脂性肌でも、洗顔後につっぱる・粉をふく・ヒリつくといった乾燥のサインがある部位と、ニキビの塗り薬で肌が乾く時期には、保湿が必要です。
皮脂の量と肌の水分量は一致せず、皮脂が多い人ほど水分が少ないという研究と、逆の関係や関係なしという研究が並んでいるため、テカリだけでは保湿の要否を決められません。一方で、テカる部位に油分を重ねる必要はなく、「保湿しないと皮脂が増える」「保湿すると皮脂が減る」という説明は、どちらも裏づける研究が限られています。
ここでは、保湿が要る部位の見分け方、塗りすぎのサイン、ニキビ治療中の保湿、洗顔と季節による調整、自宅でのセルフチェックと受診の目安を順に説明します。夏は蒸し暑く、冬は暖房で室内が乾きやすい福岡の気候に合わせた調整のしかたも取り上げます。

国立琉球大学医学部医学科を卒業。国内大手美容クリニックなどで院長を歴任し、2024年アラジン美容クリニックに入職。
特にクマ取り治療では、年間症例数3,000件以上を誇るスペシャリストである。「嘘のない美容医療の実現へ」をモットーに、患者様の悩みに真剣に向き合う。
脂性肌でも乾燥のサインがある部位は保湿が要る
脂性肌に保湿が要るかどうかは、皮脂の量ではなく、つっぱり・粉ふき・ヒリつきといった乾燥のサインと、ニキビ治療をしているかどうかで考えるのが現実的です。皮脂が多いことと、肌の水分が足りていることは別の話で、両者の関係は研究によって食い違っています。この章では、皮脂と水分の関係、皮脂の役割と部位差、通説の根拠を順に確認します。
この章のポイント
・皮脂の多さと肌の水分量は一致しない
・額・鼻・あごは頬より皮脂が多い
・保湿で皮脂が減ることを確かめた研究は限られる
皮脂の多さと肌の水分量は一致しない
皮脂が多い肌でも、角層(肌のいちばん外側の層)の水分が十分とは限りません。そもそも脂性肌は病名ではなく、本人の感じ方で分けられてきた肌タイプの呼び方で、客観的な基準となる測定法はないとされています。
自己申告で脂性肌または乾燥肌と答えた健康なタイ人女性62人の顔を測った2020年の比較研究では、脂性肌の人の皮脂量は乾燥肌の人の1.6〜2.1倍でした。ところが角層の水分量はむしろ乾燥肌の人のほうが高く、皮脂が多いほど水分が少ないという関係がみられています。一方、2009年に報告された、乳児から高齢者まで皮膚の病気がない中国人713人の額と腕を測った調査では、女性は皮脂が多いほど水分量も多く、男性の額では関係がみられなかったとされています。
研究によって結果が逆向きになること自体が、一つの答えです。「皮脂が多いから水分は足りている」とも「皮脂が多い人は水分が足りない」とも言えないため、テカリの有無だけで保湿をやめたり、一律に足したりする判断は根拠が弱いと考えられます。
皮脂は肌を守る膜で量は男女や部位で違う
皮脂は肌の乾燥を防ぐ仕組みの一部ですが、皮脂だけで潤いが保たれるわけではありません。日本皮膚科学会の皮脂欠乏症(乾燥肌の医学的な呼び名)の手引きは、肌が乾燥から守られる仕組みを、角層の中で水分を抱える働きと、皮脂と汗が混ざって表面を覆う働きの2つで説明し、皮脂を、水分を保つ因子の一つと位置づけています。皮脂が十分でも角層の中の水分が足りない状態がありうるのは、このためと考えられます。
皮脂の分泌は男性ホルモンの影響を受け、量には男女差と部位差があります。先述の中国人713人の調査では、額の皮脂量は13〜70歳の各年代で男性のほうが女性より多く、2005年に報告された、同じ人の顔の5か所を1年間測った韓国の研究では、額・鼻・あごのTゾーンは両頬より皮脂が多かったとされています。皮脂欠乏症の手引きも、皮脂や汗の多い顔は乾燥肌が起こりにくい部位としていますが、頬や口元は乾きやすい人もいるため、顔の中でも部位で扱いを分けて考えます。
