の上だけでした。

マリオネットラインにもヒアルロン酸注入は効果がありますか?

1段階以上の改善は報告されていますが、研究は少数です。比べる相手のいない企業資金の試験では、改善した人が1か月約7割から6か月約5割に下がり、線が消えるわけではありません。

ヒアルロン酸注入の危険性は部位によって違いますか?

違うとされています。国際的な専門家の合意では、ほうれい線は視力障害の危険度が高い区分、マリオネットラインは低い区分ですが、低い区分でも危険がないわけではありません。

 

まとめ

口元の2本の線はどちらも皮膚が筋肉に付いた境目にでき、ほうれい線は唇を引き上げる筋、マリオネットラインは口角を下げる筋の境目にあたります。一本につながって見えるのは、小鼻の脇から顎まで続く境目の外側で頬やジョウルが下がるためと考えられています。エクササイズで線が浅くなる根拠は乏しく、医療でも線は消えるのではなく段階が下がり、時間とともに戻る傾向があります。数値はいずれも海外の研究による集団の記録で、個人の経過を約束するものではありません。

今日からできるのは、同じ条件で写真を残すこと、エクササイズを試すなら中止の目安を先に決めること、医療を考えるなら承認状況と危険度、トラブルへの備えを確かめることです。自分の線がどちらか、外側の変化がどの程度かを判断しきれないときは、写真を持って福岡院のカウンセリングでご相談ください。何もせず記録を続ける選択も含めて、医師が一緒に整理します。

アラジン美容クリニック福岡院では、「ウソのない美容医療の実現」をモットーに、患者様お一人ひとりの美のお悩みに真摯に向き合い、最適な治療をご提案しております。無駄な施術を勧めることなく、症状の根本的な原因にアプローチし、患者様の理想を実現するお手伝いをいたします。

また、福岡院限定で提供している特別な施術コース「クマフル」は、目元のクマ治療に特化した定額プランをご用意しております。ハムラ法、脂肪注入、目の下の脂肪取りなど、複数の治療法を組み合わせ、患者様お一人ひとりに最適な治療を提供いたします。目元のクマにお悩みの方は、ぜひこの機会にご利用ください。

LINE公式アカウントにて、カウンセリングや予約を受付しております。どなたでもお使いになられるクーポンもご用意しておりますので、ぜひ一度ご相談くださいませ。

参考文献・出典

  • 美容医療に関する調査研究班(厚生労働科学研究「美容医療における合併症実態調査と診療指針の作成及び医療安全の確保に向けたシステム構築への課題探索研究班」、研究代表者 大慈弥裕之)「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」日本美容外科学会会報(2022年)
  • Hong GW ほか「Why Do Nasolabial Folds Appear? Exploring the Anatomical Perspectives and the Role of Thread-Based Interventions」Diagnostics(2024年)
  • Minelli L ほか「The Surgical Anatomy of the Jowl and the Mandibular Ligament Reassessed」Aesthetic Plastic Surgery(2023年)
  • Goodman GJ ほか「A Consensus on Minimizing the Risk of Hyaluronic Acid Embolic Visual Loss and Suggestions for Immediate Bedside Management」Aesthetic Surgery Journal(2020年)
  • De Vos MC ほか「Facial exercises for facial rejuvenation: a control group study」Folia Phoniatrica et Logopaedica(2013年)
  • Van Borsel J ほか「The effectiveness of facial exercises for facial rejuvenation: a systematic review」Aesthetic Surgery Journal(2014年)
  • Manincor EO ほか「Facial exercises for rejuvenation: A systematic review」Revista CEFAC(2024年)
  • Alam M ほか「Association of Facial Exercise With the Appearance of Aging」JAMA Dermatology(2018年)
  • Cueto SRD ほか「An Evaluation of VYC-17.5L for the Treatment of Marionette Lines: A Prospective, Open-Label, Postmarketing Study」Journal of Cosmetic Dermatology(2025年)
  • ジュビダームビスタ ボリフト XC、ボトックスビスタ注用50単位/同100単位 添付文書(アッヴィ合同会社)
  • 厚生労働省「その美容医療、ちょっと待って!」
  • 医薬品医療機器総合機構「医薬品副作用被害救済制度の給付対象」

関連記事

PAGE TOP