ニキビについての日本皮膚科学会の一般向けの解説も、スキンケアとして保湿を勧める場面として、乾燥肌の場合と、治療で乾燥が生じる場合を挙げています。ニキビの解説の中の記述ですが、皮脂の多さではなく乾燥しているかどうかで保湿を考えるという点で、脂性肌の判断にも通じる考え方です。
保湿しないと皮脂が増える説の根拠は小さい
「肌が乾燥すると、補おうとして皮脂が増える」という説明はよく見かけますが、実際に測った研究はごく小規模なものに限られます。
2019年に報告された、健康な20〜30代の女性11人が、湿度30%未満の部屋と70%を超える部屋でそれぞれ7時間以上眠った試験では、低湿度の条件で角層の水分が24.23%減り、皮脂量は増えたとされています。ただし、これは化粧品会社と大学の研究者による11人の小規模な試験です。全員が1日目に低湿度、2日目に高湿度の部屋で眠るという同じ順番で行っているため、湿度以外の要因が結果に影響した可能性を除けません。
反対に、保湿そのもので皮脂が減ることを確かめた研究は限られています。インターネット上には「保湿で皮脂が落ち着く」という説明も多く見られますが、出典が示されていないものが大半です。保湿の目的を、皮脂を減らすことではなく、乾燥のサインを抑えることとニキビ治療を続けやすくすることに置き直すと、判断がぶれにくくなります。
今夜の洗顔後は何もつけずに鏡の前に立ち、額・鼻・頬・口元のどこにつっぱりや粉ふき、ヒリつきがあるかを見ておくと、保湿が要る部位の見当がつきます。
保湿のしすぎは油分の重ね塗りとニキビで見分ける
保湿が要る部位の見当がついたら、次に迷うのは量です。どこからが塗りすぎかを量で示した基準はありませんが、べたつきが残る、白や黒の小さなぽつぽつが増える、赤みやかゆみが出る、の3つが見直しのサインになります。この章では、化粧品とニキビの関係、塗り続けた試験、保湿剤の使い分けを確認します。
この章のポイント
・油性でニキビのもとを作る化粧品は避ける
・塗るほど肌が丈夫になるとは限らない
・顔全体は軽く、乾く部位にだけ足す
油分の多い化粧品はニキビを悪化させうる
油性で面皰を作りやすい化粧品は、ニキビを悪化させることがあります。面皰とは、毛穴に皮脂がたまってできるニキビの初期段階で、白や黒の小さなぽつぽつとして見えるものです。日本皮膚科学会のニキビの診療ガイドラインは、こうした化粧品による悪化は事実であり、避けるべきとしています。
同じガイドラインは、ニキビのある人の基礎化粧品として、低刺激でノンコメドジェニック(面皰のできやすさを調べる試験を済ませたという表示)の製品を選ぶことを、選択肢の一つとして弱く勧めています。学会の一般向けの解説も、化粧水や保湿剤はノンコメドジェニックなどの表示のあるものがよいとしています。
ただし、表示は誰にでもニキビができないという保証ではありません。使い始めてからぽつぽつが増えた場合は、その製品を見直す目安になります。また保湿剤でもかぶれ(接触皮膚炎)が起こることがあり、塗った部位に赤みやかゆみが出たら使用を中止し、続く場合は医療機関に相談してください。
健康な肌に塗り続けて弱くなった試験もある
保湿剤は、塗れば塗るほど肌が丈夫になるとは限りません。
2007年に報告されたスウェーデンの試験では、健康な78人をくじ引きで5つのグループに分け、片方の前腕の内側に保湿剤を7週間塗った後、両腕に刺激物を24時間貼って、塗らなかった腕と反応を比べました。成分を絞ったクリームと油分を含まないジェルでは、水分の蒸発量と刺激物への反応がかえって増え、尿素を含む一般的なクリームでは逆に減りました。著者は、保湿剤は健康な肌のバリアにも影響し、良くなるか悪くなるかは組成で決まると結論づけています。
ただし、これは前腕での試験で顔で確かめたものではなく、スキンケア製品の会社に関係する研究者を含む試験でもあります。それでも、乾燥のサインがない部位に何種類も重ねる理由は乏しく、べたつきが残る部位は量や種類を減らしてよいと考えられます。
水分を抱える軽い保湿剤を部位ごとに使う
脂性肌では、顔全体に水分を抱えるタイプの軽い保湿剤を使い、乾く部位にだけ油分を含むものを足す使い分けが一つの目安です。皮脂欠乏症の手引きは、保湿剤を、水分を抱え込んで角層を直接潤すタイプと、肌を膜で覆って水分の蒸発を防ぐタイプに分け、ワセリンなどの後者はベタつきやすいとしています。乳液やクリームは両方の性質を持つものと考えると、使い分けがわかりやすくなります。
保湿剤のタイプごとの働きと、脂性肌での使いどころの目安は次の表のとおりです。
| タイプ | 主な働き | 脂性肌での使いどころ | 注意すること |
|---|---|---|---|
| 水分を抱える(化粧水・ジェル) | 角層に水分を与える | 顔全体の基本の保湿 | つっぱる部位は量を足す |
| 膜で覆う(ワセリン・オイル) | 水分の蒸発を防ぐ | 乾く部位にごく少量 | Tゾーンには重ねない |
| 両方を含む(乳液・クリーム) | 水分と油分を補う | 頬・口元など乾く部位 | ぽつぽつが増えたら見直す |
どの保湿剤が優れているかを示す根拠はなく、手引きも、市販の保湿剤は効果で選ぶのが難しいため、使用感に満足して続けられるものを選ぶことを勧めています。なお、この手引きの作成委員12名のうち10名は、医療用の保湿剤を製造販売するマルホ株式会社から講演料などを受けたと申告しています。塗る量の上限は決まっていないため、製品に書かれた量を目安に、べたつきが残る部位は減らし、つっぱる部位は足して調整します。
広告の読み方も判断材料になります。国が定めた、化粧品が表示できる効能の一覧は56項目あり、「皮膚にうるおいを与える」「皮膚の水分、油分を補い保つ」などは含まれますが、皮脂の分泌を抑えるという効能はありません。一方、国の承認を受けて効能を表示できる医薬部外品(薬用化粧品など)では、「皮脂分泌を抑制する」という効能が2017年に初めて認められています。化粧品か医薬部外品かは、容器や外箱の「医薬部外品」の表示で見分けられます。
今使っている保湿剤のラベルで、ノンコメドジェニックなどの表示と油分の多いタイプかどうかを確かめ、Tゾーンに重ねているものがないかを見直してみてください。
ニキビ治療中は保湿を併用すると続けやすい
保湿剤でニキビが増えるのではという心配がある一方で、保湿の必要性が最もはっきりするのが、ニキビの塗り薬を使っている時期です。アダパレンなどの塗り薬は乾燥や皮むけを起こしやすく、保湿剤を最初から併用すると、最初の治療をそのまま続けられた人が多かったという試験結果があります。ただし保湿剤にニキビ自体を治す根拠はなく、治療薬の代わりにはなりません。
この章のポイント
・アダパレンなどの塗り薬は乾燥や皮むけが多い
・保湿剤の併用で同じ治療を続けやすい
・妊娠中に使えない塗り薬がある
アダパレンなどの塗り薬は高い割合で乾燥を起こす
ニキビの治療の中心になるアダパレンや過酸化ベンゾイルの塗り薬は、乾燥や皮むけといった副作用がよく出ます。
毛穴の詰まりを改善するアダパレンは、国の承認(有効性と安全性の審査を経て製造販売が認められること)を受けた処方薬です。薬の公式な説明書である添付文書(製造販売会社が法律に基づいて作成する文書)には、副作用として皮膚の乾燥56.1%、不快感47.6%、皮むけ33.5%などが記載されています。多くは治療を始めて2週間以内に出て、通常は軽く一時的とされています。
日本皮膚科学会の一般向けの解説も、アダパレンの乾燥・赤み・ヒリヒリ感などの副作用は8割の人にみられる一方、どうしても使えない人は1%で、使う量の調節や保湿剤の併用で軽くなると説明しています。抗菌作用のある過酸化ベンゾイルでも、ゲルとローションを合わせた集計で皮むけ15.3%、赤み12.3%、刺激感11.4%のほか、乾燥も副作用として薬の説明書に記載されています。
脂性肌の人でも、塗り薬を使っている間は乾燥のサインが出やすく、保湿が必要な時期にあたります。
保湿剤を最初から併用すると同じ治療を続けやすい
保湿剤を治療の最初から併用すると、塗り薬の刺激が和らぎ、同じ治療を続けやすくなると考えられています。
2014年に報告された国内の試験では、ニキビの患者100人をくじ引きで2つのグループに分け、アダパレンと医療用の保湿剤(ヘパリン類似物質)を最初から併用する場合と、アダパレンだけで始めて刺激が強ければ保湿剤を足す場合を4週間比べました。最初の治療のまま4週間続けられたのは、併用したグループで全員、薬だけで始めたグループで7割でした。薬だけのグループの残りは途中で保湿剤を足した人と治療から離れた人で、保湿剤はニキビの数に悪い影響を与えませんでした。この試験で使われたのは医療用の保湿剤で、市販の化粧品の保湿剤ではありません。
ガイドラインも、アダパレンの開始時からノンコメドジェニックな保湿剤を併用すると、効果を妨げずに刺激が軽くなり、治療をやめる人が減るとしています。このガイドラインの策定委員の一部は、ニキビの塗り薬や医療用の保湿剤を製造販売する会社を含む企業から講演料などを受けていますが、利害関係のある委員は、関係する治療の推奨度の判定に加わらない取り決めになっています。
ただし、保湿剤にニキビそのものを治す根拠はありません。医療用の保湿剤が保険で処方されるのも、乾燥などの皮膚の病気の治療に必要と医師が判断した場合に限られ、美容目的では保険の対象になりません。学会の一般向けの解説も、化粧品や医薬部外品はニキビの治療薬ではないとしています。薬と保湿剤のどちらを先に塗るかを比べた研究は限られているため、順序は処方した医師の指示に従ってください。
塗り薬を使えない人と副作用の出方
ニキビの塗り薬には、妊娠中に使えないものと、医師の判断で使えるものがあります。禁忌(その薬を使ってはいけない人)を含む3種類の塗り薬の違いは、次の表のとおりです。
| 塗り薬 | 使えない・慎重な人 | 多い副作用 | 使い方の注意 |
|---|---|---|---|
| アダパレン | 妊娠中・妊娠の可能性 | 乾燥・不快感・皮むけ | 就寝前・顔のみ |
| 過酸化ベンゾイル | 妊娠中は医師が判断 | 皮むけ・赤み・刺激感 | 髪や衣類の脱色に注意 |
| アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合薬 | 妊娠中・妊娠の可能性 | 皮膚の刺激感 | 夕方〜就寝前・単剤が先 |
いずれの薬も、成分にアレルギーの既往がある人は使えません。過酸化ベンゾイルは妊娠中の禁忌ではなく、治療による利益が危険を上回ると医師が判断した場合に使われます。アダパレンと、アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合薬は顔にだけ使う薬で、どちらも3か月以内に改善がなければ使用を中止することになっています。
どの薬も傷や湿疹のある皮膚と、目・口唇・小鼻・粘膜を避けて塗り、強い日差しも避けます。治療中は日焼けで副作用が強く出る場合があるため、屋外で長く過ごす日は日焼け止めを使います。過酸化ベンゾイルを含む薬では赤みや腫れが顔全体や首に広がる例もあり、強い症状が出たら使用を中止して処方した医師に相談してください。
塗り薬を使い始めたら2週間ほど、乾燥・皮むけ・赤みの出た部位と程度、保湿剤を足した日を毎晩メモしておくと、処方した医師が量や保湿の調整を判断しやすくなります。
洗顔は1日2回にし季節と部位で保湿を変える
塗り薬と保湿の付き合い方と並んで、日々のケアで見直したいのが洗顔です。テカリを落とそうと何度も洗うと、乾燥やニキビの悪化を招くことがあるため、洗顔は1日2回を目安にし、保湿の量は季節と部位で変えるのが基本です。この章では、洗顔の回数と方法、福岡の夏と冬の調整、ビタミン剤や食事への期待の置き方を確認します。
この章のポイント
・洗顔は1日2回、泡でこすらずに洗う
・皮脂は夏に多く、部位でも量が違う
・ビタミン剤や食事制限の根拠は乏しい
洗顔は1日2回、泡でこすらずに洗う
洗顔は1日2回が目安で、回数を増やしても皮脂の悩みが解決するとは限りません。
ニキビの診療ガイドラインは、1日2回の洗顔を弱く勧めています。回数による皮疹の数にはっきりした差は出ていないものの、1日2回から1回に減らして悪化した例や、1日4回のグループで途中でやめた人が出た例が報告されているためです。学会の一般向けの解説も、強くこすったり1日に5回も10回も洗ったりすると炎症が起きてニキビが悪化するとし、洗顔料をよく泡立てて手で優しく洗い、十分な水で流すよう勧めています。
メイク落としはオイルクレンジングでも構わず、その後の洗顔とすすぎでオイルは肌に残らないとされています。スクラブ入りの洗顔料も、有効性は確立していません。一方、皮脂欠乏症の手引きは、脱脂力の強い洗浄料やこすり洗いを乾燥の原因に挙げており、「テカるから何度も洗う」ことが、かえってつっぱりを招く流れには注意が必要です。洗顔後に乾燥が気になる場合は、保湿用の化粧品や保湿剤を併用するよう、学会の一般向けの解説も勧めています。
皮脂は夏に増えTゾーンと頬で違う
皮脂の量は季節で変わり、夏に最も多くなるという測定結果があります。
先述の韓国の研究では、同じ人の顔の皮脂を1年間季節ごとに測ったところ、夏が最も皮脂の多い季節で、Tゾーンも頬も季節によって量が変わりました。福岡は気象庁の平年値で、7〜8月の屋外の平均気温が27〜28℃台、日中の最高気温の平均が31〜32℃台、平均湿度が7割を超えます。夏は軽い保湿剤を少なめにし、皮脂や汗は朝晩の洗顔で落とす方向に寄せるのが一つの目安です。
冬の福岡は屋外の平均湿度が6割台ですが、暖房を使う室内では湿度が下がり、手引きもこれを乾燥の原因に挙げています。先述の低湿度の部屋で眠った試験でも、角層の水分は減っていました。冬は頬や口元の保湿を足し、加湿器で寝室の乾燥を防ぐことも選択肢です。同じ保湿を1年中続けず、季節の変わり目に部位ごとのセルフチェックをやり直すと、量を調整しやすくなります。
ビタミン剤や食事制限で皮脂を抑える根拠は乏しい
飲み薬のビタミンや食事制限で皮脂やニキビを抑える方法は、根拠が乏しく、ガイドラインでも勧められていません。
ビタミンB2・B6の飲み薬は、皮脂の分泌を抑える働きがあると考えられていますが、ニキビへの効果を確かめた臨床試験は限られています。特定の食べ物を一律に制限することも、ニキビを悪化させるという明確な証拠がないとして勧められておらず、極端な偏食を避けたバランスのよい食事が推奨されています。食べると悪化すると感じる食べ物がある場合は、自己判断で広く制限せず、医師に相談すると個別に関連を検討してもらえます。
寝室に湿度計を置き、冬の朝と夜の値を1週間測って、湿度が下がる時間帯と頬や口元のつっぱりが重なるかを確かめてみてください。
保湿が要るかはセルフチェックと受診の目安で決める
季節や部位による違いを踏まえると、最後に必要なのは自分の肌での確かめ方です。洗顔後の感覚とあぶらとり紙で保湿が要る部位の見当はつきますが、赤み・フケのような皮むけ・増え続けるニキビがある場合は、保湿より先に受診が必要です。この章では、自宅での確かめ方、病気のサイン、医療機関で相談できることを確認します。
この章のポイント
・洗顔後の感覚と皮脂を部位ごとに見る
・赤みとフケ状の皮むけは病気のことも
・続くニキビは保湿でなく治療で対応する
洗顔後の感覚とあぶらとり紙で部位ごとに確かめる
脂性肌かどうかを決める客観的な基準はないため、部位ごと・季節ごとに自分の肌を確かめるのが現実的です。一例として、次の手順があります。
- 夜にいつもの洗顔料で洗い、タオルで押さえて水気を取る
- 何もつけずに鏡の前で、額・鼻・頬・口元のつっぱり、粉ふき、ヒリつきを見る
- 翌朝いつもどおり保湿し、昼ごろにあぶらとり紙を額と鼻、頬に別々に当てる
- 部位ごとに紙の透け方と、前夜の洗顔後の感覚を書き留める
- 夏と冬にも同じ手順を繰り返す
結果の読み方の目安は、次の表のとおりです。
| チェックの結果 | 考えられる状態 | 保湿の目安 |
|---|---|---|
| Tゾーンがテカり頬はつっぱる | 部位で皮脂の量が違う | 頬に足しTゾーンは軽く |
| 全体がテカりつっぱりはない | 皮脂が多く乾燥は目立たない | 軽い保湿剤を少量 |
| 全体がつっぱり粉をふく | 乾燥が主体 | 水分と油分の両方で守る |
| 赤み・フケ状の皮むけ・かゆみ | 病気やかぶれの可能性 | 保湿より先に受診 |
この表は肌の状態を知るための目安で、医学的な診断ではありません。先述の韓国の研究は、Tゾーンと頬の肌タイプが2つを超える季節で食い違う状態を、いわゆる混合肌の定義として提案しています。
赤みやフケのような皮むけは病気のことがある
皮脂の多い部位に赤みとフケのような皮むけが出る場合は、保湿で様子を見るのではなく、病気の可能性を考えます。
頭皮や小鼻の脇、眉など皮脂の多い部位に、赤みと脂っぽいフケのような皮むけが出るのが脂漏性皮膚炎(皮脂の多い部位に起こる湿疹の一種)です。皮膚にふだんからすんでいるカビの一種、マラセチアとの関連が重視されており、医療機関で塗り薬による治療を受ける病気です。頬や鼻の赤み・ほてりが続き、ニキビのようなぶつぶつが出る場合は、酒さという別の病気のこともあります。
次のような場合は、保湿の工夫より医療機関での診察を優先してください。
- 皮脂の多い部位の赤みと脂っぽい皮むけ
- 続く頬や鼻の赤み・ほてり
- 赤く腫れたニキビや膿をもったニキビの繰り返し
- 保湿剤を変えた後に出た赤みやかゆみ
化粧品や医薬部外品には、ニキビをできにくくする作用を持つものもありますが、治療薬ではないと学会の一般向けの解説は説明しています。保湿剤を変えた後の赤みやかゆみはかぶれの可能性があるため、その製品の使用を中止してから相談します。
ニキビ治療やピーリングは医療機関で相談する
続くニキビには、国内で承認された塗り薬を使う保険診療の治療があり、治療中の保湿の方法も含めて医師に相談できます。
アダパレンや過酸化ベンゾイルといった塗り薬は、皮膚科などの医療機関で処方されます。標準的な治療が効かない場合や使えない場合の選択肢として、グリコール酸などの薬剤で古い角質をはがすケミカルピーリングも、ガイドラインで弱く勧められています。ただし保険は適用されず、費用は医療機関ごとに異なります。日本皮膚科学会のケミカルピーリングのガイドラインは、起こりうる副作用として、刺激感、赤み、むくみ、皮むけやかさぶた、色素沈着、水ぶくれやただれを挙げ、まれに傷あとが残ったり感染を起こしたりすることもあるとしています。日焼けを避けられない人、妊娠中・授乳中の人、持病の治療中の人、ケロイドができやすい人、肌に感染症がある人は、施術を見送るか慎重に判断されます。アダパレンなどの塗り薬を使っている場合は、施術の前に一時中止する期間が必要かを医師が判断します。
相談の前に、セルフチェックの記録、使っている化粧品・保湿剤・塗り薬の名前、妊娠の可能性の有無をまとめておくと、使える薬や保湿の方法を判断しやすくなります。
脂性肌の保湿についてよくある質問
脂性肌の保湿について、よく寄せられる疑問に答えます。
脂性肌は化粧水だけの保湿でも大丈夫ですか?
洗顔後につっぱりや粉ふきがなければ、化粧水だけでも問題ないと考えられます。頬や口元など乾く部位があれば、そこにだけ乳液などを足し、ノンコメドジェニックなどの表示のものを選ぶとよいでしょう。
保湿をやめれば皮脂は減りますか?
保湿をやめると皮脂が減る、保湿をすると皮脂が減る、のどちらも、確かめた研究は限られています。関連する研究も、低湿度の部屋で眠ると皮脂が増えたという11人の小規模な試験などにとどまるため、保湿の要否は乾燥のサインで決めるのが現実的です。
保湿剤でニキビが増えることはありますか?
油性で面皰(ニキビの初期段階)を作りやすい化粧品では、ニキビが悪化することがあります。ノンコメドジェニックなどの表示のものを選び、使い始めてぽつぽつが増えたら、その製品を見直してください。
ニキビの薬を使っている間も保湿は必要ですか?
治療中は保湿の併用が勧められており、アダパレンなどの塗り薬で起こりやすい乾燥や皮むけを和らげ、治療を続けやすくするとされています。薬と保湿剤のどちらを先に塗るかを比べた研究は限られているため、順序は処方した医師の指示に従ってください。
男性の脂性肌も同じように保湿すればよいですか?
考え方は同じです。男性は額の皮脂が女性より多い傾向がありますが、保湿の要否は乾燥のサインで決め、ひげそりの後につっぱる部位などを中心に量を調整します。
まとめ
脂性肌の保湿は、今夜の洗顔後に部位ごとの感覚を確かめるところから始められます。つっぱりや粉ふきがある部位にだけ保湿を足し、テカるTゾーンには油分を重ねず、洗顔は1日2回、よく泡立てた洗顔料でこすらずに洗います。ニキビの塗り薬を使っている間は保湿剤を併用して治療を続け、保湿で皮脂が減る、ニキビが治るといった効果は期待しないことが判断の軸になります。
夏と冬では皮脂と乾燥の出方が変わるため、季節の変わり目に量を見直してください。赤みやフケのような皮むけ、繰り返すニキビがある場合は、保湿の工夫より受診を優先します。自分の肌のどこにどの程度の保湿が要るのか迷う場合は、福岡院のカウンセリングで肌の状態を一緒に確かめながら、保湿の方法を相談できます。
アラジン美容クリニック福岡院では、「ウソのない美容医療の実現」をモットーに、患者様お一人ひとりの美のお悩みに真摯に向き合い、最適な治療をご提案しております。無駄な施術を勧めることなく、症状の根本的な原因にアプローチし、患者様の理想を実現するお手伝いをいたします。
また、福岡院限定で提供している特別な施術コース「クマフル」は、目元のクマ治療に特化した定額プランをご用意しております。ハムラ法、脂肪注入、目の下の脂肪取りなど、複数の治療法を組み合わせ、患者様お一人ひとりに最適な治療を提供いたします。目元のクマにお悩みの方は、ぜひこの機会にご利用ください。
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参考文献・出典
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